流星の元で乱れる白い雪
2話です、まあ流してでもいいんで見てってください
今日は火曜日、交流戦の始まる日だ
今日から強豪、乱雪ホワイトブレイカーズとの3連戦だ。
この3連戦で俺の先発する試合はないが、打撃と守備であいつらに勝とう
昨日はバッティングセンターで練習もしたし、大丈夫だ。
そんな感じで今日の俺はとても自信に満ちていた
これから自分の身に何が起こるかわからないまま…
今日はホームゲームなので本拠地の流星スタードームで試合をすることになっている。
球場に入って1番に顔を合わせたのが
「よっ!随分早いな」
葛場さんだった、今日はこの人が先発だ
「葛場さんこそ、いつも来る時は早いじゃないですか」
「まあな、先発だから早めに肩を作っておこうと思ってね…それに」
「それに?」
葛場さんが少しにやけてこういった
「ここ実は俺の実家なんだよ~ははは」
「え…え~~~~!!」
いつも早いとは思ってたけどまさかそういう事だとは思ってなくて思わず声を上げてしまった
すると葛場さんが
「ってなわけあるか!冗談だよ。これで気持ちも楽になるだろ?」
そう言って笑いながら俺の背中を叩いた
葛場鉱亮、うちの先発の一角だ
多彩な変化球を持つ本格派でシュートを極めたと豪語している
そのシュートは光りながら瞬間移動したかのように変化する変化球で
そのシュートの前に三振を取られた打者は多い
また、葛場さんは冗談好きな性格で、今みたいなブラックジョークを言うのが好きだ
「…俺、ブレイカーズに友人がいるんですよね」
とりあえず話題を変えてみる
「そうなのか、どんな奴なんだ?」
葛場さんは興味津々だった
「…海糖って奴と雷魔って奴です、二人とも中学時代のチームメイトだったんですよ」
「ちょっと待て、海糖と雷魔って…あの海風コンビか!?」
「…!そうです!その海風コンビですよ!」
海糖天矢と雷魔風介、甲子園の時から話題の最強コンビだ
雷魔が抑え、海糖が点を取る。ほぼ毎度その流れで勝利を呼んだことから世間でそう名付けられた
昨シーズンでも彼らはそのやり方で見事に話題をかっさらって行った
その結果、海糖が首位打者と打点王、雷魔が最多勝と勝率1位、最優秀防御率をそれぞれ受賞した
彼らとは中学の頃チームメイトで共に切磋琢磨した仲なので今日の試合が楽しみで仕方ないのだ
「へぇ~、あのコンビが中学の頃お前と一緒だったとはねぇ」
「でも…大したことは無いですよ、有名人と友達だからってそこまで凄いことではないですし、凄い人同士なら話題にはなるんですけどね」
遠回しに自分は凄い選手ではないと、自虐を混じえて彼らの凄さを伝える
「ま、お前は甲子園ベスト4だったもんな」
「し、仕方ないじゃないですか!海風コンビにやられたんだから!」
「海風コンビだからどうした?お前二刀流やってんだから同じこと出来るだろ?」
痛いところを突かれた
「た、たしかにそうですけど!」
「いい加減認めなよ、お前のような投打のバランスに優れた選手、あまりいないぞ?」
投打のバランスにそこまで自信はなかったが、困らせる気はなかったので無視してこう言う
「え?そうなんですか?」
「あぁ、二刀流の人口が増えているとはいえ、みんな何かに偏っているんだ。源田だってパワーに優れてるけど技術面がダメダメだろ?」
源田悠哉、うちのキャプテンだ
高い球速と高いパワーが持ち味でDHのない試合に貢献しやすいタイプだ
葛場さんの言った通り、技術面がダメなのでストライクゾーンに入らなかったりバットに当てられなかったりするが、それでもなんとかなる、という思考を持っている凄い前向きな人だ
「それは悠哉に失礼じゃないですかね…」
葛場さんがハッとして苦笑いする
「それもそうだな、さて、そろそろ他のやつが来る頃だと思うし、練習始めるか」
「はい!」
しばらくして試合が始まろうとしている
今日は3番ショートでスタメンだ
マウンドに立った葛場さんはかなり落ち着いた様子で試合開始を待っている
ありがとうございました!試合開始は次回です!お楽しみに~