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預金横領

 これは、妻が友人Yから聞いた話である。

 Yは、70代後半の寡婦(ひとりぐらし)。新紙幣発行に際し、タンス預金数百万円を定期預金にして満期時に返還される新紙幣を自宅内の金庫で保管する計画を立てた。定期預金は簡単に出来たが、満期1カ月前に「現金で受け取りたい」旨、連絡したところ、行員から、使途についての説明を求められたので、Yは「現金で保管したい」意向を伝えた。すると、行員は、詐欺や強盗の被害が頻出しているので、定期預金継続すべき旨を執拗に説明した。Yが翻意しなかったので、行員は、現金で持ち帰るならば、被害防止の為に警察官が立ち合うことになる旨、説明を追加した。

 当日、応接室で、行員、金融機関次長及び警察官から、現金で持ち帰ることや多額を普通預金にしておくことの危険性について散々説教されたが、了解を得た上で会話を録音しながら、Yは意向を押し通した。警察官は、現金保管の危険性を強調した上で、保管方法が決まったらその旨連絡するようYに約束させるとともに、Yの氏名、年齢、住所、固定電話番号、携帯電話番号等を確認して控えた。警察官が退室する際、同次長はYが安全に帰宅するまで見届ける旨を警察官に告げた。

 警察官退室後、すぐに次長も退室し、若い行員一人が対応したが、手続きミスやその訂正などに手間取り、現金(全札旧紙幣)が返還されるまでに長時間を要した。

 Yが金融機関を出るとき、安全を見届ける旨約束した次長は、姿を見せなかった。

 事程左様に、窓口で預金を返してもらうことは難しいのだが、ATM操作でも、詐欺被害を疑う人々が干渉してくる。

挿絵(By みてみん)

  認知症疑惑の情報が金融機関に届いたときは、預金が凍結され、同居配偶者や子供でも引き出すことが困難になる。

挿絵(By みてみん)

 年寄りの預金が金融機関から引き出されないまま時が経過し終局的に金融機関の物になってしまうケースは少なくない筈。

 ときには、裁判所が勝手に保佐人を選定して個人の財産を管理させ、同居配偶者や子供の関りを排除する事例も多く聞くようになった。

 怖ろしい時代になったものである。

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