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#6

夕飯も済み現在21:00、遥と二人ファミレスにいる。

シスコン兄二人に相談しても仕方ないと悟った私は遥に電話したところ「ちょっと出ておいでー」と言われここにやって来た。


(まさかこんな時間に外出許可が下りるとは、遥は凌にーになんて言ったんだろう……)


「ごめん、私夕飯まだなんだー食べながら聞くよ。凛凪なんか食べる?奢るよー」


メニューをパラパラ巡りながら話を進める遥。

幼い頃から凌にーを追いかけ回していただけあって、頭だけでなくあらゆる能力が高い。


とはいえ生徒会長なのにこんな時間に出歩くあたり、優等生とは言い難いところがある。

抑えるところは抑え後は好きなようにやるよ?といった……凌にーに近い人種だ。


「で、なんだっけ?」


「えーと、何処から話したら良いものやら……」


私の拙い説明にも遥はうんうんと頷いて聞いてくれた。


「ははは、凌さんらしー」


「そーひどいでしょー」


エビのサラダをぱくぱく頬張りながら相槌を打つ遥。

うーん、と少し考えてから__


「えーと、凛凪にとって伊東くんってどんな存在?」


て私に尋ねた。


「弟」


即答する。

遥はこれに爆笑している。


「凛凪って背ちっちゃいのにめっちゃお姉ちゃん感あるよね」


背は関係ないでしょ背は。

そういえば体育の時遥が男子から椎葉さんってどっちがお姉ちゃんなんって聞かれた時__


「乳のデカい方が姉」


って答えたなあ。


「おほん、ではでは凛凪」


咳払いをし、改まる遥。


「?」


「私の見立てだと、伊東くんが鈴凪に告白してもまず付き合うことにはならない」


遥から見てもそうなのか。


「遥もそう思うんだ」


「うん。鈴凪のことだから伊東くんが傷付かないようやんわり断るだろーね」


「だよねーじゃあ、打つ手無しか……」


遊には悪いけど、そうなる前に私から伝えてあげよう。

言いづらいなあ、そもそも私が原因だし。


「いんや?打つ手はあるよ」


「?」


いやだって今、鈴凪に告白しても無駄だって。


「伊東くんの最善手は、凛凪が好きな体で鈴凪に近付くこと」


「ごめん私バカだから」


それじゃあ今までと変わらないよね?



遥の言ったことの意味がわからず説明を求めたけど__


「ごめん、これ以上は凌さんに怒られる」


__と教えてくれなかった。

自分で考えろってことなのかな?


しばらくすると凌にーがファミレスまで迎えに来た。

遥を家まで送り届け、凌にーと二人帰路に着く。


「凌にー、怒る?」


遥の手前、過保護っぷりは見せられず許可したけどこんな時間に出歩いたとなれば……考えただけでも恐ろしい。


「いーや、俺は遥ちゃんとファミレスで話すって聞いてたし問題ないよ」


凌にーと二人並んで歩く。

おかしい、絶対怒られるって思ったのに。


あれかな?

こんなどうしようもない妹は怒る価値もないって__。


「知ってるよ俺も晃も、いつかは二人とも結婚していなくなるって」


「……」


「四人きりの家族なんだ、せめて君らが学校出るまでは……二人じめしたいだけ。ごめんね?」


「ひゃっ!?」


凌にーに抱き上げられる。

ちょ、回らないで。


「おーろーしーてー」


「あー可愛い可愛い」


全くこのシスコン兄は。

凌にーは女の人に大人気なんでしょ、こんなの誰かに見られたら……。


「ん?」


凌にーに振り回されて景色が360度ぐるぐるしているんだけど一瞬電柱が目に入った時、誰かいたような……。


「!?」


凌にーの頭をぽこぽこしていると__


「仕方ないなー下ろすよー」


__とやっと解放された。


少し目が回ってふらふらしていると凌にーが支えてくれる。


「ごめんごめん、大丈夫?」


「凌にーそこに誰かいた」


私が電柱の辺りを指差すと凌は困ったように笑っている。


「またかー良くあることなんだ」


いやいやそれってストーカーじゃない、笑ってて大丈夫なの?



「凛凪ちゃん凛凪ちゃん」


す、鈴凪……?

そうかこれからラストダンジョンか。


思えば長い旅だった。

途中盗賊に持ち物全部奪われて強制丸腰プレーになるし目を掛けたキャラには裏切られるし……。


「凛凪ちゃん凛凪ちゃん」


やっぱ信じられるのは嫁キャラ(鈴凪と命名)だけだったなあ……。


「……いこう、ぼすのもとへぇ……」


いざ、扉を開かん……。



「す、ずな?」


「うん。おはよう凛凪ちゃん」


何だ夢か。

枕元の目覚まし時計を見ると6:45と表示されている。


「ラッキーまだ寝れる……」


おやすみ……。


「凛凪ちゃん、今日から体育水泳だよ?」


プールかあ、暑いし外走らされるよりはましだなあ。


「鈴凪水着……」


「大丈夫、準備してるよ。後は凛凪ちゃん」


「ふにぃ……」


おっちゃん厳しいから水着忘れたらパンツ一丁で泳がすからなあ。

でももう安心。


寝よう。


「凛凪ちゃん起っき!」


「はい!?」


布団を引っぺがしベッドから引っ張りだされた。

鈴凪怒ると怖いから従おう。


「これから身体検査を行います」


「ええぇ……」


有無を言わせずパジャマのボタンを外していく鈴凪、どうせ着替えるしいいけど。


「じゃあ上からね」


朝っぱらから妹に脇の下凝視される姉って……。


「ちょっと痛いけど我慢してね」


ピンセットを構える鈴凪。


「心配性だなあ」


私のそんなとこ誰も見ないでしょ……。

って近い近い。


「寝起きで汗かいてるから恥ずかしい」


「役得役得(我慢我慢)」


鈴凪さん、なんか漏れてますよ?

うー絶対におってるでしょー。

反対側もぽちぽちされチクっとした痛みに耐える。


「はいバッチリ」


「もう」


鈴凪から解放され制服と替えの下着を用意する私を鈴凪はちょこんと座ったまま見つめている。


「凛凪ちゃん、まだ終わってないよ?」


「え、何が?」


「下」


全年齢でそれはまずいよ鈴凪。

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