第17話 サミリムシリーズセミファイナル第3戦
イママ国立野球競技場は3戦連続の満員御礼が発表された。5年前まではサミリムに存在しなかった、客席の余裕がなくなってしまったことを観客に対して感謝する文化は、野球と共に伝えられた。新聞の小説も、それまで主流だった不定期間連載から、シーズンオフ期間限定の連載を前提とした連載に変わった。さて、5季連続ファイナル進出を果たしたドラゴンズと対戦するのはどちらか。試合前に結果を知ることは、どのような預言者にもできないようだ。
イママ・スプリングス vs イマゴム・ブルーソックス
イマゴム |013010100|6
イママ |40400002X|10
スプリングスは初回にウラハダスの3ランホームランで先制すると、その後も効率よく得点を重ねていった。投げてはイロナシーが要所で踏ん張り、逆転を許さなかった。敗れたブルーソックスは攻守で精彩を欠いた。
2勝1敗で勝ち上がったのはスプリングス。第1シーズン以来2度目のチャンピオン争いの最後の相手は、またしてもドラゴンズだ。開幕前、キャプテンのオタヤーは言った。
「リーグ優勝、ファイナル進出を目標にしてはいけない。スプリングスが目指す目標はたったひとつ。打倒ドラゴンズ、チャンピオン獲得だ」
彼の眼差しからは、与えられてばかりのサミリム野球を自らの力で飛び立たせようとする強い意志を感じた。