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SF作品

モンスター出現


『停船せよ、停船せよ、こちら銀河パトロール警備艇』


「アニキーヤバいよー、振り切れ無いよー」


ある恒星を支配する独裁者から依頼されて隣接する銀河から密輸品を運んで来た密輸船が、独裁者が支配する恒星がある銀河に入る直前に銀河パトロールの警備艇に見つかり、停船するよう警告を受けていた。


「ち、チクショー!


オイ! 積んである卵を投下する用意をしろ」


「え? 積荷を捨てるのかい?」


「全部じゃねー、1個だけだ!


あそこに見える惑星、未だ銀河帝国に加入を認められてないあの惑星の海に卵を落とせば、あの発展途上の惑星の奴等では孵化したモンスターの対処なんて出来ないだろうから、追跡してくる警備艇が対応するしか無い。


俺たちはその隙にトンズラするんだよ」


「そういう事か、流石はアニキだ。


でも依頼者には10個依頼されてるのに9個だけで納得して貰えるのかい? アニキ」


「捕まったら終わりだ。


だけど逃げ果せられればまた獲りに行けば良いんだから構わない」


「分かった」


発展途上の惑星の海に密輸品の卵が落とされた。


惑星の海に落とされた卵は海の水に触れた途端に孵化してドンドン巨大化していく。


「アニキー! 銀河パトロールの奴等、孵化したモンスターに見向きもせずに追って来るよぉー」


「何だと? 惑星の奴等を見捨てるつもりか?」


「ワァーアァァー、牽引ビームに捕まったぁー」


• • • • • 


「艇長! 奴等密輸品を惑星の海に投下しました」


「何だと? 証拠隠滅の為か?」


「あ、孵った!」


「私たちを足止めする為の行為か、クソ!」


「どうします? 追跡を断念しアレの回収を優先しますか?」


「否、母船に連絡してアレの回収を頼め、此の惑星の住民には悪いが、私たちはあの指名手配されている密輸犯の逮捕を優先しよう。


惑星の住民に被害が出たら、あいつら密輸犯共と密輸を依頼した奴に補償させよう」


「分かりました、追跡を続行します」


銀河パトロールの警備艇は、あてが外れて逃げ惑う密輸船との追いかけっこを暫く続けた後、牽引ビームで密輸船を拘束した。


• • • • • 


密輸犯の逮捕を優先する為に追跡を続行した警備艇からの依頼で、発展途上の惑星の衛星軌道にワープして来た銀河パトロールの警備艇の母船の艦長は、首を傾げる。


「此の惑星にはあの巨大生物に匹敵する巨大生物は生息しているのか?」


「惑星を現在支配している知的生物が出現する遥か以前には、あの巨大生物程では無いですがそれなりに巨大で凶暴な生物も生息していたと記録されていますが、今現在は生息していない筈です」


「それにしては惑星の住民たちの巨大生物に対する迎撃戦は様になっていると言うか、慣れているように見えるのだが?」


「確かに……」


母船の操縦室の巨大なスクリーンには、上陸しようとしているのか大陸に向けて泳ぐ巨大生物を取り囲み陸に近寄らせまいとしている多数の船と、大陸や近くの島から飛んで来た航空機が波状攻撃を行っている様子が映っていた。


「まぁ様にはなっているが彼らには荷が重いだろう。


陸に近寄らせない事には成功しているが、退治に至っていないからな」


「どうします? 此処から結束ビームで拘束して吊り上げますか?」


「否、万が一の事を考えて、あの場所に飛び込んで巨大生物を拘束したらそのまま最大戦速で離脱しよう。


此処からあそこに行ってアレを拘束して離脱するまで精々3〜4分しか掛からないだろう?」


「そんなに掛かりません、2分以内に終わらせます」


「念の為防護バリアを張っておけ、あり得ないとは思うが流れ弾で艦が破損するかも知れないからな」


「分かりました」


「それと、惑星の住民からの通信は全て無視しろ、まだ此の惑星は銀河帝国に加入出来る程には発展していないからな」


「了解しました」


銀河パトロール警備艇の母船は惑星の衛星軌道から瞬時に、巨大生物と惑星の船や航空機が激戦を繰り広げている場に飛び巨大生物を結束ビームで拘束すると、船や航空機の間で飛び交う通信を一切無視して此の惑星が属する恒星圏内から脱出した。


• • • • • 


「巨大なモンスターが海の中から突然現れました!


モンスターは明らかにアメリカ西海岸を目指していると思われます。


此のモンスターは映画でもドラマでもありません、現実に私たちの前に存在しているのです!」


リムパックに参加する皇国海軍の護衛艦大和の取材をしようと偶々乗船していたテレビクルーのリポーターが、叫ぶように実況中継を行っている。


リムパックに参加する為にハワイの東方沖に集結しつつあったアメリカ海軍艦艇を始めとする各国海軍の艦艇の前に突然、巨大なモンスターが出現しアメリカ西海岸がある東の方角に向けて進みだした。


巨大なモンスターを見て、各国艦艇の複数の艦艇から「GO○ZI○LAだぁー!」の叫び声が上がる。


だが現れた巨大モンスターはどう見てもゴ○ラには見えず、どちらかと言えば海獣の鰭脚類(ききゃくるい)と蛙を合体させたような姿をしていた。


巨大モンスターの出現に唖然としていた各国艦艇の中で最初に我に返った皇国海軍護衛艦大和が、巨大モンスターに対して46センチの主砲で砲撃を始める。


その砲撃で正気に戻ったアメリカ海軍や各国艦艇も大和に続いて、巨大モンスターに対して攻撃を開始。


暫くするとアメリカ海軍艦艇から連絡を受け、ハワイやアメリカ西海岸の空軍基地から飛来した航空機も攻撃に参加して爆弾やロケット弾を巨大モンスターに叩きつける。


各国艦艇や航空機の攻撃により巨大モンスターをたじろがせる事は出来ていたが致命傷を与える事が出来ず、アメリカ政府や軍高官は核兵器の使用を考え始めていた。


そんなとき突然、巨大モンスターと各国艦艇や航空機か飛び回っている戦闘海域の上空に、数千メートルはあろうかと思われる巨大な葉巻型宇宙船が現れる。


葉巻型宇宙船は巨大モンスターに向けてビーム兵器らしき物を発射して巨大モンスターを拘束すると、現れた時と同じく、パっと消え去った。


戦闘海域には各国艦艇や航空機、それにそれらの狐につままれた表情の乗員だけが残されていた。







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― 新着の感想 ―
全体を通してドタバタさとコミカルさがあって楽しい作品です。 ただし本当に起こったら迷惑この上ないですし、宇宙規模に視野を広げて見れば地球って取るに足らない存在なのでしょうね。
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