表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

63/89

騎士と勇士9

 全ての後片づけが終わり、マドック達四人の勇士が、また一堂に返していた。


「これで騎士殺しはなしだ」


 六つ消し炭を要塞近くに埋めたマドッグは陽気に宣言した。


「あんまりー、いい気分じゃーないなー」疲労で顔色が悪いミュルダールが唇を尖らせる。


「とにかく、俺達はこれで決闘に専念できる」


「どうしても、やるんですか?」


 ビャクヤの問いに、肩をすくめて見せたマドッグは、


「やらないとお前はブローデルから情報を聞けないだろ? ミュルダール、だからあんたは俺とだ」


「はあー」ミュルダールは吐息し、「あんましー、あんたはー、好みじゃないのよねー」とそっぽを向く。


「仕方ないさ」マドッグはどこか投げやりだ。


「では、ビャクヤ殿。私の相手はそなたでよろいしか?」


「……はい」ビャクヤはしばらく唇を噛んでいたが、決心したのか頷いた。


「ミュルダール、決闘は明日の夕方、場所は南の街道だ。見届け人は俺が探す」


「はー、もー好きにしてー」


 ミュルダールはうんざりしたように、丸投げする。


「ビャクヤ殿」ブローデルは少し体をすぼめて詫びた。


「すまぬが、私には務めがある、決闘は三日後でよろしいかな?」


 彼等は何か言い合っているが、マドッグは密かに考えることがあった。


 かっぱぎだ。


 騎士達の大仰な鎧と飾りのついた剣は、魔法で燃やすのに邪魔だから外している。それを売ろうと彼は考えている。勿論、彼等がここまで乗って来た軍馬もだ。


 それらはかなりの額になるはずだ。普通金貨五〇〇枚が相場だろう。


 ソフィーにそれで『英雄的治療』に使う薬と、浴場で医療も施せる。ついでに新鮮な肉も、ライ麦ではないパンも買える。


 マドッグは、たった一人の家族であるソフィーを幸せにしてやれる幸運に、一人心が浮き立っていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ