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【eスポーツ小説】Faster Fastest R  作者: 赤城康彦
55/56

Tokyo Final ――東京決戦――

(もうこうなったら、せめてのトップゴールをしよう!)

 残り時間は他の2台より少ない。もう勝負はついた。

「……」

「……」

 龍一とフィチは、ペースを上げる。そしてブロックを1つスルーしてしまう。

「え、何考えてんのよ!」

 ソキョンは叫んでしまった。せっかくの勝てるチャンスをふいにするのか! と。

 しかしブロックをスルーしたおかげか、フィエスタに追いつく。しかし残り時間は3台とも同じになった。

 ブロック1個スルーすることで、残り時間が一気に2秒にまで減る。もしまた1個スルーしてしまったら、もう時間切れでゲームオーバーだ。

「おいおい、こいつら……」

「にくい真似しますねえ……」

 レッドブレイドは、ふたりがヤーナに合わせてわざとブロック1個スルーしたのではと推測した。

 ギャラリーやプレスの人たちも、固唾を飲んでレース展開を見守る。

 ブロックを壊しながら走れば、ぎりぎりでも残り時間はある。3台重なり、誰が勝利するのか、誰もが測りかねた。

 もうゴールまでコーナーは3つ。右中速カーブ、左高速カーブ、右の中速カーブ。ブロックは意地悪くも、無駄な動きをさせるように配置されている。

 シムリグとリンクし、ディスプレイを見据え。操作での素早い動きを見せる。

 壊されるブロックの破片が、ウェールズの夕焼けの彼方に消えてゆく。

 ゴールゲートが見えた。

 ゲートは残り一個。最後のカーブを抜け、向かって道の右端。ブロックに照準を合わせてアクセルを踏み込む。

 ミラージュが、i20が、フィエスタが唸りをあげて加速し。ブロックを壊し。破片は飛び散り消えてゆき。

 最後の操作、ゴールゲートにノーズを向けるための操作。ブロックからまっすぐ加速すればゴールゲートにぶつかってクラッシュしてしまうから。

 ずるっ!

 と3台のマシンは、オーバーステアでリアを余計にスライドさせてしまう。ここは砂利が多めでスライドしやすいようだった。

「いけえ……!」

 オーバーステアをおさえながら、3台のマシンがゴールゲートに迫る。残り時間は同じ。となれば、タイム順での勝負となる。

「ああ……」

 ソキョンは思わず呻く。i20のノーズが少し抜け出ているように見えた。

「トップはSpirak K選手のi20! 続いてDragon選手のミラージュ、Honey Bear選手のフィエスタと続きます!」

 司会の冬月が言う。

 勝負あった! そのタイム差は本当に僅差だった。

 試合は終わり。選手たちへの喝采代わりの拍手が鳴り響く。

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