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6

春星が遊郭にいる頃、暦の館では未だ会議が続いていた。

しかし、妖が目を覚まさない今、焦燥と苛立ちだけが場を支配している。


時計を一瞥した竜胆が、静かに立ち上がった。

「……様子を見てきます。」

そう告げて部屋を出る。その背を、紅葉が無言で追った。


残された者たちの間に、沈黙が降りた。

シオやリンは落ち着かず、何度も視線を交わしてはそわそわと手を動かす。

マナツは、膝に肘を乗せて俯き、不機嫌そうに眉を寄せていた。


イヴェールはただ、静かに祈っていた。

(春……どうか、どうか無事でいてくれ)


胸の奥からせり上がる凍えるような焦りが、全身を締めつける。

血の気が引いて、指先の感覚が薄れていく。

大切なものが、知らぬ場所で、知らぬうちに――また消えてしまうかもしれない。


「……()()()()()()()()。」


小さく漏れた独白。

その声に気づいたのか、シオもリンもマナツも、揃って顔を上げた。

気遣わしげな視線がイヴェールを包むが、彼の目はどこにも焦点を結ばなかった。


その時だった。


「――目が覚めましたよ。」


静まり返っていたリビングに、竜胆の声が響いた。

その一言が、張りつめていた空気を弾けさせる。


ばっと竜胆の方を振り向いた守護者たちは、

ほとんど同時に椅子を鳴らして立ち上がり、勢いよく詰め寄った。


「おきたの!?」「話せる!?」


焦る声が重なり、部屋の緊張が一気に変わる。

竜胆は苦笑しながらも、二人の頭を軽く撫でてやった。


「えぇ。長時間は厳しいかもしれませんが――今なら話が聞けるはずです。

妖なんて、診察も治療も初めてですよ。まったく、心臓に悪いです。」


へらりと笑うその顔に、ようやく一筋の希望が灯った。

さぁ、目覚めました。

どんな展開になっていくのでしょうか。


それはそうと更新遅くすみません。

難産でした・・・・!

緊迫したシーンて難しいですねぇ。



こそこそ話ですが、竜胆も流石に妖の診察なんて初めてみたいですね。

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