VS『生ける血』
赫。それは黒ずんでいて血そのものだった。見れば分かるだろう、それは危険だと。
それは肉と骨を持たない。しかし、脆弱さを感じさせることはなく攻撃を跳ね返す弾力性を感じさせる。それは小さく僕の頭ほどしかない。しかし、それすらも弱いというよりは無駄がないためと感じさせる。
会ったのは2度目だな。初めて会ったのも同じゴブリンの巣にいる時だったか。そんな意図はないだろうが、スライムがゴブリン達を襲ってくれたおかげで僕は逃げれた。
同時に、僕はその力と姿勢に憧れたんだ。だから、ここまで頑張ることができた……感謝している。だから、確かめたいただの餌だった僕がどれほど強くなったのか。
周りを無視し目の前の敵に全神経を集中する……はっ!!! 今までで最高の突きと自分でも思える突きを出せた。
しかし、目の前のスライムは消えた、どこに行ったんだと思うこともなくいやな予感を覚え反射的に頭を下げた。すぐ上をスライムは通りすぎた。速い! あの突きで捉えられないんならこっちからの攻撃では当てられないぞ! ……無策で突っ込んでも勝てないカウンターだ。
極限まで気を張り詰めて空気が重く感じるほどに集中する。周りの息遣いすらも聞こえるこの静かな空間で相手はじっくり観察している。僕の呼吸、構え、気の濃い場所と薄い場所。
重圧がかかって息を吐くのがつらい。相手にじっくり観察されてる事。少しでも瞬きしたらその瞬間殺されるかもしれない事。これはまずいな、無駄な悩みが脳を占め始めている。そんな事悩んでも仕方ない体が遅くなるだけだ。もっと深く、深く…………………動いた。目にもとまらぬ速さ、でも感じる!捉えた!
ドッ! スライムは空中で槍に当たり高速で僕の右上の壁にぶつかる。チャンスかも知れない。しかし僕は動かずただじっと見つめると……衝突した壁からゆっくりとスライムが這い出る。その様子は今までの余裕のある姿と違って、表面の色は赤さを増し粘体の伸縮は縮まり怒りを示しているようだった。
……いや、怒っているのだろう。殺すために極限までに集中した僕にはスライムが考えていることが分かる。あの瞬間、スライムは体をそらして槍の真芯からずれた。
そのおかげで、槍で貫くことが出来ず壁に跳んでいった……一撃で決めたかったが。スライムの油断もなくなり勝ち目はかなり少なくなったかもしれない。集中してもそのまま死んでしまうような戦いかもしれない。だけど……そうだ今の戦いで僕は一段階上になった。生き死を交わす戦いをすることで僕の邪魔な部分が削れ強くなれる。ありがとう。さあ、殺し合おう。




