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魔法少女御子ちゃん(仮)  作者: ミラ・ミス
15/25

理想のイケおじ

朝食を終え、午前の勉強が始まる。

これといって問題もなく、順調に進行する中で、視界の端にサクラちゃんが見える。

ふわふわと浮かんでこちらを窺いながら誰かと話をしている様だった。

でも急用ってわけでもなさそうなので気にせずに授業を受ける。

お昼までは普通に授業で午後は自習になっている。


学ぶ者は学び、遊びたい者は遊ぶ。

この学校にいるのは大体前者なので殆どは勉強をしている。

そして私も自習にしようかなと思っていたらサクラちゃんが来た。


「御子ちゃん!無視するんは流石に酷ない?今から自由時間やろ?ならワイらの話の時間やないか。てかあんなにアピールしとったのに全部無視して勉強って、昨日のやり取りとか気にならんかったん?お兄さん御子ちゃんのそういうところちょっと心配になるわぁ。とりあえずこっち来てぇや、御使いはんも待っとるねん。ホンマあかんで?この町の危機なんやから魔法少女としては見過ごせんやろ」


昨日のこと…完全に忘れていた。

というか私に関係があるのだろうか?

魔法少女はともかくとして、正義の味方である仮面ヒーローとしては確かに街の危機は見過ごせない。

世界平和って程大それたことは言わないけれど、私の手の届く範囲で困っている人がいるなら助けたい。

世界のどこかで困ってる人の為に井戸を作る募金とか言われてもピンとこないけど、目の前で困っているなら手を差し伸べたい。

もしお金に困っていると言われても力にはなれないけれど、私にできること。

今ならば、魔法を使って解決できることがある。

力は強くはないけれど、魔法ならば役に立てるだろう。


「で、神ノ御使いさんは何をしてほしいの?」

「この地は御使いはんが楔としてこの地を支えとるんや。でも楔が緩んで来とる、それを魔力で打ち直すか新しい楔を打ち込む必要があるんや。でも御使いはんだけやとどうしようもない。本来なら魔法少女が定期的に来てくれるはずやったらしいんやけど、ここ数百年音沙汰なかったみたいでなぁ。多分不慮の事故とかで引継ぎができんかったんやろうな。そこで御子ちゃんの出番ってわけや!御子ちゃん魔力量だけはおっそろしいほどあるからわけたってぇや!」


こいつ話に入るよ余地もないほどに捲し立てよる。

要するに私が魔力を注げばいいと。


「神ノ御使いさんに魔力を注げばいいのかな?」

「ちゃうちゃう、町の中心…今はちょっとずれとるんか?そこの祠に魔力を注いでほしいんや。なんや魔法少女なら顔パスで入れるらしいから、せやんな?」

「然り」


封鎖されてる祠ってことでいいのかな、確か昨日見学した場所に入れないけど神聖ななんたらって場所があった気がする。

とりあえず変身してそこに向かおう。






「なんだコスプレか?ここは子供の遊ぶところじゃないから帰りなさい」

「私、魔法少女でして。ここの祠に魔力を注いでですね、その町の崩壊を防がなければいけないんですけど…」

「魔法少女だぁ?そんなのが存在するはずがないだろう!警察を呼ぶぞ!」

「ご、ごめんなさああああいいいいいぃぃぃぃぃぃ」


話が違うではないか。

魔法少女は顔パスと言われたのに門前払いをされて魔法少女だと言っても追い払われてしまった。

でも忍び込むにも入れる場所はあの場所だけっぽい。

建物に完全に覆われているから空からも無理だし。どうすれば?


「巫女よ、名乗れば入れるはずだ。」

「でも魔法少女だと明かしても門前払いを食らってしまったのですが」

「なんでやろなぁ?御子ちゃんが名乗ればええんやないんか」

「巫女であると告げるがよい」


吾輩は御子である。

それはそうだ。

御使いさんは何か重大なことを話していない可能性があるのかもしれない。

それになんで私の名前が御子って最初から知っていたんだろうか。

御子ではなく巫女の可能性がある…?


「御使いさん、私の名前は分かりますか?」

「知らぬ、巫女は巫女であろう」

「私の名前は御子と書いてみこと読むんですけど。御使いさんが言うみこって巫女と書いてみこだったりしますか?」

「然り。巫女とは精霊より力を分けられし顕現する世界の調整者。貴様はその巫女の末裔であろう」


御子ではなく巫女だったー。

ってことは魔法少女ではなく巫女だと言えばいいということなのだろうか。

もう一度この格好で行っても信じてもらえるだろうか。

とりあえずやってみるしかないよね。


「私は巫女です。通してもらえますか?」

「お嬢ちゃん、どこで知ったかは知らないけどここは遊び場じゃないんだよ?本当に警察を呼ばれる前に帰りなさい!!!」

「ごめんなさあああああいいいいいいぃぃぃぃぃぃ」




「怒られたんだけど。もう私あそこに入れないと思う」

「まあいたずらやと思われたんやろうなぁ。でも証明するにしてもなぁ」

「あ、そうだ。私変身魔法の練習をしているんだけど。もしかして上手くいく?」


そう、変身魔法だ。私が成長した姿ならば多分もうわからないだろう。

待ってろ!理想の私像!!!ふはははははははは!!!


「なんやそんなもん覚えたんか?どこで使うねん変身なんて。身長伸ばしたりしても質量は変わらんから足先とかスッカスカでまともな攻撃もできんくなるで?小さくなるんは物理的に無理やしな。それにしても変身なぁ、今はぴったりやからなんも言えんわ。とりあえずやってみ?お兄さんに見せてみ?」


何か物凄く懐疑的な目で見られてしまった。

そんなに変身魔法はおかしいのだろうか。

あと、手足が伸びた後に魔力を詰めれば本来の手足よりも丈夫になるので攻撃力も増すと思うんだよね。

とりあえず私はサクラちゃんに見せるために変身魔法を発動する。

今回私が変身するのは理想の未来像。

少し寂れた感じのおじさんである。

軽く顎鬚を携えて、髪はだらしなくもしっかりとセットしてハットを被る。身長も190センチぐらいで服も少しだらしなく気崩してすらっとした足には皮のブーツを履く。

結構完璧なイケおじではないだろうか。


「御子ちゃんはおじさんが好きなんやなぁ。そら同年代の好意には無反応なわけやわ」

「どうだ?これが俺の理想像よ。声は声帯模写でいい感じの声を真似してみたが、なかなかいけてねぇか?」


あ、自分に惚れそう。これ今絶対最高にかっこいいんだけど。

これでたばこでも吸ってたら最高に最高だ。

でも魔法少女…巫女は女性なのでこの格好では行けないだろう。

一度変身を解いて巫女用の姿を構想する。


やっぱり魔法少女はキラキラしているよね?早乙女さんもカラフルな感じで凄かった。

そういえば早乙女さんは見た目の原型もずいぶん変わっていた気がする。

私の姿は髪が金になるぐらいで顔も背も殆ど変わっていなかったのに。

一応自身をベースに顔を少し幼くして髪の色をピンクにしよう。

背はそのままでも…誠に遺憾ながら私は背が元々低いのでそこまで気にはならないだろう。


「おお!御子ちゃんいい感じやん!これで潜入できるな!」


これからこのマスコット二人を連れてまたあそこに行かなければいけないのか。

不安もあるけど、この場所が守られるならそれはいいことなのかもしれない。

成功はするだろうか?数百年分の魔力は足りるのかな。

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