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FIRE PROOF~硝煙の対価~   作者: 柴光
7/7

006 新装

 


『大尉、ガーディア部隊全滅した模様です』

「見れば分かる、お前達は下がっていろ。アイツは俺がやる」



 残るは3機のサージェントのみだが、1機は防衛型と来ている。

 防衛型は文字通り拠点防衛に特化しており、装甲も厚く普通の弾 (プラズマライフル以外のプラズマ弾を含む)を通さないばかりかスナイパーライフルですら無力化してしまうリアクティブアーマーを追加しているからたちが悪い。

 野砲や艦主砲なら吹き飛ばせるが、今回の任務では艦砲射撃は建物に被害が出るので認められてないし、プラズマライフルも装備していない。

 CCAでの実質的な有効打はヒートソードに限られ、熱量を最大まで上げることで肉厚に刃を通すことが出来るが、こっちの刃もダメにしてしまう確率が高いので本当なら相手にしたくない。

 整備長に武器もタダじゃないんだから大事に扱えと怒られてしまう。


「まぁ、そんな事は言ってられんか」

『隊長、何か?』

「いや、独り言だ。レイヴンはアーシェの機体をマークしていてくれ」

『了解です』


 2刀のヒートソードを構えて敵サージェントに突撃をかける。

 敵の指揮官は優秀であり、僚機を後方へ下げて自機を盾に展開する陣を取っているが、防衛型は後回しだ。

 先にノーマル2機を片付けようと機銃を牽制に使って距離を詰め、敵の弾をかわして右手のヒートソードをコクピットへ突き刺して2機目の後方に回り込んでバックパックごと貫くと、爆発に巻き込まれないよう距離を取った。


「残りは肉厚だけだ」


「ニック…マディ…仇は、討つ!!」



 メインスラスターを噴かそうとペダルを踏み込もうとした瞬間、防衛型は爆煙の中を突っ切ってポットを一斉射し始めた。

 誘導弾を放ったようで回避しようにも追い回される為、機銃を使って撃ち落として誘爆を狙うが、2発がすり抜けてきた。


「チッ!シールドパージ!」


 左手のシールドを着弾の直前にパージして横スラスターでの回避で事なきを得たが、専用の機銃付き小型シールドなのでジドから大目玉を食らいそうだ。

 取り回し重視のシールドだが、デッドウェイトであることは変わらず、外せば腕部の反応速度も上がる。

 相手はミサイルを撃ち尽くして残るは改良型のライフルのみ、ここは接近して一気に畳み掛ける。



「あのミサイル群を全て…なら弾丸の雨でも食らえっ!」


「させるかよ、行けよペイル!」


 敵防衛型がライフルを構えてトリガーを引こうとした時、腰部の有線式遠隔攻撃兵器(オールレンジアタックウェポン)[通称ペイル]を射出して四方からプラズマ弾による攻撃を浴びせた。

 ペイルによってライフルは破壊され、シールドで防げなかった箇所のリアクティブアーマーは起動して剥がれ落ちていくも、ペイルでは本装甲は貫けなかった。


「追加装甲を剥がしただけでも上々だ。ヒートソード、最大出力!」


「クソ、オールレンジを採用するとは東は無茶をする。!来るか!」



 2刀のヒートソードの出力を最大にして懐に飛び込むと、敵機は腰背部のトマホークを掴み抜いた勢いで振り上げようとしてきた所を左手のソードで受け止め右手のソードでシールドを貫いたが、剣先が胴体に当たる既の所で押し返されてしまった。

 しかし、俺を弾くと同時にシールドから手を放したので奴を守るものはその重装甲のみとなり、突き刺さったシールドを振りほどいて再度2刀で斬りかかる。

 敵機はトマホークで薙ぎ払いの動作を起こすと、此方も向かい撃ちリーチの差でその腕を斬り落とし、振り替えして胴体へ横払いを行う。



「カハッ!ま、まだ…まだやれる」


「手こずらせられたが、終わりだ」


 機体に大打撃を受けつつ、更に前進してくる敵機の腹部にソードを突き立ててトドメを刺し、敵部隊の沈黙を確認した。


「手練れの防衛型は厄介極まりないな。こちらゼスト機、敵部隊の殲滅を完了した」

『オペレーター了解。03号機の任務完了後、合流願います』

「了解だ。完遂次第帰艦する」


 後はアーシェと救出隊の帰りを待つのみとなった。



 14:44

 施設の窓から作戦成功を知らせる青い発煙弾が放たれ、胸を撫で下ろした。

 もちろん外を制圧しているのを確認してから放った…はずだ。


「青旗を確認。お疲れさん」

『ザ…サキもお疲れ様。皆無事に保護したよ。後、開発主任が第三ハンガーに来てくれってさ』

「第三?何かあるのか?」

『うん、驚くと思うよ』

「ほぉ。了解だ、今行く」


 アーシェに呼ばれて向かった先には、データにあった重要人物である開発主任がニコニコしながら待ち構えていた。

 俺はディシディアから降りるや否や、駆け寄ってきて俺の手を握って第一声に。


「准将!見ていたよ!!僕の造ったペイルをあれほどまで扱えるとは流石と言うべきだ!!性能はどうだ?」

「あ、ああ。出力が物足りないとは思うがそれ以外は言うことないな」

「そうかそうか!出力か…んー、大型化以外にその問題が解決出来れば…」

「それより用があるんじゃないのか?」

「そうだ!!これを見てくれ」


 被さっていたシートを剥がすと、そこには片刃の刀身が従来の物よりも細く長いソードが2刀固定されていた。


「これは…」

「極東の剣をモチーフに造った新開発の近接戦闘装備、開発コードはフツヌシだ!長く、細く、鋭く、然れど最新素材のRグラファンを加工することで強度は5倍だ!!僕が自信を持って送り出すシンプル・イズ・ザ・ベストウェポン!」

「お、おう…これを俺の機体に?」

「むしろ准将、君に扱って欲しい!どうだ!?」

「歓迎だ!有難う、主任」

「なーに!これから次々と新兵器、新機体に着手していくぞ!アーハッハッハッハッ!!」

「…少し変わってるよね」ボソッ

「少し…なのか?」ボソッ


 施設の放棄を決めた上の命によって、物資を運び出して人員をシリアへ送り届けた。






[太刀フツヌシ]

 最新素材であるRグラファンを用いて造られた軽量刀型のヒートソード。

 強度はそれまでの5倍以上であり、折れず曲がらずは勿論、余程の事がなければ刃こぼれもしない上、熱量最大出力でもメルトオーバーすることはない。

 貫くことを主眼としているが、[斬る]も従来のヒートソードとは比べ物にならない切れ味を誇る。

 現在では二振りのみ造られている。



 


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