1-7 (グレース視点)
正式に上級侍女となり、フローティア様とお会いした。
もう侯爵令嬢なのだからと、
今までとはうって変わっての打ち解けようである。
正直、こちらが戸惑う程だった。
そして、フローティア様の言葉に驚愕する。
「ドラグテル王国の国会予算ってどのぐらいかしら?」
「税はどのように取っているの?」
「人口は?」
「民の平均年収と生活費配分を知りたいの」
今まででは、考えられないような言葉に、
戸惑いながらも、答えていく、
いろんな国についても、
今までは単なる地理、単なる特産物と
別々に考えておられたのが。
「山が多いのね、その分水はけが良く、
良い葡萄が取れると・・・それでワインが名産なのね。
そのワインが宗教に色濃く影響を与え、
隣国との交易にも関わっていると・・・」
と、様々な事を繋げ、関連付け考えられるようになった。
その洞察力の凄さに驚かされると共に、
今まで気づかなかっただけで、
こんなに深く物事を考えられる方なのだと、尊敬の念を抱く。
また、今まで平民に興味がなさそうだったのに、
街へ行ってみたいとおっしゃるようになった。
お忍びがしてみたいと。
街並みを見るだけで楽しそうだし、
何が売っているか興味があるとの事だ。
私はこの変わりように、驚愕した。
どうして平民に興味が湧いたのか聞いてみると、
私が及ぼした影響であると聞いて歓喜に震えた。
王女殿下が私の声に耳を傾けて下さった。
この方はこれから変わっていくだろう、
私はその力になれればいい。
私を推薦して下さった公爵、
養女として下さった侯爵は、
フローティア様の力になる事を誓ってくれた。
それだけでも、私がフローティア様の傍にいる価値はある。
今までの私の全てを賭けて、
この方にお仕えしよう。
将来困られる事がないよう、
誰からも、立派な王女だと称賛される方であるよう。
そう誓った。