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【eスポーツ小説】Faster Fastest R  作者: 赤城康彦
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Tokyo Final ――東京決戦――

 それを見るそれぞれのチームメンバーたち、とくにレッドブレイドのメンバーたちは苦笑するどころか、呆気にとられる思いでもあった。

(これが、あのForza E World GPのウィナー……)

 噂には聞いていたが、噂以上予想以上の人だった。

「ちょっとー、なに同じ場所で同じ失敗してるのよ!」

 ソキョンはおかんむりだ。龍一はひたすら「すいません」を連発する。

 フィチとヤーナは無難に走りゴールする。あまりにも対照的で、目立った。

 画面が切り替わり、再スタートするも。制限時間は無情にもなくなり。赤字のDo not finishが表示される。

「やりなおし!」

「……はい」

 走り終えたフィチとヤーナは、やり直しを強いられる龍一をおかしそうに眺め、その走りも観察する。

 ミラージュは、今度こそゲートを破壊し、橋もクリアし、どうにかこうにかゲートクラッシャーモードコースをクリアした。

 が、それでも3人の中で一番残り時間が少なかった。

 課題コースをひと通り走り終えて、時々走りと止めて監督やチームメンバーとあれこれ話し合い。時には裏の控えスペースに行ってお茶やコーヒーでのどを潤し、クッキーやビスケットをつまんだ。

 緊張感は必要とはいえ、必要しっぱなしは余分に疲れるから、こうして休憩しリラックスを間に挟むのは大事なことだった。

 昼になった。

 昼食をとることにして、皆一旦裏の控えスペースに回れば。長机の上にお弁当が人数分用意されていた。お弁当は幕の内弁当だった。

 ご飯を俵型に見えるように型押しし、胡麻を散らし、真ん中に梅干しを乗せて。おかずはエビ天や卵焼きなど。

「ほほう、奇をてらわないセレクト。いいですねえ」

 優は好きなのかご機嫌で北条に言い、北条はどうもと笑顔で返し。皆、笑顔で幕の内弁当を食った。

 ウィングタイガーとレッドブレイドはそれぞれ分かれて椅子に座り、幕の内弁当を食していた。優の言う通り奇をてらわないいい意味で素直なお弁当セレクトだった。

「梅干しがほどよくすっぱくてお米にも合って、ほっぺが落ちそう」

「エビ天の中身ぷりぷりでサクサクころもで、おいしいね」

 ソキョンたち韓国から来たウィングタイガーのメンバーも幕の内弁当に舌鼓を打った。

 このランチタイムは完全にリラックスし、メンバー同士での雑談も交わされる。

 幕の内弁当を食べ終え、蓋をし容器を丁寧に置いて、ヤーナは龍一とフィチのもとまでゆく。

 なんだろうと、視線がそこに集まる。が、

「まあ、いいじゃねえか。好きにさせてやれ」

 と、ヤーナをじろじろ見ないよう、優はチームメンバーに注意を促した。

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