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VS『ただ一つの信仰者』
槌が来る。死ぬ。よけるそらす全てが不可能。槍を挟むしか取れる行動がなかった。世界が回った。どこだここは、考えている場合じゃあない。とっさに頭を下げてよけた、蹴りが来る肘でガード、ガードの隙を狙われわき腹に入った。呼吸が止まる。槌が来る。死ぬ。逸らせ死域に入れ、槍で逸らした。狙う。半ばから折れていた。踏み込みが足らない。もう一度逸らす。そして止まる。
─────空間が停止しているようだ。僕とあいつしかいない──眼を見る。あいつの眼は穏やかさを感じさせる眼だ。だが、あいつは狂っている。最初見たように眼の奥には感情が坩堝を巻いている、しかしさっきまでと違うのは燃えているという事だ。それを感じ僕は嬉しくなった。お前も楽しんでいるのか──炎が少し揺れる相手の一撃。故に殺す。折れた槍で槌を当てる。そして、当たり前に槍は破壊される。だが逸らした。その時僕は全力で踏み込んでいた。ここで殺す。今までの経験を全てつぎ込め槍はなくともその鍛錬は身になっている。貫け。
僕は勝った。彼の眼は何も映さないがらんどうな瞳になった。その瞳を見て悲しくなったが淡々と僕は受け入れる。周りにいるゴブリンたちはみんな逃げていったようだ。あの強靭なゴブリンも逃げてしまうんだな。
…………戻るか。




