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【eスポーツ小説】Faster Fastest R  作者: 赤城康彦
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New Challenge ――新たな挑戦――

「韓国も寒いよ。僕の友達、バイクのガソリンもオイルも冷却水も抜いて、車庫に保管して、早く春よ来いと何度も言ってるよ」

「韓国は北の方だから、冬は寒すぎてバイク乗れないんだなあ。本当に、早く春になってほしいなあ」

「そうだね」

 窓の向こうには、青空が広がって。太陽も光り輝いているが。その空気はやはりまだまだ冷たい。

 街路樹の葉は赤いのが混ざり。道行く人々の服装もまだ厚着だった。そして皆マスクをしていた。

 新型コロナウィルスによるパンデミックはまだまだ続いていて、感染者もまだまだ出ていた。

 幸いに龍一とフィチは感染を免れていたが、油断はできない。

 それでも、今日は日曜日。大会に向けて気を引き締めなければいけないが、引き締めっぱなしも、過ぎたるはなお及ばざるが如しで疲れてしまうから、少しの間だけくつろいでもいいだろう。

 と、しばし気休めの雑話をしてから。よし、と気を取り直し。龍一はシムリグに身を預ける。

「じゃ、オレ走り込みするわ」

「うん、僕も走り込みをするよ」

 じゃあなと互いにビデオチャットを切り、シムリグとリンクし、それぞれのマシンでダートを走り込んだ。

 2週間後の大会、絶対に勝つ! と心の中で強く念じながら。


 それは燃えるような赤だった。

 左腕に彫られたファイヤーパターンのタトゥーは、動くたびに揺らめくようだった。

 ヤーナは半そでの赤いTシャツにジーンズ姿のラフな格好でシムリグに身を預けていた。暖房はよく効かせている。

 肩までの髪も燃えるような赤で、サイバーパンクに出てきそうなパンクな印象も強かった。

 レースゲーム、シムレーシングとはいえ手にはグローブ、足はレーシングシューズと本格的な装備。

 都内某所にあるガレージの中、シムリグが2台並んでいる。ほかにもゲーミングPCが5台反対側の壁際にあった。

 ヤーナはその中のシムリグの1台に身を預け、碧い瞳は鋭くディスプレイを見据えていた。

 フォード・フィエスタの赤いボンネット越しに、迫りくるダートのコーナーを右に左にクリアしてゆく。

 AI音声のコ・ドライバーの声、走行指示のマークがヤーナを導く。

「うん、いい感じだ」

 日本のeスポーツチーム、レッドブレイドの監督、塩谷優しおやゆうは黒いスポーツマスクをして、ヤーナの少し後ろで腕を組んで、ディスプレイを一緒に凝視して。満足そうにうなずく。

 他の2名のスタッフも、ソーシャルディスタンスを保ちながら、同じようにしている。

「トゥ、フィニッシュ!」

 フィエスタはゴールに飛び込んだ。グリーンでタイムが表示される。

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