あの人実は天才なの?!
あんなことやそんなことがありそうでなかった昨夜から翌日。
今日は朝から全校集会だった。
校長の長ったらしい話を聞きその後にいつもの表彰があった。
運動部の大会、吹奏楽部のコンクールそして今は美術関連の表彰をしている。
(あ…あの人だ。)
そこには絵を描いていた少女の姿もあった。
(名前は咲島紘乃って言うんだ…)
「咲島さんってやっぱりすげぇよなぁ…」
隣で颯汰がこそこそと話しかけてくる。
「そんなにすごいの?」
「そんなにって……まぁ、お前いつも集会は寝てるもんな。(笑)
あの人いっつもどっかのコンクールとか作品展とかで表彰されてるぜ?」
「そ、そうなんだ」
「成績優秀でおまけにあの見た目だぜ?
絶対モテるよなー…さすがの俺でも手がでない……」
(いや、お前だって充分モテてるだろ。
しかもさすがの俺でもとか自分で言うな!)
校長から賞状を受け取りくるっと全校生徒の方を向くとペコりとお辞儀をし、降壇する。
その慣れたような動作はまるで、あの桜の木から舞っている花びらのようだった。
全校生徒の方に振り返った時、一瞬だけ目が合ったような気がした。いや、きっと俺の自意識過剰だろう。
そんなわけで今日も授業を真面目(寝てた)に受け、放課後はいつものように図書室に向かっていた……はずだった。
しかし、俺は何故か今、校舎裏で咲島紘乃にじっくり見つめられていた。
「あ、あの……ちょっと近いっていうか……いろいろまずいっていうか……」
「ん??あ、ご、ごご、ごめんなさい……」
驚いて後ろに引いた彼女を見るとそれだけ俺を見るのに夢中になってたみたいだ。
ってなんでこんなことになったって?
それはほんの数十分前のこと。
「あ、あの、し、嶋崎くん!」
図書室に向かう途中の渡り廊下、突然声をかけられた。振り向くとそこに立っていたのは咲島紘乃だった。
彼女はぼそぼそと小さな声で話しているが聞き取れない。
何度か聞き返すと
「体を見せてください……」
やっと聞き取れたって……へ?ええ!?
「ど、どういうこと!?」
「あ…あ…そ…そんなへ…変な意味じゃ…なくて……」
どうやら風景画に人を描きたいらしく、腕とかそのへんを見せて欲しいらしい。
「な、なんで俺に?」
「だ…だって…い…いつも…わ…わわわ私のことみ…見てたから……」
気のせいだったらごめんなさい!っとペコり。
「え、あ、あぁ、そ、そういうこと(笑)」
(気のせいじゃないけど。綺麗だから目を奪われたなんて言えねぇよな。)
彼女の頼み事を受けて、彼女に言われるがままついて行ったらまさかの校舎裏の誰にも見えない場所だった。うん、怪しいよね!絶対危ないことされる雰囲気だよね!
そして今にいたる。
すっごい至近距離で目を見られたり、腕や体つきなど隅々まで見られた。
うん。やましいことなど考えてない。
しかし、彼女には警戒心というものがないんだろうか。
(自分の好きなことになると熱中して周りが見えないタイプなんだ。)と自分の中で納得した。
それにしてもこんな可愛い子にこんな至近距離でジロジロ見られるとなんか、よからぬ事を考えそうで……っていかんいかん!
理性よ保ってくれ……
〜数分後〜
「き…今日はあ…ありがと……」
「ううん、大丈夫!俺なんかでよければ!」
(これは一緒に帰るチャンスでは。?頑張れ!俺!ここで言わなくてどうするんだ!)
「じ…じゃあま…また」
「あ、あの!」
彼女はきょとんと首をかしげて綺麗な目で見つめてくる。
「よ、良かったらい、一緒にか、帰らない?」
「いいよ…」
その後途中の交差点で別れ、家に帰った。
あとで、彼女になんで一緒に帰ってくれたのか聞いてみたら
「な…んか友達とい…一緒に帰るってあ…憧れてたから」
と照れながら話してくれた。
うん、可愛すぎるだろ。
「よ、良かったらまた一緒にか、帰らない?」
と聞いてみたら
「うんっ!」
彼女はニコッとこちらを見て嬉しそうに笑った。
(いや、その笑顔反則だろ。)
彼女の笑顔を初めて見た。その笑顔を見た瞬間心臓が跳ねて、俺の見ている景色が色鮮やかに見えるようになった気がした。
各話短くて申し訳ありません!
今回は第5話!
一目惚れした咲島さんとの進展が!
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