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【eスポーツ小説】Faster Fastest R  作者: 赤城康彦
13/56

New Challenge ――新たな挑戦――

 タイムは、フィチがコンマ1秒まさっていた。

「ランキング表を出してください」

 ずっしりと重い感じのソキョンの声がして、ふたりはおそるおそるランキング表を表示させた。

 1位はHoney Bear。2位はDragon。3位はSpiral K。

 だが、さっき出したタイムは自己ベストに後れを取っていた。

「これが決勝だったら表彰台にも立てないわよ」

「すいません……」

 ふたりは忸怩たる思いに駆られてしまった。

 他の車と抜きつ抜かれつのレースをするのではない、単独でタイムアタックするラリーにおいて、自分との戦いが重要になってくる。

 自分との戦いはどのカテゴリーにおいても最終的にはそうなのだが、他の車がなく単独で走る場合は、より重要になってくる。

 スタートしてすぐミスしてリタイヤしても、単独走行なので、誰のせいにもできない。

 完全自己責任なのだ。

 心が張り裂けて何度も叫んでも、叫び声がむなしく響くだけの、取り返しのつかない事態で。かつ、完全自己責任なのだ。

「もうお昼になりますね」

 優佳が言う。その通り、12時になろうとしていた。

 今日は月曜日だ。

(やっぱりプロでやるって、大変だ)

 アマチュアで個人的なプレーなら、ミスっても「あーやっちゃたあ~」とのんきに言いながらリセットできるが。プロの場合はそうもいかない。

 そのプレーにプロとしての責任を伴うのだから。

 その責任を果たすとは、すなわち勝つこと。

 龍一はウィングタイガーと契約し、給料も支払われていた。家は自営業で専従者として働いていたのだが、Forza E World GPで優勝したのを機に、親と相談のうえで仕事を辞め、プロのeスポーツ選手として生きていた。

 昨日は個人的にゲームをプレーしていたが、今日はチーム所属選手としてプレーしていた。しかしいいところがない。それがどういうことか。

 いろいろ考えるが、お昼だ。

 1時間休憩だ。

 龍一はシムリグからはなれ、ラジオをつけ、部屋の真ん中のちゃぶ台の上の宅配弁当を食して、横になった。

 テレビをつけずラジオをつけたのは、目に負担を掛けさせないためだ。いい加減負担が大きいゲームをしていたのだから。

 DJの軽妙なトークののち軽快なポップミュージックが流れる。番組進行状況で時間もわかる。

 目を閉じラジオを聴きながら横になって、時間が過ぎゆくに任せてゆく。

 13時になり、ノートパソコンの前に座り直し、ビデオチャットに参加する。

 午前中はミーティング、練習。午後はミーティングで終わり。という流れだ。

「龍一は、もっとエゴイスティックにならなきゃだめよ」

 などとソキョンは言う。

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