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魔法少女御子ちゃん(仮)  作者: ミラ・ミス
12/25

神ノ御使い

ゴールデンウィークも明けて学校が始まる。

私は学校が結構好きなので苦でもなく、かといって別段嬉しいわけでもなく。

まあどちらかというともう少し魔法の練習をしたかったかなといった感じの感想である。


ゴールデンウィーク明け一発目から宿泊学習が始まる。

私は女子に紛れて同室になるかと思われるのが少し、いやかなり緊張している。

お風呂とかどうするの!?流石に一緒は不味いでしょう。

去年だって宿泊学習はあったわけで、無論男子たちと仲良く入浴したわけで。

当然私が元男なのは周知されているわけで、先生もそれを理解しているわけで。

何が言いたいかというと、私は一人で寂しくシャワーなのかな?

って違う!そうじゃなくて、流石に男が女の子とお風呂は不味いし同じ部屋で寝るのも不味いのでは?と言いたいのだ。


因みに部屋割りはもう既に仲のいい女子たちと同じになってるしお風呂は温泉だし、先生もなんか一緒でいいでしょうみたいな雰囲気出してるし、クラスメイトも誰も否定してくれない。

私は生きて帰れるのだろうか。あと彰人が是非写真とうるさい。


移動はバスだ。学校から宿泊地までバスを使い、現地に着いたらまずは割り振られる部屋に行き荷物を下ろす。

そこから筆記用具だけ持って集合し、宿泊地の近くで現地の実物を見ながら色々説明を受けて歴史やらなんやらを知る。

お昼ごろには宿泊地に戻りご飯を食べ、休憩してから夕方近くまで勉強をして1日目は終了する。


基本的に勉強なのだ。でも歴史のある場所なのだそうだけど、勉強と関係があるのだろうか?

なんでも過去に謎の大爆発が起きて物凄い被害を出したらしいのだが、その時に現れた神の御使い様が奇跡の力で凹んだ大地を隆起させ、魔を祓い豊かにしたのだとかなんとか。

わりとなんの変哲もない昔話なだけに面白みがないなと思う。

思うんだけど、なんだかここにきてから妙な違和感がある。

サクラちゃんに似ているような気配みたいなものを感じるのだ。


「まさかね」


晩御飯前の短い自由時間に私は少し散歩することにする。

同じ部屋の子たちが付いてきそうだったので逃げるようにして出てきたのだ。

理由はやはり謎の気配。魔法少女絡みの面倒ごとにクラスメイトは巻き込めないもんね。

正義は陰に徹してこそだよ。


「たしかこの石造が御使い様なんだっけ?」


午前中に説明を受けた神の御使いの石造の前で足を止めて軽く触れる。

うん、まあ普通の石造だよね。触った瞬間に光って元の姿に戻ったりもしなければマスコットキャラも現れない。

やっぱり気のせいだったかな。


「汝、巫女であるな?」


マスコットが浮いている。

しかもなんかどことなく狛犬っぽい。あと名前を呼ばれた。


「確かに御子ですけど…あなたは?」

「我は神。神ノ御使いと申す。汝の力を我に貸してはくれぬか、礼はする」


どうしよう。勝手に別の精霊に力って貸してもいいのかな?サクラちゃん呼び出す?うむむ。

とりあえずサクラちゃんを呼ぼう。

客観的に見て今物凄い珍現象が起きている。神の御使いの石造前で神ノ御使いに絡まれているのだから。

とりあえずペンダントに魔力を流してサクラちゃんに緊急事態であることを知らせる。

するとペンダントが光ってサクラちゃんが現れるではないですか。

初耳なんですけど、びっくりし過ぎてしりもちをついてしまった。


「御子ちゃんどないしたんや!ワルガキか?でも反応はどこにもあらへん…ってなんやこの化石みたいな精霊は!やんのかワレェ!ワイの御子ちゃん苛めたらただやないでぇ!?あぁん!???!!?」

「落ち着いてサクラちゃん、この人?は多分悪い子じゃないよ」

「然り。我はこの地を守る楔。だが時期、我が楔も朽ち果てよう。我に力を貸してはくれぬか?」


神さんは少し堅苦しい喋り方をする人…みたいだ。

正直ちょっと何言ってるのかわからない。


「何100年前の精霊か知らんけど分かりにくい喋り方すんなや!御子ちゃんの顔見てみぃ、ちょっと困っとるやろうが。ワイが今どきっちゅうんを教えたるわ、話はそれからやな。そんなわけで御子ちゃん、一日時間貰えるか?明日には現代を叩きこんどいたるわ!ワイはこれでも結構詳しいやで」


サクラちゃんも何言ってるのかわからないけど、なんか任せろと言っているので任せて帰ることにする。

ってかしれっと何100年前がどうこう言ってたけど。魔法少女ってそんなに昔からいるんだね。


宿泊地に戻るともうご飯の用意ができていたみたいだった。

班の子たちと一緒に食堂に赴き食を共にする。

結構がちがちに和食だった。神さんが何年も守り抜いている土地だからなのか文化を重んじているのかもしれない。


食後は部屋で少し休んでからお風呂の時間だ。お風呂までは少し時間があるので部屋で雑談に興じることになる。


「御子ちゃんはやっぱり山城くんとお付き合いとかしてるんじゃない?」

「彰人と?私はそっちの趣味はないよ」

「え…じゃあ…」


細川さんは彰人と付き合ってるとか意味の分からないことを言った後に少し顔を赤らめた。

もしかして今頃私を男だと意識し始めた?私はまだ心は男の子なのだよ。


「御子ちゃんは百合さんなんだね~」


百合…もちろん花じゃなくて女性同士で恋愛することを指す隠語だということぐらいは知っている。

でも私が女の子が好きでなぜ百合?確かに今は女の子だけど。男の時から女の子が好きなんだけど。

あれ?私ってそもそも女の子が好きなのかな。恋をしたことがない弊害がここにきて露わになったかもしれない。


「もうお風呂行っていいんだって~温泉温泉」


隣の部屋の子がお風呂の時間を知らせに来てくれた。

これから私は女の子とお風呂だ。でもなぜか妙に冷静な自分がいる。

男の時だったなら絶対に興奮…していなかったかもしれない自分がいるのだ。

もしかして私って本当に…ホモ?


着替えを持ち移動していると彰人御一行と出会う。


「御子もこれから風呂か?(女子の裸の感想をあとで教えてくれよな!)じゃあな!」

言われたセリフは最低極まりないのに耳元で囁かれてドキッとしてしまう。

今少し意識してしまっただけ。急に近付かれたからびっくりしただけ。

私が一人でもんもんとしている姿を同室の子たちが暖かい眼差しで眺めていることに私は気付かないのであった。

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