#2
「で?」
17:20某ファミレスにて凌にー晃にーと合流、遊助と私は凌にーに手招きされこうして尋問を受ける羽目になった。
鈴凪が助け船を出そうとするも凌にーの「遥ちゃん暫く鈴ちゃんのことお願いね」との司令に敬礼する遥に阻止される。
というか何故私まで。
「遊くーん、見たんだ?鈴ちゃんの」
「はい見ましたすいません凌さん」
凌の握り拳がテーブルに叩き付けられ私と遊助はびくんと縮こまる。
一緒に遊ぶだけでも睨まれるんだからスカートの中を見たとあってはどんな目に遭わされるやら。
「凛ちゃん、どうしよかー」
そう言われましても。
鈴凪も気にして無いっぽいしどうにか穏便に済ませたい。
「とりあえず、遊助がここ奢るのと」
隣から小突いてくる遊助の手を払い除ける。
「一週間のうちへの立ち入り禁止で、何卒」
わざとらしい程に深々と頭を下げる。
遊助もそれに続いた。
「そうだなー」
お?わりと好感触だ。
ここは一気に押し切る。
「す、スク水で接待……鈴凪が」
「よーし何頼む?二人とも」
一件落着っと。
パラパラとメニューを捲る凌にーを遊助は冷めた目で見つめている。
♢
「凛凪!凛凪!」
凌にーの件が落ち着いたのを見計らって遥が私を呼びつけた。
私としてもこれ以上ピリついた空気は勘弁願いたいので遥の元に赴く。
「私凌さんのとこいくからこっちよろしく」
「御意」
「凌さーん、お久しぶりですー遥でーす」
早くも凌にーの隣に陣取る遥。
「鈴凪、凌にーのことお願い」
「うん。お疲れ様、凛凪ちゃん」
向こうは凌にーと遥、向かい合って鈴凪と遊助。
凌にーなら何しれっと鈴凪の隣座ってんだという視線くらい向けるだろうが、これくらい乗り越えないと鈴凪はゲットできないんだ。
頑張れ。
「凛凪ー」
こっちはこっちだ、頑張れ私。
♢
「晃先輩ー何で卒業しちゃったんですかー」
晃にーに体を押し付けながらぐいぐい迫る松倉さん。
こういう人だったのか……。
「そりゃー卒業するだろー」
こちらに助けを求めるながら松倉さんの相手をする晃にー。
私が安請け合いしたせいでこんな目に遭わせてしまったのだから何とかしないといけないんだけど、下手なこというと後が怖いのでしばらく様子を伺おう。
「私絶対晃先輩と同じ高校行くんで待っててくださいねー」
高校かー。
そういえば来年の今頃は私たちも高校生になるのか。
凌にーは情報誌☆5くらいの高校に通っていて、しかも生徒会長とかしている。
とても私と同じ頭の出来とは思えないけど、双子の鈴凪が5教科平均90以上とるから家系的には私が異端なんだろーな。
ちなみに晃にーは対して成績良くなかったけど情報誌☆4くらいの高校に受かったので私もその辺り目指して頑張ろう。
そうすると松倉さんと一緒になるのか……。
「松倉成績良かったよな?うち来るくらいに下がったの?」
「えー変わらないですよー5教科平均90以下は取ったことないんでー」
松倉さん成績いいんだなー鈴凪と一緒くらいか。
その成績で晃にーのいる高校いったら先生やご両親に怒られるんじゃないかな。
「いやいやその成績でうちなんか受けるっていったら親キレるだろー」
「そうですねー晃先輩が私と付き合ってくれるんならー遠距離恋愛でもいいですけどー」
高校が違うのは遠距離恋愛になるのか?
「うーん」
どうしたものかといった表情の晃にー。
なるほど、これは面倒見のいい晃にーの性格を巧みに利用した上手い攻め方だと思う。
仕方ない、ここは炎上覚悟で助け船を出そう。
「松倉さん、そのー晃にーは」
「晃先輩は?」
「やめといた方が、いいんじゃないかな……」
「どうして?」
「……シスコン、なんで」
烏龍茶を噴き出す晃にー。
そして怖ーい顔でこちらを睨むが、私には他にこの子を諦めさせる方法が浮かばない。
「だよねー晃にー」
「くっ……」
グラスを持つ手がカタカタ震える晃にー。
えーそうなんですかーと迫る松倉さん。
松倉さんと付き合うorシスコンとして生きる。
晃にーの選択は?
「じゃあ、こうしましょっか?」
返事のない晃にーに松倉さんの方が痺れを切らしたのか、立ち上がり宣言する。
「次の期末で晃先輩の大好きな妹さんより私の方が点数高かったら、付き合ってください」
これまた晃にーの好きな漫画でありそうなスポ根展開に、体育会系の仁義なのかわかったと納得する。
「約束ですよ?じゃあこれ少ないですけど」
ドリンクバーしか頼んでない松倉さんが二千円も置いていってしまった。
「その、なんかごめん」
「はああぁ……」
流石の私も反省します。
大丈夫、鈴凪が何とかしてくれるさ……。