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魔法少女御子ちゃん(仮)  作者: ミラ・ミス
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仮面ヒーローコミギラ誕生!

遂にやってきてしまった始業式。

学校が始まる、憂鬱だ。

女子の制服を着て女子として過ごさなければならないのか。

体は女の子になってても、心は男の子であり続けるんだ。


「おはようございますぅ」


ニコニコ笑いながら挨拶して教室に入る。

当然みんな驚いている。こいつ正気か?って顔で私を見ているのだ。

正直正気ではない。なぜなら、正気なら男子の制服を着て過ごすからだ。

如何に不本意ながらあれの有無以外は声がほんの少し高くなったかもしれないのと、少し胸とお尻が柔らかくなったかもしれない以外に変わりはないのだから。


「御子ちゃん可愛い!その恰好どうしたの!凄く似合ってるよぉ」

「御子だよな?女子にでもなったのかw」

「御子ちゃんが遂に女の子になられたぞ」

「お前告白して来いよww」

「馬鹿野郎!ファンクラブに殺されるだろ!」


怒涛の質問ラッシュ。いや、なんか変なのも混ざってない?


「今日から如月御子は女の子になりました。不本意ながら女の子として過ごすので、よろしくお願いします」


ぶっちゃけめっちゃ辛い。

こんな荒唐無稽な意味不明発言をしなければいけない状況もそうだけど、本当に女の子になっていまっていることを証明する方法があれの有無ぐらいしかないのも確認のさせようがない。

加賀美さんみたいに突然触ってきたらどうしようもないけど、流石に友人でもチ〇タッチはありえないし、女子からそんなことされるはずもない。

あれ?でも既に加賀美さんから洗礼を受けてしまった…?


「エイプリルフールって今日だっけ?」

「御子がやると洒落にならんよな」

「御子ちゃんの可愛さでそれされると本当なのかもしれない可能性が拭えない」

「俺ホモでもいいかもしれない」

「いや俺がホモだ」

「いや俺がホモだ」

「実は俺ホモだったんだ」

「どうぞどうz…って最後ガチなやついなかったか?」


死んだ目をしながら先生が来るのを席に座って待つ。

今日の私は石だ。ミケランジェロの如くだ。

あれ?石造ってミケランジェロなんだっけ?まあいっか。


「御子くん本当に女の子になっちゃったのかなぁ?」

「今の私はミケランジェロなので放っておいてください」

「ミケランジェロ…?あはは~なにそれww」


先生から私についての説明が入り、始業式の為に体育館に移動する。

私は誰も寄せ付けぬ強い意志でしゃなりしゃなりと歩く。

ふふふ、これだけ堂々と自信満々に歩いていれば誰も話しかけられまい。


「ねねね御子くん。あ、今はもう御子ちゃんかな?ってか本当に女の子になっちゃったの?確かめてみていいかな?」


鉄壁の守りも呆気なく。

クラスメイトの細川唯さんに話しかけられる。

確かめるって何する気さ!?私は権力には屈しないぞ!


「確かめるってどうするの?」

「ちょいっと失礼するね」


1カメ

2カメ

3カメ


衝撃的な展開。女体化して早数日、またしても女の子から股間を触られる。


「何するのさ!私の股間はフリータッチじゃないんだからねぇぇぇええええ」

「わわわ!ごめんねええええ」


先生が呼び止めるのも無視して廊下をダッシュ。

始業式をボイコットする勇気はないので先に体育館で待機する。

その間にも女子の制服の私に結構な注目が集まる。

失敗した失敗した失敗した失敗した。

先に来てしまった方が恥ずかしい。


その後第二回ミケランジェロ大作戦で何とか乗り切った。

偉大なるは世界の芸術。

でも正直全然何もわかってない。


先ほどの私と細川さんとのやり取りのおかげなのか今日はあれから誰も話しかけてこない。

傷心中の私に気を使ってくれるクラスメイトの優しさに私は内心喜びを隠せない。

正直「気持ち悪い」とか「病気がうつる」とか散々言われることを覚悟していただけに拍子抜けなところはある。

細川さんには困ったさんだったけど、本当に女の子になってしまった事実は完全に知れ渡ることになったので、周りから変なことをされる心配は減ったのかもしれない。

それでも一つ懸念があるとすれば、これからいじめに遭うかもしれないことだろうか。

最悪転校もありえるのでクラスメイトを信じるしかないだろう。


「御子ちゃん!ワルガキや!校内に出現したでぇ!変身や!」


また出たのかワルガキ!でも今は丁度むしゃくしゃしてたので八つ当たりをしよう。

「サンライトパワー!ウェイクアップ!「魔法少女御子ちゃん!可憐に変身!(超小声早口)」」


テンプレ変身バンクが終わった瞬間マスクを取り出し装着する。

キラキラのかっこいいアイマスクを装着してワルガキの元へ駆ける。


ワルガキを捉えたら決めポーズをとって決め台詞。


「仮面ヒーローコミギラ参上!悪は私が許さない!」


決まった。衣装がキラキラひらひらじゃなくてピカピカシャキーンの仮面ヒーローならもっとかっこよかったんだけども。

それでも数日頑張って考えた変身のセリフ(小声で早口に忌々しい呪文は唱えないといけないけど)も決まったし、敵を前にした時の決め台詞も完璧に決まった。

私は今最高に輝いてる!


「さぁ!ワルガキ、大人しく私に倒されなさい!」


威勢よく啖呵を切ったはいいが、あいつよく見たらなんか虫っぽくない?

私ちょっと虫は無理なんだけども。

ってかなんかGみたいなの足元から溢れてきてる気がするんだけど


「ひぇ」


無理無理無理無理!!!絶対にむりぃぃぃぃいいいいいい!!!!!

これダメな奴だよ!魔法少女が戦うような敵じゃないよ!


「虫は無理ぃぃぃいいいいいやぁぁぁぁあああああああ」


逃げた。私はもう、それはもうウサギも顔負けの全速力で逃げた。

恥や外聞なんてもう意味はない。今あるのは明確な死とそれから逃げるか弱き少年、もとい少女なのだから。


「チェストーーーー!!!ふぃ…悪のいる場所に俺様ありってなぁ。仮面ヒーローホッケーマスク!そこはかとなく漂う美少女だと思われる怪しい御仁を華麗に助け出したぜ」


謎のホッケーマスクがG型ワルガキをホッケーステッキで一撃粉砕する。

ってかワルガキって魔法じゃないと倒せないんじゃないの?

あのアイスホッケーする時に使う棒で一撃粉砕って…。


「貴方は…」

「みなまで言うな!俺様のかっこよさに惚れちまったんだろう?だが残念だったな、俺様は謎のホッケーマスクなのだ!ではさらばだ!あーっはっはっはっはっはーーー」


アホそうな高笑いが廊下に木霊する。

ちょっと釈然としないけれど、私の人生で最も、それも前世で事故ったあとや死ぬ瞬間なんかよりも最大のピンチな状況は本当に謎なホッケーマスクマンの謎の力で乗り切ることができたのである。

コミギラサキにするかはちょっと悩んだけどコミギラにしました。

今後偽物としてコミギラサキが出てくるかもしれないしコミギラ詐欺なのかもしれない。

何言ってんだこいつ。

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