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魔法少女御子ちゃん(仮)  作者: ミラ・ミス
8/25

体育のお着替え、そして悪友に鉄槌を

魔法少女であることをなんとか誤魔化した後、女体化後初の体育の時間である。

当然着替えは女子更衣室になるのだが。


「いいなー御子。お前女子と着替えるんだろ?あとでこっそりどんなだったか教えてくれよな!」

「いやダメでしょ。それに私はトイレで着替えるから女子更衣室には行かないよ?」


女の子になったからと言って女子更衣室に私が入れるわけがないじゃない?何考えてるんだこいつは。


このアホみたいなことを言っているのは小学生からの友人で、山城彰人(やましろあきと)

俗にいうところの腐れ縁というやつだ。

いつも女の子のお尻を追いかけては私に報告してくる。

別にお前の恋愛事情とかどうでもいいんだけど?って言っても「またまた~お前も好きなんだろ?」とか訳の分からないことを言いながら逐一報告してくるヤバい奴なのだ。


私だってそれなりに女の子にも興味はあったけど、今となっては後の祭りだ。

体の変化と共に心の方も…いや、特に変化はないんだけども。

私は男子も女子もそれなりに友達が居て、両方とも距離感が変わらないので恋愛というものを経験したことがない。

それに殆どが小学校からの付き合いなので今更れない感情なんてない。みんな等しく友人なのだ。


そういえばサクラちゃんが「魔法少女は恋をすると強くなるんや!でも許されるのは片思いだけなんや!わかったかぁ?おっとっとっとズズズズ…かーっ、やっぱり酒は美味いなぁ!」とか言ってたけど、酔っていたのでよくわからない。

恋をすると強くなるってなに?しかも恋が実ってはいけないってそんな無茶苦茶なことないでしょう。

でも私もいつか恋をするのかな。


「み~こ~ちゃん!着替えに行こー!」

「えっと…私はトイレで着替えるから…」

「何言ってるの!?更衣室使った方が着替えやすいじゃん!それに御子ちゃんとお話ししながら着替えたいな~男子のいないところで~」


細川さんの怒涛のお誘いにちょっと引いていると。


「みんなも御子ちゃんなら一緒に着替えてもいいよね~?」

「もちろん!」

「へへへ、お嬢ちゃんパンツ何色だい?」

「御子ちゃんはもう女の子だもんね、何も問題ないよ!」


なぜか好意的なのだ。

私は元男なんだよ?ひぇ~。


「目のやり場に困るよぉ」


女子更衣室で着替えが始まると、私はロッカーの扉を開けてできる限り目を背けながら着替え始める。

もちろん私は紳士なので覗き見なんてしない。

ってか今覗き見なんてした日には女子全員からの袋叩き待ったなしでしょう。


「御子ちゃんの下着可愛い!自分で選んで買ってきたの?」

「スタイル本当にいいわね、男の子の時からすらっとしてたし…」

「ピンクか…ピンクなんだね…ぐへへ」

「ねねね、髪触ってもいい?」


なんかさっきからおっさんが混じってる気がするんだけど!?

みんな半裸の状態で私の周りに集まってきてはお喋りに興じる。

女子の着替えっていつも遅いとは思ってたけど、これは遅くなるね。


そして私は好き放題揉みくちゃにされて髪型を整えられて、始業時間ギリギリに体育館に向かう。

心なしかみんなツヤツヤしている気がする。

もしかしたら私の逞しい体にテンションが上がっていたのかもしれない。

頑張って鍛えていたのに全然筋肉付かなかったけど。


「はーい女子はこっちに集合ね」


先生の号令に従い男子の方に行こうとして…。


「如月さんはもうこっち側ね」


首根っこを掴まれて女子側に引きずり込まれる。

今日の授業はバスケらしい。

みんな好き勝手に駄弁ったりボールで遊んでいる。

男子も男子でやりたい放題だったけど、女子も女子でやりたい放題だ。

先生も一定以上運動していれば何も言わないので本当にやりたい放題している。


私もボールも手に取りドリブルをする。

右手でバンバン左手でバンバン。

カットを入れて最高速度からのレイアップ。

久しぶりのバスケは気持ちいい。


「キャー!御子くんかっこいい!」

「御子ちゃん気をつけなさい、体操服が捲れて下着が見えていたわよ」

「はい!御子ちゃんパース!」


パスが飛んできたのでもう一度ドリブルをしてスリーポイントラインに立ち。

一度ボールを置いて体操服をパンツに入れる。

完全に油断してた。隣のコートでバトミントンしていた男子の殆どが私のことを見ていた。

あいつらは全員ホモだ。私を見て鼻の下を伸ばすんじゃない!!!


「男子さいて~」

「御子くんは私たちが守らないと!」


とりあえずもう事故はないだろうからその場から片手でシュートを決める。左手は添えるだけ。

完璧にシュートが決まり歓声が上がる。

あれ?また私なにかやっちゃいました?

今の私は無双状態なのだ。元男なのだからこれぐらいは当然できる。

モテ気到来なのかもしれない。

まあ女の子にならなければこんなにちやほやされなかったのでモテているわけではないし、別にモテたいとも思っては無いのだけれど。


「やっぱり魔法少女だから魔法でシュート決めたのかな?」

「でも御子ちゃんって元々スポーツ万能よね」

「御子ちゃんは私の嫁」

「凛々しい姿に惚れそう、お姉さまって読んだら引かれるかな?」


何かおかしいのも混じっている気がする。

それでも私の女体化初の体育は順風満帆に終わりを告げるのだった。

でもまた着替えタイムがあることを忘れて少し浮かれているのだった。




あの後また時間ギリギリまでお喋りしながら髪を弄られて、謎のスプレーを吹きかけられて体からいい匂いを発しながら教室に戻る。

悪友に絡まれて全力で黙秘っし、私から「女子の残り香がする!」とふがふがし始める彰人が女子全員から非難され、先生からの厳重注意で授業が始まったのだった。


今日の教訓は、女子は群れるし話が長い。

でもそんな空間に少し居心地の良さも覚えている自分がいるのだった。

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