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胡桃割革命  作者: 庵地 紋
ヴァルハラへ
14/23

『運冥』

「クリプト大陸…?ヴァルハラ?なんですか?それ」

 メイコがヘリウムにそう訊いた。

「クリプト大陸ってのは、ここから南の方にある、極寒の大陸で、ほぼ人が人数目ない地域大陸や。アネクメーネ大陸ともいわれることがあるんや」

「なるほど…ヴァルハラってのは…?」

「ヴァルハラってのは世界政府の施設の1つで、世界政府組織、『世界情報神(オーディン)』の巨大資料庫の名前や。世界政府の仕組み、世界の、地形、歴史、気象、個人の、名前、出生、顔…世界の全てが保管さてるんや」

「で、そこに潜入して何か情報を取ってくればいい…ってことですか?」

「せや、君たちには、そこで、ここしばらくの世界経済の動きに関する資料をとってきてほしいんや、これからのこと、いろいろ考えんとあかんからな」

 ヘリウムは真剣な顔でそう説明した。

「なるほど、だいたいわかりました。それで、それっていつからですか…?」

「ええっと、明後日…やな」

『もっと早く言ってくださいよ!!!』

 2人は同時にそういった。それを受けたヘリウムはスマンスマンと言わんばかりの顔をしていた。

「まぁ…今日帰ったら、三神はんと山葵はんに、なんかアドバイスとかもらっときぃ、一様、あの二人は戦闘のプロやから、戦闘とかになったら、きっと二人のアドバイスが役に立つはずやで」

「全く…情報の伝達は早くしてくださいよ…」

「すまんな、潜入するための服とかはこっちで準備するから、今日明日はしっかり体調整えて、しっかり寝るんやで」

「遠足前日の先生みたいな事言いますね…」

 メイコが苦笑いしながらそう言った。

「じゃ、2人ともよろしくな」

「はい、了解です」

「頑張ります!」

 2人は真剣な顔をしながらそう返事をした。


ー山葵亭ー

 メイコは山葵亭に帰り、今日説明されたことを山葵に説明した。

「…ということで…明後日に初任務が入りました…」

「なるほど…ヘリウムも、中々手荒なことをするのぉ…ヴァルハラなんて、潜伏中に正体がバレてしもぉたらどうなるかもわからんところに素人を送り込むとは…」

「そんな危険なところなんですか…?」

「当たり前じゃ、世界政府の機密情報は全てあそこに収められておる。そんなところに、そんじょそこらの鼠を侵入させるわけにはいかん、あそこには蟻一匹も潜入させるわけにはいかんからな」

「なるほど…何か潜伏するにあたってアドバイスとかいただけませんか…?」

「アドバイスか…アドバイスは特に無いが…役に立つものなら渡せるものがある。ついてこい」

「渡せるもの?」

 そう言った山葵に、メイコはついて行った。ついていくと、庭にある蔵に入った。

「だいぶ奥の方に有ったからのぅ…どこに置いてあったかのぅ…」

 山葵がものを探っている。ものが落ちたりしてほこりが舞っている。あまり掃除されていないようだ。すごくむせそう。

「ゴホッ!…ゴホ!…こんなほこみまりれな所に何があるっていうんですか…」

「ええっと…待ってな…お!あった、取ってるから先に部屋に戻っておれ、」

「いや私何のために連れてこられたんですか…」

 メイコはそうツッコミながら部屋に戻っていった。


 部屋に入ってきた山葵は、子供の背丈ほどの大きさの木箱を一つ、持ってきた。木箱の蓋に書かれていた文字を見て、メイコは驚いた。蓋にはこう書かれていた。

『六異刀・丙』

「それは…!」

「先々々代のうちの当主が世界政府から盗み出したと父からは聞いておる」

 そう言いながら山葵は蓋を開けた。

フワァ…

 蓋を開けると、鉄や、木の匂いではなく、薔薇の匂いが香ってきた。とてもいい匂いだ。

「これは…」

「これは六異刀・丙、『運冥(うんめい)』。六異刀の一つじゃ」

 箱の中を覗くと、つばが薔薇の花の形をし、刀身には棘の生えたつるの模様があしらわれている刀が姿を現した。

「すごい…きれい…」

「刀の能力は『造花(ぞうか)』、花を模した斬撃などか放てるとか…わしもあまり見たことがなかったからよく知らないのじゃがな…」

「それは…少しあれかもですね…」

「よし、あと2日の間にがんばって刀を習得するぞ」

「は、はい!」

 2人はそう言うと、早速習得を始めた。


ー2日後ー

「結局船か…」

「船の移動が多いんだね、この世界、飛行機とかはないの?」

「飛行機…そういえばそんなのが転移者から最近伝えられてきたと聞いたことがあるような…まだこの世界で普及していないと思う」

「へ〜そうなんだ、スマホはきてるのに飛行機は来てないのなんなんだろ…」

「転移に法則性はない。今世界に何が必要か、それが恐らく判断基準と言われている。この世界で移動は船で事足りていたから、伝わってきたのが最近なんだと思うぞ」

「なるほどなる、世界も転移者を見極めるんですね…」

「ま、転移の理由はそれぞれやから、転移は何時でも世界を変えると言われてる。自分が転移してきた事に、誇りを持て」

「は~い」

 世界政府の、制服を着ている2人はそんな会話をしながら港で船を待っていた。

「お二人さん、任務の前やのに呑気やなぁ」

「あ、ヘリウム、すみません…」

「いや、いいんやで。気楽にいこうや、気楽に、」

「は〜い、」

「わ、わかりました!」

「じゃ、2人とも、頑張るんやで!」


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