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『七行詩集』

七行詩 611.~620.

作者: s.h.n


『七行詩』


611.


貴方はいつか夢を叶え


私の分まで 幸せになってください


それは 私が諦めるのではなく


貴方が感じる幸せさえも


私のものとなってほしいから


私が感じる幸せさえも


貴方のものとなってほしいから



612.


新たな気持ちが生まれると


貴方の無名の郵便受けに


度々届けに行きますが


貴方の大事なお知らせは


私のもとに 届くことはないのでしょうか

 

それでも春は 温かく


私の感じる幸せは 正しいものだと教えるのです



613.


鉛筆の芯をすり減らし


心を綴じてゆくことは


私に残された時間を


貴方に分け与えるための


儀式のようにも思えるので


私は惜しまず 注ぎ込み


お手紙が貴方の お守りとなることを 願います



614.


桜よ桜、ありがとう


私は追憶とともに 願いをかけながら


貴方の下を歩きます


私はついに会えました


四月に残る 寒さの中


咲き残り 私を待っていてくれたのですね


再会を 私の春を祝うために



615.


空に手を伸ばす花達に 向かって私も 手を伸ばす


今年も一人で 見上げることになりました


けれど 今年は特別なことに


あの人が見た桜の木を 私も見ることができたので


貴方達の 年に一度の晴れ姿に


私達は見惚れ 感謝しています、と


あの町の木まで 伝えてください



616.


貴方の声を 私は知っていた


貴方の未来を 見たかった


その声が 生き生きと鳴り響くように


たくさんの人に その歌声が届くように


私は心から願います


生きて 見守ることができるなら 何度でも


貴方の観客に紛れ その長い列に並ぶでしょう



617.


水面は貴方に 恋をするように


美しいお顔を 映すでしょう


私が水面であったなら


その眼差しを 受けることができたのでしょうか


憂いの表情を 預かることができたのでしょうか


私は命さえ 要りません


ただ お傍にいることが叶うなら



618.


私は言葉をなくしても


歌い続けることができます


私は音符はなくとも


想いと呼吸で 詩を紡ぐことができます


二つの種が歩み寄り


語り聴かせる歌になれば


貴方の耳に 届くのでしょうか



619.


いつか貴方も喜んでください


出会えたことを 思い出し


無意味なものだと 思わないでください


貴方の道行きを 変えるものではなかったとしても


貴方の支えには 及ばなくても


貴方のお側に 控えています


溢れた涙や喜びを 受け止める皿を携えて



620.


私は草花のように 貴方を見つめ


人の心を持っています


私は夢を見 記憶し続ける


誰かに語ることはなくても


私が残し続けたいことは


貴方を見つめる喜びです


それが花言葉として いつか誰かに伝えてください



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