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【eスポーツ小説】Faster Fastest R  作者: 赤城康彦
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New Challenge ――新たな挑戦――

 スペインはターマックで簡単そうだが、やはりこれも曲がりくねって上り下りしてのコースとしての難しさがあるのはもちろんだが、コースの序盤と終盤にある2つの町を駆け抜けるのが、特に意外に難しい。

 さらに、時間設定は夜間なので、視界も悪い。

「……、スペインを走ってみて」

 フィチがフィニッシュするのを見届けてソキョンが言えば、龍一とフィチはスペインの課題コースをセレクトして、同時に走り出す。

 ミラージュとi20はスタートし、舗装されたコースを走るが。夜の設定ゆえに視界は悪く。ヘッドライトの光で夜闇を切り開きながら走ってゆく。

 ターマック路面は2車線で、もし明るい時間設定ならスペイン郊外の雄大な、緑広がる丘陵地帯の風景を目にすることができる。

 その丘陵地帯にある町と町をつなぐ道路がコースだ。

 まず1つ目の町に来る。暖色系のレンガやコンクリート造りの家屋や教会、塔が建ち並ぶ街並みをヘッドライトが夜闇からすくい出す。夜の町で街路灯や家屋は明かりがともされるのを目にするのは、心にも優しくつかの間の安堵感さえ覚えたし。

 どこか幻想的な雰囲気で、まるでファンタジーゲームの中にいるようだ。

 家屋の窓やベランダ、コースサイドにはギャラリーがもろ手を挙げて駆け抜けるマシンに声援を送ったり、スマホでマシンを撮っていたり、サッカー観戦気分で赤い煙がのぼる発煙筒を焚いて掲げる者まであった。

「……」

 龍一もフィチも無言で集中し、スペインの1つ目の町を駆け抜ける。

 町の中でも2車線だが、途中で石畳の路地裏になり、レンガ造りの建物に囲まれて走るのは圧迫感を禁じえず。もちろん逃げ場なく、ワンミスで激突してしまう状況でいやらしく右に左に曲がりくねっている。さらに、急な右のV字カーブが待ち受ける。

 ハンドブレーキを引き、リアタイヤをロックさせてスピンターンでV字カーブをクリアしようとするが。

「……!」

 龍一とフィチそろって眉をひそめた。

 ミラージュはうまくスライドできず、アウトに膨らみ、向こうの家屋の壁にノーズをぶつけてしまい、タイムロス。

 i20はV字カーブこそクリアできたが、次の左直角コーナーをうまく曲がれず、アウトに膨らみ、アウト側の家屋の塀にノーズをぶつけてしまい、タイムロス。

 通常の道路と違い、町は難易度が一気に跳ね上がる、罠のような存在だった。

(景色はいいのに)

 優佳はファンタジーゲームを思わせるスペインの美しい町の景色が好きだった。

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