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魔法少女御子ちゃん(仮)  作者: ミラ・ミス
13/25

成長の差という名のナイフ

現在お風呂場、裸である。


「御子ちゃん結構大きいね~やっぱり女体化は胸も大きくなるのかな?」

「え?男ならこんなもんじゃないの?」

「え?」

「え?」


…沈黙。

確かに女体化してからは少し大きくなったかもしれないと思ってはいたが、別に男の時もこれぐらいだったし、彰人なんかもこれぐらい胸筋はあったはずだ。

私だって仮にも男だったわけで、勿論多少なりと鍛えていたわけで。

でも胸筋以外はあまり成果がなかったけども。


「でもCはない?」

「え!?そんなにないよ!?それに殆ど筋肉だし…」

「これが筋肉…えい!」

「きゃっ!ちょっと!!!」


後ろに回り込み抱き着く形で胸を揉んでくる細川さん。

私の必死の抵抗も空しく揉みしだかれた。


「これはおっぱいだね!それに御子ちゃんって下も処理してるんだね」

「はぇ…?下も処理…」


下も処理してるとは…すね毛かな?でも私もお母さんも莉子も全然生えてないよね。

私なんて男の時から腋もすねもひげも生えたことがない。

ムダ毛にあたる部分だから生えてなくても困らないけど、日本男児としては生えてる方がなんとなくかっこいいから生えてないのは少し恥ずかしかったりする。


「つるっつるだ~少し懐かしいかも」

「ちょぇ!?どこ触って…もう!!!」


胸から股にシフトした手を流石に全力で守りに行く。

胸はまだいいけど股を触られるのは流石に話が違ってくる。

あれが無くなってからポジションが悪くならなくていいとか、ストレッチの時に何も考えなくていいとか思ってはいたけど。

流石に触られるのはあれがある時より何か恥ずかしい。


「流石に怒るよ!私だって起こるんだからね」

「あ、ごめぇん!私のも触っていいから、ね?」


そういう問題ではない。

それに別に興味なんて…。

っていうか細川さんの陰毛が爆発している。

あれ?もしかして下の処理ってそういうこと…。

よく見るとみんな生えている。

生えていないのは私だけ?


「私って身長だけじゃなくてやっぱり成長が遅れてる?」


気付きたくない現実を突きつけられてしまった。

私は身長も150センチすらない。

いや、少し盛った。

143センチという150センチないというにもおこがましい身長をしている。

でも先生は「子供の間は女の子の方が成長が早いものだから気にしなくてもいいのよ」なんて言ってたから、私はそれを信じて毎日牛乳だって飲んでたし運動もずっと続けてきた。

まあ運動は体を動かすこと自体が楽しくてずっとしていたけれど。


それでも中学生になった頃には薄々気が付いていたのだ。

小学5年生の頃には今の伸長、そして現在中学2年生で1センチしか大きくなっていないのだ。

彰人なんて小学生の頃は私より小さかったのに今では160センチぐらいある。

同じ男としてこれは何か理不尽なのではないか?とも思っていたけれど、私はまだ成長期を信じている。

だって女の子の方が成長が早いもん。


絶望的な成長の差を見せつけられながらの入浴は少し苦痛だった。

そしてさっき胸を触られて筋肉ではなくおっぱいだと言われたことを思い出す。

見渡せば大体の子よりも私は胸が大きい。

小学生の頃はおっぱいがあるとか言われていたが、彰人たちもそれなりに筋肉をつけて同じぐらいの胸囲になってからはからかう人間もいなくなった。


そんなものは些事なもので気にもしていなかったけれど。

でも今これだけは確信してしまったのだ。

私の胸は胸筋ではなくおっぱいであって、身長は伸びてないのに胸の成長は著しい。

気が付けば私は膝を折り、地に両手を付け項垂れていた。


私は女の子になるために生まれてきたのだろうか。

なぜ最初は男として成長させられたのだろうか。

なぜ私は魔法少女なるものになったのだろうか。

なぜ女性的には成長しているのに背は伸びないのだろうか。


「御子ちゃん調子悪い?大丈夫?」

「だ、大丈夫。ちょっと現実に直面して敗北しただけだから」


全然大丈夫ではない。

でもここで屈してはいけないと私の心が訴えかけている。

私はまだ飛べる。そうだ、魔法だ。

魔法で成長すれば最強だ。私には魔法があるのだ。


成長魔法?でも作ろう。私にならできる。

イメージするんだ!最強の私を!私は最強だ!!!




そんな屈辱の入浴を終えて部屋に戻ってくると、早々に就寝時間になる。

大体髪乾かしてケアしてれば結構時間がかかるのだ。

髪のケアを怠ると大変なことになる。

最初は母に言われて髪を伸ばし綺麗に保ってきたけれど、今はもう完全に自分の為に手入れをしている。

なぜって?髪のコンディションは自信のコンディションに関わるからだ。

髪を伸ばしたことがないとわからない大変さや、それによってもたらされる成果をしってしまうともう簡単には髪を切れない。


メイクをするのは男に受けたいからではなく自分を喜ばせるためだという世の女性の気持ちを私は理解してしまっている。

男だって長くて綺麗な髪をしていると美しいのだ。

だからってツインテールや編み込みは女体化するまでは殆どやらなかったけど。


でも編み込みは密かに練習してできるようにはなっている。

莉子にやってあげたりは勿論自分でも少し楽しんだりしていた。

可愛くなりたかったわけじゃない。自分が育てた髪を綺麗に飾りたいと思うのは自然なことだろう。

私は私を飾るのではなく自慢の髪を飾りたいのだ。

まあそれでも人前に出る度胸はないのだが。


「じゃあ勝ったら明日の御子ちゃんの髪型を自由にする権利ね!」

「待って、なにその戦い」

「じゃんけんで勝利した者は明日の御子ちゃんの髪型を自由に決められる戦いだよ」


なぜそうなったのだ?確かに私は自分の髪は誰よりも綺麗にしていると思っている。

自惚れでもなんでもなくそれだけ大切にしているのだ。

でもそんなに触りたいの?しょうがないなぁ。


「「「「じゃんけんぽん!」」」」


勝者は加賀美さんだった。

明日の私の髪型はツインテールに決まってしまったのだ。

でも明日も普通に勉強するだけなのでおしゃれに気を使う必要はないのでは?


波乱な一日ではあったけど、宿泊学習の一日目は終わりを迎える。


「そういえば何か忘れている気もするけど、まあいいか」

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