到着
「でか…」
目の前に広がるその建物は、高さは優に100メートルを超えるほどで、屋上には警備兵が何人もいる。吹雪と夜のせいで視界が悪く、よく見えなからか、横には永遠と続いているように思えた。
その風貌はまさに、一般人が見たら、絶望そのものだろう。
まず船着き場ですら、そんじょそこらの港町より大きい、大阪港か…下手すると名古屋港ほどの大きさがあると思われる。とても、船着き場と言える大きさではなかった。
〘ザザッ…ァ…あ…あーあー、ネオンちゃん、悠帆、メイコ、パラジウム?聞こえるか?〙
「ヘリウムさん…!」
インカムがノイズを走らせて、ヘリウムの声を届けてきた。
〘あんまり大きい声出すなよ、政府の輩に見つかってまうから〙
「で、どうしたんですか?」
〘いや、職員が迎えに来るまで時間があるらしいから、ヴァルハラにやってきての感想を聞こうかなぁって思っただけやで、〙
「なんですかあれ…デカすぎません?ここ、少なくとも100メートルくらいは建物から離れてますよね?」
「150メートルくらいは離れてるな。まぁ、政府の建物はどれもド派手やからなぁ。とはいえこの施設は政府の建物の中でも5本の指に入るほどの大きさやからな、驚いても無理はない」
「て…てかヘリウムさん…このすごい寒い中…どんくらい待てばいいんですか…寒い…」
「ごめんなネオンちゃん。その制服あったかいやろ?もうちょっと待っててな、すぐ無かけが来ると思うからな、」
「確か、受け取った政府からの連絡によれば…迎えに来るのは、オフィーリアと言う、コードネームの人物だと聞いていますが…」
「みなさん、吹雪のお越しいただきおりがとうございます。私がそのオフィーリアです」
後ろから茶髪のロングヘアの女性が話しかけてきた。どうやら、この女性なオフィーリアのようだ。
「あ、すみません。勝手に人の噂をしてしまって…」
「いえいえ、大丈夫ですよ。改めて自己紹介させていただきます。私は、世界情報神の重要幹部である衛者の一人、第7衛者、オフィーリアと申します」
「よろしくお願いします。パラスです」
〘みんなもパラスって呼ぶんやで〙
それを聞いて、3人は声を出さずに、コクリと頷く。
「皆さんは今回、世界政府補助神として、補助職員としての配属であってましたよね?」
「ええ、そうです。我々4人は世界情報管理担当惑者の方から、世界政府補助神から何人か助けが欲しいと要請があったみたいで、ここに来ました。」
「そうですかそうですか…では、さっそく建物の方に案内します、ついてきてください」
そう言われ、3人はそそくさとついていく。
雪が積もった港のコンクリートの上を歩くと、雪にも代用した靴とは言え、かなり積もっているため、歩きづらい。多分、5センチから10センチは積もっていると思う。
ネオンが転んだり、メイコが寒すぎて一瞬意識飛びそうになったり、紆余曲折ありながら、なんとか150メートルを歩き切り、ついに4人はヴァルハラへと足を踏み入れた。