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【eスポーツ小説】Faster Fastest R  作者: 赤城康彦
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Tokyo Final ――東京決戦――

 右をクリアし左に突っ込む。全神経を集中させる。

 アクセルをより踏み込み、4つのタイヤのスライド状態を維持し、より高い速度も維持する。

 ハンドブレーキを引き、ハンドルを回し、マシンはシケインの2つ目の左を回ろうとする。3台のうちどのマシンが前でシケインをクリアするのか、観る者全て息をすら止めてディスプレイを見据える。

「ままよ!」

 龍一はアクセルを床まで踏み込んだ。ミラージュは咆哮をあげる。ディスプレイ右下に表示されるタコメーターは一気にレッドゾーンに達し、レブリミットを効かせ、メーターは赤く点滅する。

 ギアを上げる。ヘッドライトに照らされてゴールゲートが見えてくる。

「……!」

 順位表に変動があった。両チームメンバーは時が止まるかと思うほどにノートPCを見据える。

 ゴールゲートが迫り……。

 ……そしてゴール!

「トップでゴールしたのはDragon選手のミラージュです! 以下Spiral K選手のi20、Honey Bear選手のフィエスタ!」

「やあったぁぁぁーーー!!!」

 ディスプレイを見据え、司会の冬月の声とともに、ウィングタイガーのメンバーたちは、とっさに椅子から立ち上がってもろ手を挙げて喜びをあらわにし、肘タッチを交わす。

 ウィングタイガーのワン・ツーだ!

 対照的にレッドブレイドの面々は眉をしかめ憮然としてしまう。2連勝すれば試合の勝利は確定しただけに。

「よしッ!」

 ゴール直後、龍一は左手の拳を握り締め、控えめなガッツポーズをした。

「ふう」

 と、2位のフィチは落ち着いた状態でシムリグから立ち上がり。

 ヤーナは、眉をしかめ憮然として、きっと一瞬龍一を見据えて。シムリグから立ち上がった。

 龍一も立ち上がり、フィチと握手をしてワン・ツーを喜び。そこに鋭い眼差しのヤーナが来る。司会の冬月はヤーナの雰囲気に押されて、一瞬マイクを出すタイミングが遅れてしまった。

「悔しい!」

 それだけ言うとヤーナは奥へ引っ込んだ。龍一は少し驚くが、フィチはキャリアが長く経験もあるためか、落ち着いたものだった。

「まあ、なんとか勝てました……」

「2位は少し悔しいけど、チームでワン・ツーできてよかったです」

 と言うと会釈して奥にゆく。

 15分のインターバルだ。

「お疲れさん」

 優は名前の通り優しげにホットコーヒーをヤーナに差し出す。

「……ありがとう」

 紙コップを受け取ってヤーナは椅子に座り、コーヒーを少しすすり、ふうと少しくつろぎ落ち着くところを見せた。

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