第24話 サミリムシリーズファイナル第7戦
ナゴヤドームは開場と同時に当日入場券が売り切れ。立ち見を避けようと係員の制止を振りほどきながら、我先にと観客席へなだれ込んでくる。これが朝のことで、選手入場よりもずっと前だというのだから驚きだ。ドラゴンズの青とスプリングスのオレンジに分かれたドームの熱気は、まるで大陸の森林地帯を思わせる。
チュウニチ・ドラゴンズ vs イママ・スプリングス
イママ |000000113|5
チュウニチ |000000000|0
栄冠は初めてスプリングスに輝いた。2点リードで迎えた9回表、シリーズ男として歴史に名を刻んだオリヒカがスリーランホームランで突き放した。投手陣もファイナル第4戦を再現するかのような見事な投球を見せた。
最後の打者が空振り三振に倒れた瞬間、4000人の観衆が一斉に立ち上がった。4000人分の叫びと涙ののち、4000人分の拍手がグラウンドに降り注いだ。サミリム野球の神であり絶対王者、チュウニチ・ドラゴンズを野球の実力でサミリムの人々が打ち破ったのだ。近年はサミリムでも野球が一般に浸透してきており、特別に翻訳や解説をせずとも「ヤキュウ」と言えば通じるようになった。ナゴヤという野球の世界で、ヤキュウが頂点に立った。




