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【eスポーツ小説】Faster Fastest R  作者: 赤城康彦
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Tokyo Final ――東京決戦――

 そこに物理的ダメージもともなうリアルラリーの緊張感は。

 かつて、Forza E World GPで競い合った、WRCやラリークロスで活躍した元プロレーサー、カール・カイサのことを一瞬だけ思い出した。

 だからって、eスポーツは遊びじゃない。それをわかってくれていたからこそ、カールはeスポーツに転向した。

 勝負は人生が懸かっている。もしこれでへまをすれば、龍一はあっというまに無職だ。

 100インチ大型ディスプレイは第3者視点のリプレイ映像形式で、3台がミラージュカー設定で、スプリントをしているように映し出される。

 先頭はフィエスタだ。

 2連勝すればそのまま勝ちだから、気合も十分、飛ばす飛ばす。

 フィチもディスプレイに映し出される道を見据え、シムリグと自らをリンクさせてゲーム内のi20を走らせ、フェスタに食らいつく。

 龍一もシムリグとリンクしディスプレイを見据え、ゲーム内のミラージュを駆り。i20に食らいつく。

 ターマックステージはダートステージに比べてグリップをして走りやすいと思うのは、のろのろ走っているからで。極限まで走れば、タイヤはスライドし、しすぎれば道を外れ、あるいは崖下転落で、ごろんごろんと横転するかもしれなかった。

 回転する4つのタイヤはスライドしつつも、巧妙なアクセルワークとブレーキングでしっかり路面をとらえて。流れながらもレールの上を走っているような、オン・ザ・レールの走りを見せている。

 エキゾーストノートとスキール音が絶妙に混ざり合い、耳朶を、肚を突く。

 右から左、左から右と、マシンは踊るように、舞うようにひらひらと軽やかなフットワークを見せる。

 龍一、フィチ、ヤーナと、ディスプレイを見据え。シムリグとリンクし、小刻みな運転動作を見せ。

 夜の闇を切り開くように道を照らすヘッドライトの光りを、コ・ドライバーのフランシス・シェイクスピアのナビゲートを頼りに、ディスプレイの中のマシンを走らせている。

 リアルの時間は土曜の昼下がりなのだが。試合を観戦し、100インチ大型ディスプレイを眺めるうちに、まるで観る者もディスプレイの中に入り込み。夜の世界にいるような錯覚を覚えそうになった。

 このeスポーツを主催する者、参加する者、観戦する者、知らず知らずのうちに一体感も持つようになり。このブースだけ他とは違う次元にトリップしたかのようにも感じられる。

 さらには、自分も選手と一体化してマシンを駆っているような錯覚も覚えそうだった。

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