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騎士たち1


「しけた街だな」


 騎士コクトーのサイレスの街に対する心証は悪かった。仕方ない、サイレスはローデンハイム王国にある街の中で、一番大きい訳ではない。


「しかし、色々と面倒でしたな」


 騎士ミシュレは嘲るような口調で、これまでの感想を述べる。


「全くだ、何が都市貴族だ。我々騎士と同じ身分だと思っているのか? 思い上がりおって」


 コクトーはむっつりと答える。 


 サイレスの街は、有力者達に裁量を任された自治都市である。


 王国騎士と言えど、街の有力者・都市貴族と呼ばれる者達に、復讐権について説明しなければならなかった。


 コクトー達は予想していた。


 故にここら一帯の領主の息子である二人の若き騎士、ラリックとマンサール兄弟を連れて来た。なのに、街の有力者達の集まりである参事会は揉めた。


 マドッグ等という下層市民の冒険者についての是非ではない。街で騎士達の戦闘が行われるのに、皆難色を示したのだ。


 ラリック、マンサール兄弟が父からの特許状の無効を言い立て、ようやく参事会の都市貴族は黙った物の、街中の戦闘は許されなかった。


 コクトー達は激怒した。


 騎士は誇り高い。なのに都市貴族などと呼称する市民に、指示された。


 彼等は一様に腰の剣に手をやった。


 だが耐えた。


 自治都市は侮れない存在だ。裁判権も警察権もあり、市民軍もある。数人の騎士ではとても歯が立たない。


 仕方なく彼等は、サイレスの街での戦いを回避すると誓い、都市貴族達の元を去った。


 そんな経緯もあり、騎士ベルリオーズの復讐に来た騎士達は、鎧を着ていなかった。


 鎧は戦など戦うときだけ着用する物だ。今は普段の仕立てのいい服に身を包んでいる。


 ただし帯剣はしている。


「で、ベルリオーズ卿の仇、マドッグをどう探します?」


 熊のような体格の騎士アルランが、興味なさそうに周囲を見渡す。大都市ではなくとも人の数は多い。


 参事会で釘を刺された彼等は、まずマドッグを探さねばならない。


「ふん。どうせ冒険者だ、冒険者ギルドにでも行けば判る」


 コクトーは敢えて大きく肩をすくめた。



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