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【eスポーツ小説】Faster Fastest R  作者: 赤城康彦
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Chase the mirage! ――彼方を追え!――

 ガレージは夏は涼しく冬は暖かな季節対策も整い、エアコンもより効きやすくなっているから、寒くなく、半そででいられる。

 ヤーナは青い瞳でディスプレイを凝視しつつ、ふと、今までの来し方が脳裏に浮かんだ。

 Forza E World GPでは12位と平凡な順位で終え。当時の所属チームとの契約更新もなく。それから無所属で小さなイベントに参加していたが、時間つぶしにしかならないような、参加する意義が見出せなかった。

 何か思い切ったアクションをしたいと思って、我が道を探っているとき。偶然ウェブでレッドブレイドの選手募集を見つけた。

 日本語はまだだめだが、翻訳アプリを使用し、これに応募してみた。

 応募締め切りが過ぎてすぐに採用のメールが来た。日本語とロシア語の両方でメッセージが添えられていた。

 入国のための様々な手続きはチームがしてくれて、ヤーナは初めて日本の地に足を踏み入れた。

 腕前はForza E World GPの決勝ラウンド進出で保証済み。実力はもちろん、パンキッシュな容姿で見る者にインパクトを与える。

 話題性はあった。

 率直に言えば、その話題性を期待してチームに入れた。と、優は馬鹿正直に話したものだった。

「そんなオレは、ビジネス優先の、ポリコレ的にアウトな、嫌な奴かもしれんが、嘘つきにはなりたくない」

 なんてことも言ったものだった。

 ヤーナは腹が立つよりも、変な面白みを覚えたものだった。そんなことを考えていたなんて。しかしパワハラもセクハラもされることなく、ひとりの人間として接してくれていたから、ヤーナは優やチームを信用していた。

「そんなことより、Dragonにリベンジしたい」

「いいねえ、その意気やよし! なおさら入れてよかったぜ」

 Dragonこと龍一は当時は耐久レースにエントリーしていたが。ヤーナはもっぱらチームの方針でラリー系ゲームの大会に参加していた。

 オープンホイールよりラリーに素質があったようで、参加した大会では常に上位に入り。連勝も記録し。インパクトあるパンキッシュな派手な見た目とあいまって、eスポーツ界隈でも話題になり。優の目論見は見事当たったし。

 龍一もそれでヤーナの移籍と日本在住を知った。

 龍一にリベンジをしたいヤーナは、機会を待った。龍一は自分のSNSこそ非公開だが、ウィングタイガーのSNSではラリーゲームの動画も投稿していたのを閲覧していた。

 いずれラリーゲームの大会にも出る。リベンジの機会も来る。と確信して。

 今日という日を迎えられた。

 それまでの間に、戦争の悲劇が起こり。彼女はロシア人のアイデンティティーを自ら封印した。

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