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【eスポーツ小説】Faster Fastest R  作者: 赤城康彦
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Chase the mirage! ――彼方を追え!――

 迫る景色をクリアしてゆく。

 森林区間を出て草原区間になる。上り坂を上り、急な下りになるが、その段差でフィエスタはジャンプする。うっすらと見えるKBカーとともに。

 着地し、路面はフラットになったかと思われたがまた急な下りになり、それがジャンプ台となって再びジャンプする。

 ディスプレイの向こうの空は青い。青空に向かってファルコンになって飛び立とうとするように感じられた。

(KB、あなたと直に勝負したかった……!)

 ミラージュカーは自分のだけではなく、ランキング表から他の誰かのを選ぶこともできる。ヤーナはラリーマスターズ3で、ケニー・ブレイクの、ワールドレコードのミラージュカーと競争したことはあった。

 もちろん勝てなかった。

 だけど、いつかは。

 そう思っているうちに、KBは天に召された。

 今日という日を、皆はどんな思いで迎えただろうか。

 誰も予選を通さない。そんな心意気でKBカーが創られたのだろうか?

(Неправильный!)(ニープラゲニ = 違う!)

 KBもまだまだ走りたかった、皆と競争したかった! それをコードがミラージュカーというかたちで表し、今大会で使用された。

 青い瞳がディスプレイを、うっすらと見えるKBカーを見据える。

「Прощай, наш герой!」(プラッシェイ ナシュ ギロイ = さようなら、私たちのヒーロー!)

 うっすらと見えていたKBカーが消えた。

 順位表は変動はないが。

(お!)

 突然のヤーナの声に、優やスタッフたちは少し驚いた。ロシア語のわかるスタッフが通訳した。

(さようなら、私たちのヒーロー、か……)

 ヤーナの、レッドブレイドのフィエスタはゴール目指して突っ走る。

「おおっ……」

 思わず唸る。順位表が変わった。Honey Bearが上に表示された。

 フィエスタのペースが上がった。

 右に左に、上に下に、緑広がるの草原を超え木陰濃い森林区間に入る。路面の盛り上がりをジャンプ台にフィエスタは跳躍し、上手に着地し、曲がりくねる森林の林道をまっすぐになることなく突っ走った。

(いけるか……!)

 ゴールが迫る。AI音声のコ・ドライバー、フランシス・シェイクスピアは淡々と指示を出す。ヤーナはそれに忠実に従うどころか、それ以上の走りを見せた。

「トゥ、フィニッシュ!」

 というフランシス・シェイクスピアの声。ゴールゲートに飛び込むレッドブレイドのフィエスタ。

 順位表は、Honey Bear、Kenny Brakeの順。

 Congrats, you have qualified!

 おめでとう、予選通過です!

 という表示。

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