帰る場所の為に
今日は魔力の性質変化の訓練を行っている。
結論から言おう、私には欠片もセンスがないらしい。
サクラちゃんは爆笑して消沈しているし、莉子は隣で光の魔法を放っている。
そして私は魔力操作だけしか取り柄の無い人間だということが発覚してしまった。
「なんで私にはかっこいい力が一つもないんだ…なぜ!?」
「お姉ちゃんどんまい!でも回復魔法とかすごくない!?ヒーラーは最強なんだよ!」
私は回復役と魔力電池ですか。
魔力譲渡も私はロス無く行使できる。
本来なら60%~90%ぐらいはロスするらしいのだが、私の魔力は驚きの伝達100%。
性質変化も魔力放出も下手くそだけど、一つだけ得意なことはある。
それは体内での魔力操作と、触れている物に対しての魔力操作である。
魔力操作で生じるロスは0なのに、魔力を放出すると70%はロスしている。
因みに性質変化に関してはそもそも魔力を変化させることができなかった。
魔力放出に関してはロスする分多くの魔力を出力すれば済むので、そこまで不便は感じない。
ただ私の穴が小さすぎて瞬時に大量の魔力を放出はできない。
事前に時間をかけて魔力を外部に蓄えて操作すれば結構な出力を出すことはできる。
繊細な魔力操作だけは無駄に練習したので、この部分は結構自信があったりするのだ。
「魔力の性質変化に適性があるなんて聞いてないよね」
「御子ちゃんに殺されるかと思ったわ。お兄さんここまで魔力変化下手な人間初めて見たわ。ちょっともう一回やってくれへん?これ一発芸になるでホンマ!」
サクラちゃんは後でお仕置きしよう。
ここまで人(?)を憎んだのは初めてかもしれない。
こんなことでツボりすぎだし、そのまま煽ってくるし。
今日のおやつは抜きだし晩御飯も嫌いな野菜中心にしてやるんだから。
「とりあえずライトアンドデストロイが最強にして最高の低燃費高威力を誇ることは今日証明されたね」
「でも近付いて当てないとだめだよ、危なくない?」
そこなんだよね。
私の触れていれば魔力伝導率100%で魔力を効率よく高出力で操れる能力は0距離かそれに等しい状況でしか発揮しないんだよね。
必殺爆殺ステッキもそこまで射程は長くない。
でも武器って自分の想像力に依存するから難しいんだよね。
魔法のステッキはサクラちゃんのイメージのおかげで使えているけれど、必殺爆殺ステッキは元のステッキ無くては形状すら安定しない。
私の想像力の無さはどうしたらいいのか。
「御子ちゃん、ワルガキの反応やで!魔法少女出動や!」
こんな時にワルガキ!もっと修行させてくれてもいいじゃない!
とりあえず変身して走る。
地面を蹴り跳躍する時に魔力を放出して加速。
着地は足にバネの様なものを生成してもう一度深く踏み込み跳躍する。
空を飛んだりできたらもっと楽なんだけど、私に空を飛ぶだけの想像力はない。
ホッピングを創造するのが精々だった。
「この辺じゃないの?どこにもいないんだけど…」
「あら?遅かったわね、あの黒いのはもうあたしが先に倒しちゃったわ」
誰!?恰好からして魔法少女っぽい。
でも今の魔法少女って私と早乙女さんだけじゃなかったっけ?
「魔法少女チャーリーよ」
「私は御子。私も最近なんだ、よろしくしてね」
握手を求めるように手を差し伸べると、サッと躱されて銃を突きつけられる。
「あたしは慣れ合いたいわけじゃないわ、邪魔をするなら貴女も倒す。これは警告よ、これからはあたしが夢魔を倒すわ」
そう言って銃を下ろし変身を解除するチャーリー。
見た目は完全に10歳前後の女の子だった。
変身中の雰囲気はどこへやらという様な可憐な少女にちょっとした恐怖を覚えていた。
「御子さん、先ほどはすみません。私は変身するとなんか変な感じになってしまって」
「え、あ、うん。大丈夫大丈夫。その、よろしくね?」
案外いい子なのかもしれない。
それに大我くんも戦闘に入るとテンションが変わったりしていたし。魔法を使う人ってもしかすると変身すると結構変わるのが普通なのかもしれない。
あれから少しチャーリーこと立花未来ちゃんとお話をした。
歳は10歳で突然精霊が現れて魔法少女になったらしい。
時期は4月の中盤頃らしいので、私より少しあとのようだ。
未来ちゃんの精霊は一緒に行動はしないらしい。
時々通信機の様なものを使って小声で何か会話をしている光景が見れる。
「夢魔の討伐はできるだけ私に譲ってほしいです。私は彼らを野放しにはできませんので」
「夢魔っていうのは、ワルガキ…さっきの黒い奴のことでいいんだよね?」
「はい。この力があれば倒せるのなら、この力が例え悪魔の力でも私は迷いません」
なんか物凄い決意を持っている雰囲気を感じる。
10歳の少女が何をそんなに殺気立っているのだろうか。
ギラギラとした瞳に気圧されながらも少し考える。
こんな危うげな子を放っておいてもいいのかと。
「私はワルガキの討伐に固執はしてないから特に反対はしないけど、一人だと危ないからお兄さんと一緒にってのはどうかな?」
一人で戦わせるのは危険な気がする。
幸いにも私は回復魔法が得意だ。
未来ちゃんは銃を使うみたいなので攻撃力は高いのだろう。
ならば、ここは私がサポートをしてあげれば少しでも安全に戦えるだろう。
未来ちゃんは小声でなにやら話し合った後に承諾してくれた。
でも顔には不満であると大きく書いていた。
それでも精霊に説得されたのか納得はしてくれている。
精霊は話がわかるやつなんだと思う。
恐らくサクラちゃんよりは有能だろう。
一抹の不安はあるが新しい魔法少女との出会いは少し嬉しい。
これからは協力してワルガキ退治をやりたいものだ。
魔法少女は全部で5人。現在3人。
5人揃うとどうなる、知らんのか?物語が進む。




