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【eスポーツ小説】Faster Fastest R  作者: 赤城康彦
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New Challenge ――新たな挑戦――

 フィチも韓国の自宅のノートパソコンで龍一の走りをじっくり見ていたのだ。

「でもフィチの方が少し速いな」

「頑張れば追いつけるかもよ、まあそう易々とはいかないと思うけれど」

 眼鏡をかけたもの静かそうな青年のフィチは、色んな含みを込めた笑顔をビデオチャットで見せる。

「はは、言ってろ」

 龍一も色んな含みを込めた笑顔を返す。

 龍一はもちろん日本の自宅にいて、アパートの部屋の隅のシムリグに身を預け。

 ラリーマスターズ4という、ラリーを題材にしたレースゲームをやり込んでいたところだ。

 レースゲームはまた別の呼び方、シミュレーション・レーシングことシム・レーシング(Sim Racing)とも呼ばれていた。

 龍一とフィチはゲーマーでもあり、シム・レーサーでもあった。

 龍一はシムリグから立ち上がり、サイドテーブルの前に腰掛け。マウスを操作して動画投稿サイトにアクセスし、フィチのチャンネルを開けば。

 一番新しい投稿動画をクリックした。

 ミラージュと同じデザインのヒョンデ・i20が、さっき走ったコースを走っている。鋭い眼差しを思わせるシャープなヘッドライトから精悍な印象を受ける。

 画面の左上にはタイムが表示される。

 まずプレイ画面。i20のボンネット越しの風景が吹き飛ばされるように前から後ろへと流れてゆく。そしてフィニッシュ。

 それからリプレイ画面。未舗装路を、ヘッドライトの目つきも鋭いi20が、砂埃を巻き上げながら疾走する。

 これはもちろんフィチが操作したものだ。

 動画を観ながら雑談を交わす。この区間ではこういう感じで走ったなど、走りに関することがほとんどだ。

「だけど、どうして今僕の動画を観ようと思ったんだい?」

 フィチはやや照れを覚えて苦笑する。

「自分の走りの記憶が新鮮なうちに、見比べておきたいんだ」

「なるほど……」

 フィチは日本語を話せた。そればかりか、英語も堪能だった。

 昨年参加したeスポーツの世界大会、Forza E World GPにおいて、フィチは通訳も買って出てくれて。そのおかげで、外国人選手との会話に苦労することなく試合に専念でき、優勝までしてしまったのだった。

 フィチは3位に入賞した。

 そう、ふたりはただのゲームプレーヤーではない、世界レベルのeスポーツプレーヤーでもあった。

 Forza Eは電動フォーミュラーマシンによるレースを題材にしたシム・レーシングだったが。

 今回参加する大会は、ラリーを題材にしたラリーマスターズ4によるeスポーツの試合だった。

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