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【eスポーツ小説】Faster Fastest R  作者: 赤城康彦
27/56

Chase the mirage! ――彼方を追え!――

 予選突破だ!

「よっしゃああーーー!」

 とっさにマスクをし間隔を空けて、優やスタッフたちはもろ手を挙げて絶叫した。

 ヤーナはシムリグでガッツポーズをし、カメラに向かい会心の笑みを見せ、左手の親指を立てる。

 ライブ配信のチャットも、やったあー! とか、やりやがった! とかのコメントが表示され。予選突破を一緒に喜ぶ。

 その間、スタッフのひとりが素早くスマホを操作する。

「優さん、最初の予選突破ですよ!」

「なに、最初のひとりめか! そりゃあ、めでてえ!」

 ヤーナはシムリグを離れ、優やスタッフたちと肘タッチをして予選突破の喜びを分かち合う。

「勝つぞ、来週の決勝勝つぞ!」

 という会心、決意の叫びがガレージに響き渡った。マスクをし互いの間隔を空けたうえで。

 そのころ、ウィングタイガーは、

「トゥ、フィニッシュ!」

「ああ……」

 無事ゴールできたものの、フィチは眉をしかめた。順位表はkenny Brake、Spiral Kの順だからだ。

 タイム差はコンマ003秒差だったが、負けは負け。予選突破ならず。

「すみません」

「まあ、仕方がないわ」

 ソキョンは指示して一旦ライブ配信を途切れさせる。動画配信ササイトの画面には、Please wait...の文字が表示される。

「龍一、大丈夫?」

「はい」

 龍一もどうにか気を取り直し、ライブ配信を眺めていたが、その結果にため息をついた。

「こんな時に何だけど、敢えて言うわ。龍一のそれはエゴイストじゃなくて、虚勢よ」

「はい……」

 スタート前はなんだか威勢はよかった。だがその気持ちに反し、一度目の結果はスタートしてすぐクラッシュという、さんざんなものだった。

(エゴイスティックと虚勢は違うんだ)

 ということを痛感していた。

 まだ一度目だったのが不幸中の幸いだった。

「どうしますか? 再開しますか? 一旦休みますか?」

「そうね、30分休みましょう。その間、ステディでアグレッシヴ、そして勝つことをイメージしておいて」

 龍一とフィチはともにはいと返事をし、シムリグを離れて。龍一は床にねそべり、フィチは椅子に座って腕を組んで瞑想する。

「なかなか難しいなあ」

 龍一は天井を見ながらつぶやく。ピロリんとスマホが鳴る。何だろうと思えば、ヴァイオレットガールに、レインボー・アイリーンからメールが!

 ヴァイオレットガールはロンドン在住のForza Eでのライバルで友人の黒人の女の子のシムレーサー。

 レインボー・アイリーンもForza Eでのライバルの女性シムレーサーでニューヨーク在住で、友人でもある。彼女は同性愛者で、伴侶のアレクサンドラ・ルオと息子のショーンと家族で暮らしていたが。彼女とは家族ぐるみの親交があった。

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