表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女御子ちゃん(仮)  作者: ミラ・ミス
9/25

無能のマスコット

私、如月御子は現在宿題を消化している。

まともな学生生活で真面目に勉強をしてそれなりの成績を維持している。

でも今日は友達の家で宿題の見せ合いをしているのだ。

小学生の時は宿題を真面目にやっている友人がいなかった、去年も真面目にやっている友人は居なかった。

私が終わらせた宿題を無遠慮に見せろと言ってくるので見せてあげていたのだ。

でも今、女子になり女子と仲良くなると一変する。

そう思っていた時期が私にもありました。


「御子ちゃんはいあ~ん、美味しい?」

「あ、ありがとう。美味しいよ」


私は今餌付けされて髪を弄られながら宿題の成果をもぎ取られている。

なぜこうなったのか。私ってもしかしてちょろい?


時は遡り放課後。

今日は土曜日で午前授業だったのだが、少し多めの宿題が出てしまったのだ。

それで細川さんの家で宿題を消化するための勉強会をしようという話になった。

メンバーは私を含めて5人。普段からよく絡んでいる人たちだ。

細川さん、加賀美さん、相川さん、榊原さん、そして私。

細川さんはいつも話しかけてくれるムードメーカー。加賀美さんは私のあれの有無を平然と鷲掴みにして確認しようとするちょっと変わった人、でも美人で男子人気は高い。相川さんはいつもちょっと変なことを呟いている少し変わった人。榊原さんは多分髪フェチだ、毎日学校で色んな髪型にされてしまう。


このちょっと濃いメンツで勉強会のはずだったのに、真面目に宿題を消化してたのは私だけ。宿題が終わってからは軽く予習と復習をして一息ついていると…先ほどの状況になったというわけだ。


「なんで私の宿題を写しているの?みんなも真面目にやった方がいいよ…?」

「あまい!御子ちゃんはこのチョコ菓子よりもあまいよ!私の頭の出来はそこまでよくない!」

「私は自分で終わらせたわよ?本当よ?」

「御子ちゃんはいつも男子に宿題を見せてあげてる聖女様なので私にもお慈悲を」

「いつも髪を可愛くしてあげてるお礼ってことで…」


細川さんは完全に開き直っている。

加賀美さんはすまし顔で私の答えと照らし合わせてはたまにハッとしてしれっと書き直していた。

榊原さんは勝手に髪を触ってくるのに報酬を要求してくる。

そし私は聖女じゃないし悪友は私がいないとダメな人間なのでちゃんと見てあげないといけないのだ。これも腐れ縁の宿命なんだ、私はちょろくない。


そのあとはみんなで予習と復習をする。

ワイワイとしながらの勉強は結構楽しいかもしれない。

いつもは妹に教えながらやったりはしてたけど、同じ勉強を一緒にするのは初めてだった。

一方的に見せるわけではないので、細川さん以外には。

私もわからないところは当然あるので、時々教えてもらいながら私も教えて、あっという間に変える時間になる。


「美代ちゃん御子ちゃん今日はありがとね~」

「こんなに賑やかに勉強したのは初めてだったから楽しかったよ」

「貴女ももう少し自分で考えなさいね、いつまでも私たちがそばにいるわけじゃないのよ」

「は~い」


細川さんは高校受験とか大丈夫なのだろうか。

私もそろそろ考えないといけないな。

でも魔法少女をしながらまともに中学生活を送れるのかな。

まあ今のところはなんとかなっているので心配は無用かもしれないけど。


帰り道、サクラちゃんに少し似た雰囲気のぬいぐるみを抱いた少年と出会う。

男なのにあんな可愛いものを平然と持ち歩けるなんてすごい精神力だ。


「おい向日葵!本当にこの辺だったのか?何もないじゃねぇかよ」

「僕は確かにここらで気配を感じたんだ、こっちの魔法少女に殺られたんじゃないの?」

「馬鹿言えお前!魔法少女ってこの前の虫にビビってたようなのだろ?お前の感じた気配ってレベル10のヤバいやつなんだろ、流石に無理だろ」

「こちらの魔法少女は全部で5人いるんだ、5人全員が無能なわけがないだろう?それに今代の魔法少女の一人には彼の最悪をも一撃で屠れるほどの逸材がいるのだ。貴様ももっと強くなってもらわないと僕が困る」


虫にビビってた魔法少女ってもしかして私のこと!?ちょっと失礼じゃない?私だって別にそこまでビビってたわけでは…。

それにそのことを知ってるって…ひょっとしてホッケーマスク?なんでワルガキに攻撃が通用するのかずっと疑問だったんだよね。


「ねえ、貴方…もしかしてホッケーマスク?」

「あ?…ってお前腰抜け魔法少女か?(意外と可愛いじゃねぇかよ)」


やはりホッケーマスクだった。向こうも私に気付いたみたいだが、後半は声が小さくて聞こえなかったが。

まあG型ワルガキにビビって腰を抜かしていた間抜けな魔法少女だし、いろいろ思うところもあるのだろうけど。


「貴方は何者?なぜワルガキを倒せたの?」

「何も知らないのか?」

大我(たいが)、何も知らない者に話すことはない。失礼だが我々は忙しいので先を急がせてもらう」

「すまんな!また危なかったら俺が助けてやるよ!じゃあな」


むむむ…何が「俺が助けてやるよ」だよ!今度は私が助けてやるよ!絶対に見返してやるんだから…ってあれ?なんか私気が付いたら結構魔法少女になっていることに適応してない?あれれ?


帰宅してからサクラちゃんにホッケーマスクのことを話した。

あの日以降サクラちゃんはお家でお留守番だ。でも私の周辺のことは分かるらしいので、私の周囲にワルガキの反応があれば魔法で知らせてくれるのだという。


「なんで男が魔力を持っててワルガキを倒せたんやろうな?ワイは分からんわ~。今度早乙女はんに聞いてみればええやないか?なんや仕事が休みの時に魔法少女について詳しく教えてくれる言うとったやろ?ワイも最近のこととかはよくわからんし、それよりまつもと劇団見に行きたいわ~大阪ちゅうんは遠いんか?御子ちゃん連れてってぇや!テレビやなくて本物見たいわ~」


この似非関西弁ぬいぐるみ使えないんですけど。

なんでワルガキ関連っぽいこと全然わかってないの?しかも魔法の使い方もふわっとしか教えてくれないし。

早く早乙女さんとお話がしたい。でももう一月は経つ頃だけど…私もう忘れられてるのかなぁ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ