夏の領域者・シオ
表現誤っていましたので修正しております。
照りつける太陽、青い空。
真っ白な砂浜と、観光地らしい喧騒に包まれた夏の領域。
その中を、ある姉妹の声が響き渡る。
「いやだああああああ!!!」
「待てシオ、ゴルァ!!!アンタ今回のファッションショーのメインモデルなのよ!!!」
「だからって、その衣装はないと思うんだけど!?モロ出しだよ!!
お姉ちゃんはアタシを露出狂にするつもり!?」
白い砂浜を全速力で逃げる少女・シオと、それを追いかける女性・マナツ。
港の人々はそれを見慣れた光景のように、笑いながら声を飛ばした。
「シオちゃん今日も逃げてるのか!」
「頑張れー!今日こそ逃げ切ってくれよー!」
「すぐ捕まるぞー!」
「うわあああ!ちょっと、潮!助けてよ!
アタシこのままじゃ変態まっしぐらよ!!」
必死に逃げるシオは、近くで飄々と見物していた好青年風の精霊・潮に助けを求める。
「シオ、残念だが諦めろ。マナツを俺は止められん。守護者も折れる女帝だぞ?」
軽く笑って肩を竦める潮に、シオは絶望の叫びをあげた。
「くっそおおおお!」
潮の助けを得られないとわかり、なおも逃げ続けたその時――。
――サイレンが鳴り響いた。
【瘴気発生、瘴気発生! 海上に大きな瘴気が発生しました!
周囲の船やお客様は避難をしてください!】
場の喧騒がざわめきに変わる。潮は表情を引き締め、シオの元へ飛んだ。
「シオ!」
「海上?こっからだと……」
「あの崖からなら見える。急ぐぞ、抱える!」
潮風に乗せられ、シオはあっという間に崖の上へと運ばれる。
「落ちるってばあああ!」
「落ちねぇよ。潮風の精霊だぞ。俺が落としたら爆笑もんだろ。」
到着した崖の上から見下ろした光景に、シオは思わず息を呑んだ。
巨大な影が、海を這うように蠢いている。
ヘドロのように濃く黒い瘴気が、澄み渡る青をじわじわと侵食し、白い波頭を呑み込んでいく。
夏の太陽に照らされるほど、その不気味さは際立っていた。
「うっわ、でっかー。」
思わずシオの口からこぼれた。
「図体はでかいが、あれはハリボテだ。核は小さい。質量も大したことない。」
海を穢される怒りからか、潮の瞳には冷たい怒りが浮かび、嘲るように嗤う。
「俺の海を穢すなど、ーー随分と舐めた真似をする。」
「ハリボテ・・・、なるほどね!」
見掛け倒しと聞いたシオは、見た目ほどの質量がないと聞いて理解した。
大きな布で小さな豆粒を覆い隠しているようなものだった。
「信じろ、シオ。お前の意志が揺るがない限り、その矢は必ず当たる。」
頷いたシオは、神器・晴嵐の蒼穹を呼び出す。
青い弓に炎の矢が燃え盛り、眩く輝いた。
「まずは一射目!」
放たれた矢が、炎の尾を引きながら瘴気の巨体を貫き、覆い隠していた真っ黒な瘴気を吹き飛ばす。
「隠れん坊は、もうおしまい!」
二射目の矢は、彗星のように瘴気によって曇る空を裂き、炎の軌跡を煌めかせながら飛ぶ。
豆粒ほどの核を正確に射抜き、瘴気は悲鳴をあげて霧散した。
勝利の余韻に息をつく間もなく、背後から聞き慣れた声が飛んだ。
「シオ、お疲れ。それとアンタ……アタシが作ってやった服、焦がしたわね!?」
「えぇぇぇぇぇ!?」
崖上に駆け上がってきたマナツに、結局服を焦がしたとこっぴどく怒られるシオ。
その光景を見て、潮は肩を震わせながら笑った。
「やっぱり天災だな……守護者姉妹は。」
夏の領域に、笑い声が響き渡った。
2話目です。
今回は、夏の領域の姉妹です。
マナツ・シオの姉妹は、観光地として盛んな街で大衆食堂を営む家の娘です。
マナツは、現在独立し、夏の領域の流行を生み出すデザイナー兼ファッションリーダーをしています。
シオは、料理が壊滅的なので実家のお手伝いと、姉のもとでモデルと店番の手伝いをしてます。
余談ですが、マナツには、たくさんの舎弟がいるとかいないとか・・・




