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【eスポーツ小説】Faster Fastest R  作者: 赤城康彦
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Tokyo Final ――東京決戦――

 その異世界的なファンタジックな草原と森林のダート林道を、ミラージュが、i20が、フィエスタが疾風のように疾走していた。

 先頭はミラージュだ。様子見なので本気は出してなく、流す程度だが。フィチとヤーナはより慎重なようだった。時に前と後ろを入れ替わりしつつ、という感じ。

 次いで夜のスペイン。世界を漆黒の闇が覆っているようだが、夜の空を星々がきらめき、その存在を自らの光りでしめし。月もまた月光を発し、夜闇に溶け込んだ雲をうっすらと闇から掬い出す。

 マシンはヘッドライトで夜の闇を切り開き、ターマックを疾走する。町の灯かりや、ギャラリーの持つ発煙筒の赤い煙など、夜の闇から掬い出されてその存在をしめす。

 夜の闇や星空に月光、地上のヘッドライトに町の灯かりに発煙筒の赤い煙など、これらのコントラストの鮮やかさ。ウェールズとは違った趣の幻想を感じさせる。

 チームメンバーたちはシムリグのディスプレイはもちろん、100インチ大型ディスプレイに思わず目を奪われてしまっていた。

 この夜のスペインは距離が開いた。その場合は、カメラが切り替わるように場面が切り替わり、マシンをクローズアップする。

 なぜ距離が開いたのか。ミラージュがスピンし、立て直す間にi20とフィエスタに置き去りにされてしまった。龍一はありゃりゃと苦笑を禁じ得なかった。

 北条をはじめ主催スタッフたちはチームメンバーの反応を見て手ごたえを感じていた。彼ら彼女らはゲームのプロだ。それがシムリグはもちろん、100インチ大型ディスプレイに強い関心を示しているのだ。

 大型ディスプレイは基本的に業務用なので、これを家庭用で使用する世帯はごくわずかだろうが、このようなイベントでは欠かせない必須アイテムだ。これをイベントで使いたいと注文が多く来ることを期待した。

 次いで、最後のゲートクラッシャーモード。ウェールズのコースの、最初の5キロを使用し。コース各所に置かれたゲートを壊しながら走り、制限時間を多く残してゴールした方が勝ちというルール。

 破壊される黄色いゲート、その破片までくっきり映る。これがCGだと言ってもにわかに信じられないくらいに。

「あ、しまった!」

 龍一は素っ頓狂な声を上げる。

 あろうことか、ミラージュは森林の中を流れる川を渡る、欄干のない橋で、端っこのゲートを壊しざまに車輪まで脱落させて、そのままどぼんと川に落ちてしまったのだ。

 100インチ大型ディスプレイは、その流れる川の水の鮮やかさ、ミラージュが落下した際の水しぶきも鮮やかに映し出した。

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