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騎士ベルリオーズと……
「ベルリオーズ卿! 貴様、なんて事を」
ハワードとか言う男が、顔色を蒼白にしながら馬の上から怒鳴るが、彼には関係なかった。
「さあ、さっさと城に戻ってこの結果を報告しろ……騎士ベルリオーズは勇士決闘でマドッグが倒したとな」
「こんなこと、王が許しても教会が許さないぞ」
彼はハワードの瞋恚の目にぱたぱたと手を振る。
「あ、そーかい」
彼はハワードに背を向けると、戦場を後にした。
血まみれの左顔面を抑え、背後を警戒しながら大きな木の陰に入る。
その場に崩れた。
彼・ルベリエは血で固まった口ひげを撫でる。
「若い者のマネはしんどいねぇ」
無様に地面に転がりながら呟く。
紙一重の戦いだった。もっと楽に行けるかと踏んでいたが、やはり勇士に選ばれる騎士は強かった……もしくは自分が予想した以上に老いていた。
「ともかく、最後の博打の始まりだ」
ルベリエは荒い息を吐きながら、次の展開を考え始めた。
騎士ベルリオーズVS戦士ルベリエ。ルベリエの勝ち(甲冑を過信しすぎ)