木の槍衾
とてもとても朦朧している。疲れた。右足だけだと避けづらいな。でも、慣れてきてあまり速度を落とさない事も出来て来た。ここからは根気だ、最後まで諦めないで頑張ることが出来るか?
「はあっ……はあっ……」
呼吸も余裕がなくなってきたな。走って、避けて、跳ねて、走って、避けて、跳ねて、避けて跳ねて走って避けて……無心にそれを続けている。もう、何となく、襲ってくるタイミングが分かるようになってきた。
慣れて相手の行動パターンが分かってきたんだな。いや、それだけじゃないな、僕自身の成長も感じる。こんな状況だけど何でも分かるみたいだ。このまま行けば出れるかな。相手も焦っているのか、直接狙わないで木の木の間を蔓でつなげ障害物を作るようになってきた。だけど、それは悪手、槍で根を断ち切る。今の僕はこんな事も出来る。だが、急に地面が沈んだ。
周りがゆっくりになるほど頭が急回転した。なっ落とし穴まずい広さは僕の全長を呑み込めるぐらいだそして下には木の槍が待っている。落ちたら死ぬ、それを直感した。持っている槍で地面を刺して落ちるのを防いだ。止まっていると危ない、すぐにそこから離れた。
「ははは! 希望が見えたと思ったらすぐにそんな予測を乗り越えてくる……これだから面白い……やっぱりこれで、これがいいな」
走リ続けて、森の切れ目が見える所までやってきた。やっとここまで来た、だけど簡単に逃がすほど甘くはないなきっと。木の槍が四方から襲い掛かってきた。その隙間を縫って、すぐにジャンプ、根っこが出てきた。そして、着地したらすぐにダッシュ最後だからか攻撃の勢いが凄い。だが、僕もここを抜けたら終わりだ、全力を尽くす。
避けて避けてあともう少しで抜けれるという所で、木の槍がずらりと立ち並ぶ。そして、横にも後ろにも出てきて、逃げ場はない。これが、敵の最後の秘策なんだろう。差し詰め僕は袋の中の鼠という所か。でも、僕は鼠じゃない。鼠ならこの程度の檻で捕まえられるかもしれないけど、今は行っているのはこの僕だこの程度の槍じゃ僕を止められない。もはや倒れこむ勢いで僕は踏み込み、木の槍に向かって貫く……槍は壊れるのと引き換えに僕の道を開いてくれた。
この程度じゃ僕は止められない。そして、僕は森を脱出した。やっとの思いで脱出して、達成感で満たされていた。そこに槍が後ろから襲い掛かってきた。
隙だらけの状態で避けられない、なんてな。体をずらして避けた。負けたんだから潔く諦めろ。お前とは密度の高い時間を過ごしたからな、どういうふうに襲ってくるかなんて読める。そのまま部屋まで戻り本当にこのピンチを乗り越えた。
部屋に入ると、急に糸が切れたが切れたかのように倒れこんだ。痛っ、シートも敷かれてなくて床が固いので寝られるベッドに這って向かった。ベッドに着くと、もう動く気がしなかった。考えるべきことはたくさんあるけどもう寝……よ……う。




