封印の祠、異端の少年
「こんにちは、私は巫女。ここを通していただけますか?」
口調は丁寧に、物腰は柔らかに、そして魔力を放出しながら威圧的に。
私は自分の力を全て使って対応する。
さっきも普通に威圧しとけばよかったかもしれないと思ったのは心の奥底にしまい込む。
前回は殆ど見た目が自分だったので正体がバレたかもしれない、と思えば今思い立ったのが本当によかった。
「神だ…申し訳ない、上に確認を取ってきてもいいだろうか」
「構いません、ですが時間もあまりないので急いでくださいね」
優しく微笑みかけ告げると、門番は急いで事務所へ向かう。
因みに時間が無いというのは別に封印の話ではない。
単純に私にはタイムリミットが存在するのだ。
私は学生であって、ここにいるのも学業の一環なのであって。
更に言えば、私は一般人なのでこんな場所に長くは居たくない。
さっきから御使いさんの視線が痛い。
ずっと凝視してくるし、凄く期待した眼差しで見てくるのだ。
これはプレッシャーというやつでは?
「確認が取れました、どうぞ中へ」
「ご苦労様です。中へは私一人で十分ですので、貴方はここを守っていてください」
微笑みは忘れない。私の笑顔に勝てる人間など芸能人ぐらいだろう。
何せ私は前世では笑うことしかできなかったのだから。
微笑みの爆弾を投げて奥へ進む。
祠がある場所は何処?
いくつかある分かれ道も御使いさんの誘導ですんなり目的地に着く。
というか外から見た建物の広さと中の広さが一致しない。
普通の一軒家ぐらいの建物に入ったはずなのに30分も歩いたんですけど。
御使いさんの話では、この場所は魔力の提供が絶たれてから空間そのものが歪んでしまったようだ。
このまま空間の侵食が進むと大変なことになるらしい。
と言ってもまだ数百年後の話ではあるらしいが。
それでもここ最近イレギュラーの侵入を確認したらしいので急いでゆがみを正したかったみたいだ。
そんな折に私が現れて頼みに来たと。
「この祠に魔力を注げばいいの?」
「然り、満たさなくてもいい。とにかく今できるだけ魔力の提供をしてほしい」
「やってみる」
祠に触れる。
ひんやりしていてどこか懐かしい気配を感じる。
私はこの祠を知っているのだろうか。
祠を抱きしめて魔力を注いでいく。
私は今まで一日魔力を放出し続けても魔力が減ったと感じたことはなかった。
どれぐらい注げるのだろうか。
「あ、なんかすごい勢いでガンガン魔力が吸われてる気がする」
「現在の巫女はこれほどの魔力を有しているのか」
「御子ちゃんはこれでまだ14歳なんやで!ワイの自慢の娘や!」
だれが娘なのか。
ふと魔力が減ってきたなと感じてきたぐらいで祠が光り始める。
何が起きたのだろうか。
「うわあああああああああああ」
「え!?何!」
祠から男の子が出てきた。
というかこいつホッケーマスクでは…。
「いててて…急にゲートが閉じそうになって焦ったぜ。それにここはどこだ?」
「大我、ここは封印の祠です。ですがおかしいですね、この場は数百年綻びができていて…」
ホッケーマスクの精霊がこちらに気付く。
そして納得がいったというような顔をして彼に耳打ちする。
ゲートとは何なのか。彼らはいったい何者なのか。
「おい腰抜け魔法少女、これはお前がやったのか?」
「これって封印のこと?だとしたらそうだけれど」
ありえない…とくぐもった声を発して黙り込む。
封印は魔法少女が、歴代の巫女達が行ってきたのだから不思議なことではないだろう。
それに魔力だってまだ半分以上は残っていそうだ。
もし彼らと戦うことになってもなんとかはなりそう。
「大我、彼女は危険です。まだ若い内に始末しておいた方がよいのでは?」
「待て、俺は兄ちゃんを探すためにこっちに来てるんだ。魔法少女が邪魔になれば倒すけど、率先して殺る必要はないだろう」
物騒な会話が聞こえる。
私は杖を出して身構える。
今ここで戦闘をすることはできる。
でも祠もあるし何より場所が悪い。
守らないといけないものが多過ぎてまともにやり合えば防戦一方だろう。
「待て魔法少女、俺たちは戦わない。俺の名は大我、魔法兵だ。こちらでいうところの魔法少年といったところか」
魔法兵、魔法少年、彼は私と同じような人間ってことなのだろうか。
「魔法少年ってなんやねん!魔法を扱えるのは無垢な心を持った乙女だけや!なにもんやねん!」
「精霊の癖にそんなこともわからないのですか?貴女こそ何者ですか。ん?封印されているのか、ふふふ。膨大な魔力を持った魔法少女と封印された精霊ですか」
サクラちゃんも知らないみたいだ。それに封印された精霊…ってことは早乙女さんや大我くんの精霊は封印されていない?ではサクラちゃんの元の姿というのはなんなんだろうか。
「私は如月御子、魔法少女だけど一応男です。戦う意思がないと言うならまずはその放出している魔力を抑えてもらえないですか?」
「分かった。だが、変身は解除できない。それは了承してくれ」
「わかりました」
大我くんは魔力を抑えて両手をひらひらさせながら上にあげる。
私も杖を消して魔力を抑える。
サクラちゃんは今にも突っかかりそうにしているけど私が抑える。
向こうも精霊を窘めている。
ふと気になり御使いさんを見ると穏やかな顔で傍観していた。
「分かたれし祖を持つ者よ、共に歩むか。汝の行く末を我は見届けよう。我が祖と分かたれし祖の末裔手を取り合うか」
何か意味深なことをぶつぶつ呟く御使いさん。
「とりあえず私は祠の封印を続けても?」
「構わない、俺たちは侵入者ではないのでな」
侵入者ではない。
多分それは本当なのだろう。
そしてゲートというものを使ってここに来た彼ら。
魔法少女と同じ力を持った少年。
昔何度か見た異世界というものかもしれない。
私は魔力を祠に注ぎながら考える。
大我くんとは仲良くできるかもしれない。
サクラちゃんは向こうの精霊と仲が悪いかもしれないけど、私はできれば仲良くしたいな。
祠に魔力を注ぎ終えて無理向くと風景が変わっていた。
どれぐらい時間が経過しただろう。
来るまでに1時間は使った。中でも1時間は経っただろうか。
流石にそろそろ戻らないとみんなにも心配をかけてしまいそうだ。
大我くんもワルガキと戦っているのだろうか。
そして何者でどこから来たのだろうか。
気になっていたことはたくさんあったけれど、私は魔力を使い果たして気を失うのであった。
一応転生設定いる?とは思いながらも生かす方向は考えています。
ってか転生してるんだからちょくちょく転生前の情報いるよね!
因みに御子は男であり女なので魔法少女で間違いはないけど、身体的には男ではないので男と名乗っている事は正直意味わからなくなっている。魔法少女で男です、とは。




