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胡桃割革命  作者: 庵地 紋
志の始まり、
6/23

革命児

ー翌日ー

ピーンポーン

一夜明け、昨日の3人で三上さんの家に来ていた。

「三神さーん、いますかー?」

三神さんはバーの近くのマンションの一階に住んでいた。

「あぁ、3人ともいらっしゃぁい〜」

 三神さんが玄関から出てきた。すごくゆるいしゃべり方をしていた。酒臭い、昨日ほどではないが、酔ってるみたいだ。それを見て、悠帆とメイコは驚いていた。そして少し引いていた。

「さぁさぁ、入って入ってぇ」

 3人は家の中に入っていった。入ってみると、まぁ見事なまでに汚部屋だった。ゴミ屋敷とまではいかないが、服がそこら中に脱ぎっぱなしで放置されていて、シンクには大量の皿やコップが溜まっていた。

「あははw散らかっててごめんねぇ〜」

 悠帆は部屋の様子を見て、本当にこの人に  銃を習ってよかったのか…?と思った。

「まぁここはどうでもいいんだよぉ、こっち来て」

 三神さんについていくと、地下室に続く階段があった。降りていくと、上の部屋とは雰囲気がガラッと変わった。床から天井までコンクリートで、硝煙と機械の潤滑油の匂いが混ざり合い、漂っていた。そして涼しかった。地下室とは、やはり涼しいものだ。

「こっちの部屋だよー」

 三神さんに一番奥の部屋に通された。三神さんが重厚な扉を開けた。

「…!」

「すごい…」

 その部屋はすごく広かった。小型ナイフや、ピストル、マシンガン、大型機関銃、アサルト、スナイパー、ショットガン、ランチャー…ありとあらゆる武器がズラッと壁一面に置かれていた。奥には的やマネキンが置かれていた。

「ここがうちの射撃訓練場だよ」

「すごい…ゲームでしか見たことない…」

 部屋を見て、メイコは圧倒され、そうつぶやいた。

「はい、どーぞ」

 悠帆は、三神さんから拳銃とマガジンを手渡された。

「一番シンプルな拳銃だよ、さぁ、思うがままに撃ってみて」

「は、はい」

 悠帆は言われた通り、マガジンを装填し、銃を構えた。

「はい、ストップ」

「…!?」

 悠帆は、まだ撃ってもいないのに止められ、驚いた。

「どこがダメなんですか…!?」

「いや…ね、だめというかね…その構え方がよくない?…んだよ」

 三神さんがそう言ってるのを見て、やはりメイコは疑問を持った。三神さんの呂律がしっかりしている。そういえば、昨日のバーでも、酔いつぶれていたはずないの、男を止める時や、悠帆と話しているときは呂律が回っているのを思い出した。それで、よりメイコの疑問は大きくなった。

「この持ち方、通称カップアンドソーサー持ちっていうんだけどね、片手で銃を持って、片手で下から支える持ち方なんだけど、」

「これがダメなんですか?」

「いや~だめというかね…まぁそれでも撃てるには撃てるんだよ。でもね、手が下にあることで撃った時の反動で手首を痛める事が多々あるんだよ…」

「なるほど…」

「ちなみに、この持ち方してると稀にブチギレてくる人もいるから気をつけてね」

「なにそれこわ…」

「だから、こうやって両手で左右から押さえて持つことをお勧めするよ」

「わかりました」

「うん、その意気だ」

 三神さんが優しく悠帆にそういった。とても殺し屋を生業としてる人とは思えない。

「さて…銃はこれくらいにして…」

 三神さんが振り返った。

「そこの女の子〜!」

三神さんがメイコに向かって叫んだ。

「え…?私ですか?」

「そうだよ〜!君は誰だい?」

「と…遠獄メイコ、15歳、なんか…転移者?…ってやつらしいです。」

 「ほお!転移者!それは本当なのか?キセノン」

「えぇまぁ、ヘリウムさんがそう言ってるから間違いないよ思いますよ」

「なるほどねぇ…転移者…これは面白い…」

 三神がまたニヤリと笑いながらそう言った。

「3人とも、ついてきて」

 悠帆たちは三神さんに言われたとおりについて行った。外に出るのかと思ったらエレベーターに向かった。

「はい、乗って」

「え?は、はい」

 エレベーターに乗ったら、三神さんは屋上行きのボタンを押した。

チーン

 エレベーターのチャイムが鳴り、外に出る。

「…!?」

「なんでこんなものがこんなところに…?」

 その屋上には日本風のお屋敷があった。それなりに広い屋上だったが、その屋上の半分以上はそのお屋敷が占めていた。

「入るよ〜」

 三神さんは家の門を勝ってに開けて中に入ってった。悠帆もそれについて行った。

「いいんですか…?勝手に入っちゃって」

「いいんだよ、ここは私の幼なじみの家だから」

「幼なじみ…?」

 縁側を歩きながら、三神さんがそう言った。

「入るよ〜……あ、今は静かに…」

 中に入ると一人の女性が真ん中に座ってた。昨日の、偶冥の刀を受け止めていた白髪の袴姿の女性だった。その女性を中心に円状に巻藁が置かれていた。女性は目の前にして刀を置き、目を閉じ、集中していた。

「三神さん…あの人…」

 三神さんに女性のことを聞こうとしたら、三神さんは口の前に人さし指を立てていた。もはや喋ってはいけないみたいだ。

スウゥ…

 女性は大きく息を吸った。

バラバラバラ…

「…!?」

 その刹那、周りの巻藁が崩れた。女性が動いたようには見えなかったが、明らかに刀で切られていた。

「お〜相変わらず、すごいねぇ〜」

「…ん?あぁ、クミ、来ていたのか…」

「毎度の如く集中力がすごいね…」

「あの…三神さんは、その人は?」

「あぁ、紹介するよ」

「ん?客人か?クミ、大丈夫じゃ、わしも一人で自己紹介くらいできるわ」

「あら、そう?じゃあよろしく」

「わしは"夜刀山葵(やとの わさび)。こいつ、三神クミの幼なじみ。一様、半減軍の契約者だ」

「よろしくお願いします…」

「あぁ、ところでクミ、その青年、昨日偶冥たちにやられてくたばってたやつではないか?」

「え!?山葵が人の名前を覚えてる…だ…と…!?」

「バカにするでない…わしも人のことを覚えないほど失礼なものではない…」

「どの口が言ってるんだか…昨日キセノンのことネオンって待ち構えてたくせに」 

「え?私間違えられてたん?」

「そうだよ〜この子、25歳だけど記憶力おばあちゃんだから、ごめんね〜」

「ええぃ…うるさい…」

「28の私のほうが記憶力いいのはご愛嬌☆」

「黙っとれい…」

 山葵が少し笑いながらそう言った。

「ところで、1ついいか?」

「ん?どうした?」

「お前が素面ってことは…何かあったのか…?」

「あぁー、いやいや、そうじゃない。紹介したい子がいてね、そこの女の子。さぁ、自己紹介を」

「あ、はい…ええっと…遠獄メイコ、15歳。出身は東京の千代田区…転移者ってやつらしいです」

「転移者…!!」

「どう?すごい子でしょ?」

「…将来有望じゃな…」

 山葵が手の甲を口に当ててそう言った。彼女の考えるときのクセみたいだ。

「で、この子に刀を教えてほしいんだよ」

『え!!?』

 山葵とメイコが驚いた。声がハモっていた。

「私はこっちの悠帆に銃教えてるから、よろしく」

「ち…ちょっと!三神さん!わからないですよ!」

「そうだぞクミ!ちょっと待て、説明が足りんぞ!そいつ…悠帆ってのは誰なんだ…?」

「…"革命児"」

「…!」

 悠帆はその言葉に驚いた。

「んじゃ、よろしく〜!悠帆行くよ」

「は…はい、」

 そう言って三神さんは悠帆を連れて出ていってしまった。




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