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夜桜や光溢れるサミリムの空に白球今日ぞ旅立つ  作者: 川里隼生


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25/25

第25話 冒険者たちよ永遠に

 ほのかに冷たい風が通るようになった頃、ドラゴンズが第6シーズンに参加しないことを発表した。彼らチュウニチ・ドラゴンズは野球が盛んな世界の住人であり、時空の狭間に巻き込まれてサミリムへやって来たのだと明かした。


 ドラゴンズ選手の1人が夢で神託を受け、これまでサミリムで野球を教えていたのだという。

「ドラゴンズより強いチームを育てること」

 それが、夢で与えられたドラゴンズの使命だった。第5シーズンのサミリムシリーズファイナルが終わった夜に再び神が夢枕に立ち、元の世界へ戻れることを告げたそうだ。


 これを受け、シアターリーグは新規参入チームの募集を開始。ナゴヤドームを本拠地にできる可能性が高いとあって、多くの団体が参加を希望しているという。ドラゴンズに所属するサミリム人の選手たちは既存11チームのいずれかと仮契約を結ぶことが既に決定している。近く、サミリム史上初の現役選手分配ドラフトが開催されるだろう。新球団の事業モデルが成功とされれば、参加チーム数の更なる拡大も夢物語ではないのかもしれない。


 ナゴヤでドラゴンズ感謝祭が開催され、多くの野球ファンに惜しまれながら、チュウニチ・ドラゴンズは去っていった。同時に、サミリム野球が己の力で飛び立つときがやってきた。5年間ドラゴンズを率いた監督が、最後の置き土産として詩を残していった。タンカというそうだ。彼らの言葉による詩なので、サミリムの言葉に直訳すると詩の美しさが損なわれてしまうが、サミリムの民の心にはこれからもサミリム野球の矜持として輝き続けることだろう。

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