勇士決闘の終焉
オリエがビャクヤの傷を癒やしている。吟遊詩人は多少の治癒魔法が使えるらしい。
マドッグは何も言わない。
「俺も直して」と頼めるほど、彼も厚顔ではない。
気まずい雰囲気が辺りを支配していた。
「戦い、終わり」と宣言したマドッグに、ビャクヤの目は冷たかった。
彼を起こそうと手を差し伸べたが、ぴしゃりと弾かれる。
──だろうな。
マドッグはただ木の床を見つめた。
あまりにも意外でバカバカしい、勇士決闘の終わりだ。
ビャクヤとオリエはキルバリーの宝なんていらない、と突っぱねた。
半分に分けようと、せめてもの詫びのつもりで持ちかけたのだが。
「あのさあ」重い空気を何とかしようと、マドッグは明るい口調を作る。
「今回の決闘には王様の命令があったらしいから、おまえらはすぐに国から出ろ……もうローデンハイムに用はないだろ?」
「ええ、ありません。二度と来ません」ビャクヤは声は、怒気にうねっている。
彼の顔の傷は跡もなく消えていた。オリエの力だ。
──俺の足もやってほしいな、あと目とか。
密かに願うマドッグだが、言い出すチャンスはなさそうだ。
「……マドッグさん」ビャクヤは肩を震わせながら口を開く。
「色々とありがとうございました……でも、もう二度と会うこともないでしょう。いえ、俺はあなたに二度と会うつもりはありません!」
オリエはマドッグを見ようともしない。
「あ、ああ、そだな……ええと……あ! な、仲間の所まで元気でな」
顔を引きつらせながらマドッグは答え、手を振る。
こうして異世界人二人は去っていった。
マドッグと莫大なる財宝に背を向けて。
パン屋の息子・タフティVS異世界人・皆部白矢。勝負つかず(戦う理由なくなっちゃった)




