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1-5

午後1時。


王と王妃のいる間へ向かう。


公式な行事をする玉座のある大広間や、

大臣と執務をする部屋ではないが、

それなりに大きな問題を議論する部屋へ案内され首を傾げる。


普段なら、王妃の私室に呼ばれ、

お茶をしたりするし、

今回もてっきりそうだと思っていたのに。


「やあ、愛しい娘、元気なって良かった」


「本当、良かったこと」


王と王妃に迎えられ、カーテシーをする。


「ご心配をお掛け致しました、

 もう体調は万全です、

 何も問題ございません」


両親はにこにこしている。


父親の王の姿は、知識としては知っていたけけど、

改めて見てびっくりした、

金の髪に青い目、まさに王様!

しかもト〇クルーズ並みのイケオジ!

まだ38歳と若く、エネルギーに溢れいる、

声も声優ができそうな程いい声だし、

こんな人が父親なんて、何てラッキー!


母親の王妃も、金の髪と緑の目で、

私は母親に似たんだな~と思う。

それもあって、余計溺愛されているのだろう。

ぼっきゅんぼんのぼっが凄くて、羨ましいです。


「さて、ここに呼んだ本題と行こうか」


王と王妃以外にも、

数人の大臣と、裁判官がいて、

誰かを裁くのかな?と思いつつも、

そこに私が呼ばれる事に思い当たる事がない。


「罪人でもいるのですか?

 しかし、私は裁判には関わっておりませんが」


そもそも、法律の知識など持ち合わせてはいない。


「ふむ、ここの顔ぶれをそう察するとは、

 さすがは私も娘、なんと頭が良い。

 しかし、今回の罪人はそなたに関わりがある、

 連れてまいれ」


王の貫禄ある言葉に扉が開かれ、

腰と手をロープでぐるぐるに巻かれた女性が

兵士に連れられ部屋に入ってくる、


あ!あの女性はグレース先生!


我儘王女に、誰も注意しない中、

勉強をさぼろうとすると注意し、

平民の事も正確に教えようとしていた人!


しかもよりよい王女にしようと奮闘してくれていた人、

どうして、その先生が罪人なのだろう?


「この者は、そなたが倒れるまで勉強をさせ、

 また、嫌がる事を無理やりさせたと報告が挙がっておる、

 そなたの教育係だったのだ、どんな罪が良いか、

 そなたの意見も聞こうと思ってな」


「ええ、あなたを苦しめるなんで許せません、

 うんと罪を重くしても良いのですよ」


王妃もたたみかける。


この国は一応法律はあるが、あくまで一応だ、

王族の一言で罪が重くなったり、軽くなったり、

いかようにもなる。


「グレース先生の罪は?」


控えていた、裁判官が罪状を読み上げる


「恐れ多くも、王女殿下を苦しめた罪は重い、

 教育係を解任、財産没収、国外追放とする!」


ばかが~!!!!


わざわざ王女付き、しかも我儘王女に付き合ってくれた、

超優秀な人物、そんな人物を手ばなしてどうする!


言わば、ヘレンケラーにおけるサリバン先生、

それぐらい重要な人物である事がなぜ分からないの?


グレース先生は平民だ、

平民でありなから、ここまで出世できる人物なんて、

相当な人物でしかありえないのに!


って、前世の私はそれでは生ぬるいと言って、

棒打ち10回追加させていたっけ・・・

本当にどうしょうもない王女だったのね。


ここでふと思う。


彼女が私の傍にいるかで、この人生は大きく変わる可能性がある、

貴族しかいない侍女の中で、

市民感覚と膨大な知識を味方に付けられるかどうか・・・


よし!


私はうるると瞳を潤わせ、

祈りのポーズを取って父王を見る。


「お父さま~私、この者がとても気に入っていますの、

 今まで通り先生でいて欲しいですわ」


私の言葉に、会場全体がざわめく、


父王も予想外の言葉だったのだろう、

かなり驚い顔をしている。


「しかし、そなたの体調を見抜けなかったのは事実、

 罰を与えなくても示しが付かない」


「あら、体調は侍女頭の役目、

 彼女には関係ありませんわ、

 それに罰をと言うなら、教師役は辞めてもらって、

 私専属の上級侍女にしましょう!」


侍女頭は貴族であり、キャリアも長い、

侍女頭を責めず、平民のグレースに罪を着せようとしている、


悲しいかな、こんな事は日常茶飯事だ、

しかし、私はそれを許すつもりはない。


「上級侍女なら、むしろ出世ではないか」


うろたえる父王に、私は本領を発揮する。


「いう事聞いてくれないお父様なんて嫌い!」


これぞ我儘王女真骨頂!


我儘はこうやって使わないとね!


嫌い作戦は効果抜群だったようだ、

父王は大分狼狽えている。


「うむ、グレースよ、フローティアに仕える気はあるか」


グレースはしばらく黙った後、


「はい」


と信じられないといった風に答えた。


「分かった、ではグレースをフローティアの上級侍女にしよう」


その言葉に、私のテンションが一気に上がる。


「グレースはもう私の上級侍女よ、ロープを外しなさい」


私の言葉に、あわてて傍にいた騎士達がローブを解く、


「お父様ありがとう」


そういって父王に抱き着く。


「ははは、、、まだまだ子供だな」


「可愛いわ」


父王に頭を撫でてもらって、私はご機嫌だ。



よし、これで未来は1つ変えられた。

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