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【eスポーツ小説】Faster Fastest R  作者: 赤城康彦
53/56

Tokyo Final ――東京決戦――

 5、4、3、2、1……、

 Go!

 レーススタート!

 ミラージュとi20、フィエスタは唸りをあげてスタートゲートをくぐる。ヘッドライトをともしている。スタートと同時に、ディスプレイには残り時間をしめす3が表示された。

 スタート1つ目のブロックを壊す。これは真ん中にあった。壊されたブロックはばらばらになり、破片は飛び散ってゆく。同時に残り時間が2秒加算される。

 しかし2つ目からは、右に左にとスラロームをさせるように配置されている。

 コースはただでさえ右に左に曲がっているうえに未舗装のダート路面で滑りやすいので、挙動を乱す条件はただでさえある。そんな中で、各所に配置されているブロックにぶつかって、壊さなければいけないのだ。

 カーブ入り口でハンドブレーキを引き、アクセルを多めに踏み、タイヤをスライドさせマシンを斜め向きにし、入り口のイン側にあるブロックをノーズをぶつけて壊し。スライドさせつつ、リアテールでカーブアウト側のブロックを壊し。さらにスライドさせカーブ出口のイン側のブロックに照準を合わせて、アクセルを踏み、加速させて。

 ノーズをぶつけてブロックを壊す。

 その鮮やかなマシン操作にギャラリーたちはやんやの喝采代わりの拍手を送る。

 壊れたゲートの破片は、土埃にまかれながら、風に吹かれる塵のように消え去ってゆく。

 夕方の時間。草原区間に紅い夕陽が降り、ほの暗くなってやや視界は悪いが。森林区間となれば、もう木漏れ日はほとんどなく、すでに夜の帳が落ちたようだった。そこをヘッドライトで照らし出しながら走る。

「残り時間は示し合わせたように、3台とも同じ! 第2レース同様の拮抗した展開です!」

 と司会の冬月は言う。

 森林区間の中には、欄干のない橋がある。そこは右に左にブロックが5つ置かれて、スラローム走行を強いられる。

 その橋に迫る。橋の端に置かれたブロック、まずは右、次は左と、欄干のない橋の上でのスラローム。荷重は右に左に移り変わり、慣性がついて、橋からはみ出しそうになる。

 少しでもハンドルやペダルの操作を誤れば橋から落ちて、川にどぼん! だ。龍一はそんなことにならないよう、思わず慎重になってしまう。

「あらら……」

 ソキョンはノートPCを見据え頭に手をやって呻いた。ミラージュが後れを取った。傍目からも慎重になりすぎたのはわかった。龍一の橋アレルギーは相当なものだった。

「やっちまった……」

 龍一は忸怩たる思いを湧かせながら、挽回のため必死に走る。

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