#3
ファミレスから帰宅し現在19:00。
流石に遊助の奢りで夕飯を済ませるのは気が引けたのでデザートが片付いた所でお開きとなった。
「みんなお腹空いてる?何か作ろっか?」
鈴凪の提案に晃にーのみ挙手、二人が台所に引っ込んだので居間には凌にーが残った。
「凛ちゃーん、今朝の約束覚えてるー?」
悪ーい笑顔を浮かべる凌にー獲物を前にした猛獣の姿が重なった。
また、お尻叩きか。
私が観念したので凌にーの指示通り四つん這いになる。
全く遥は実の妹の尻を叩く男の何処がいいんだか……。
凌にーは相変わらずの悪人面で私の傍で素振りをしている。
この体勢は恥ずかしいし、いつ叩かれるか分からないから怖いし、早く終わらせて欲しい。
「早くしてよー」
凌にーの方を伺うと口元を押さえて何やら考えている。
「スカートの上からじゃあ、お仕置きにならないなー」
はい?
言葉の意味がわからないんだけど……。
「凛ちゃん、スカート捲ろっか?」
「……」
鈴凪の件もあったし、ここまでは……仕方ないのか。
とはいえ鈴凪はピンクだったけど、今の私は……。
「凌にー」
「なーに?凛ちゃん」
「白なんで、あんまり見ないでね」
パンツきったねとか言われたら、流石に私も立ち直れない。
「りょーかい!」
私がスカートを捲くり、晒した白パンツ。
振りかぶった凌にーの平手が、私のお尻を捉えた。
「凌お兄ちゃんと凛凪ちゃんの分も作っちゃった……」
バシーンという快音が、居間に響く。
♢
「凌お兄ちゃん?何で凛凪ちゃん、下着姿なのかなあ?」
腰に手を当てて凌にーに立ち向かう鈴凪に、流石の凌にーも即座にジャンピング土下座を決めた。
「凌お兄ちゃん!私前も言ったでしょ!やたらと凛凪ちゃんのお尻叩かないでって!ちっちゃい子じゃないの!凛凪ちゃんだって恥ずかしいんだから!」
「はいすみませんもうしません」
「……」
成績優秀スポーツ万能いつもストーカーが湧くほどの生徒会長がこんな姿になるなんて……。
鈴凪最強すぎ。
「凛ちゃんが可愛いくて、つい、虐めたくなっちゃうんだよ……」
目を潤ませて、明後日の方を向く凌にー。
カッコつけてるつもりなのかもしれないけど……。
ごめん、めっちゃきしょい。
「ダメ!」
凌にーを一括し、鈴凪が言い放つ。
「凛凪ちゃんは私の!」
鈴凪は私を抱きしめて、ムツ◯ロウの如くよしよしよしした。
「何してんだーお前ら」
♢
「はーい、家族会議にーぜろぜろぜろー」
晃にーの司会の下、表題の話し合いが催された。
晃にーの隣に私、向かいに凌にーと鈴凪が並ぶ。
「まずは鈴凪ーさっきのはー」
「ちがうの、さっきのはその……ちがくて。ホントはその、あんまりちがわないんだけど……じゃなくて、ちがうの。信じて晃お兄ちゃん」
何をいっとるんだこの子は。
「まーそのなんだ、姉妹仲いいのは結構なんだけどー節度は守ろうなー」
まあ私も晃にーもホントに鈴凪がそっちの人だとは思ってないので、こんなもんだろう。
「はい次の人ー」
晃にーの提案に、三人の視線が凌にーに集中する。
「……」
だんまりを決め込もうとする凌にー。
このままでは埒が開かないと思ったのか、晃にーはこう切り出した。
「……言い残すことはあるかー」
その一言に、凌にーも重い腰を上げた。
「凛ちゃんの」
私の、何?
「凛ちゃんのお尻、柔らかくて最高」
「「「はいアウトー」」」
凌にーの断罪も終わったので、鈴凪特性クリームパスタが振舞われた。
(小鳥の囀り)
「おはよ……鈴凪」
「おはよう、凛ちゃん。ぐっすり眠れた?」
休みだと思うと、もったいなくて目が覚めるんだよなー。
「おはよー凛ちゃん、寝ぼけ顔も可愛いー」
コーヒー片手にカッコつけてる凌にー。
「……」
無視ですよ。
「おーい凛凪ーテスト勉強手伝ってくれー」
うわ早、こんな時間に来るって鈴凪のパジャマ姿でも拝みに来たか?
「こら遊ーお前今出禁だろー」
fin
続きあるかもです。