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Angel Break!【1年生編/最終世代の学園】  作者: 山野佐月
【1年生編/最終世代の学園】
52/66

第五話【シールドはかく語りき】帰国

 俺はキャロルの住処に帰ってきた。

 大変重要な報告を抱えて。

「紅!」

「おう、帰ってきたか。待ってたよ」

「色々聞かせてくれよ!」

「…………みんな」

 神王との会談。これからあの場所で話したことをみんなに伝えなければならない。だがしかしそれより前に、問題が起きた。

「みんな大変だ…俺たちが対処しないと、明日たくさん人が死ぬことになる…!」

「⁉︎」

「……どういうことですの?」

「ととととととりあえずおおおちつけ」

「…ゆっくり聞いてくれ…この国の革命を、土曜日に決着をつけるらしい……宮廷に議院に個人の家まで、富裕層を潰す覚悟で貧民層が襲撃を行う!」

「‼︎…」

 お話ししよう。神王と俺は何を話してきたのか。そしてこの国の正体とは一体なんなのか。

 ティラバス最終章。

 明日が終われば、俺も3人も帰国する。

 ついに我が国、我が学園に帰る時がきた。


 〈1-6〉

「不味かったろう?」

「不味かったです」

 正直に答えた。実際に不味かったのだ。

 出された食事は酷いものだった。味はしないわ食感は最悪だわで、森の木の実の方がずっと美味しかった。

 それでも全て食した後、俺と神王様は宝物庫に向かって長い廊下を歩いていた。

「それでも綺麗な水で作れるだけマシだ…不味いが、健康は損ねないのだからな」

「……貧民層の一般家庭の料理は、確かにもっと酷そうでした」

「だろう?この国ではあれが普通…ならば私も似た食事をとるべきだと思ったのだ」

「……よく分かりません、神王様は独裁者なのになんでそんなことを気にするんですか?」

「嫌味かね」

「意外なんです」

「……独裁者は、私ではないよ。神王だ」

「え?貴方が神王ですよね…?」

「そう、私が神王だ。だが独裁してはいない…むしろさせられていると思っているよ」

「……⁇」

「この国の歴史について説明しよう」

 宝物庫に着いた。重い扉を衛兵さんが開けるとその先には展覧会のような光景が────

「────え?」

「驚いたか?」

 なかった。

 宝物庫は、宝物庫の働きをほとんどしていなかった。中にあったのはいくつかの骨董品と絵だけで、広い空間を持て余していた。

「……」

「戦火はついにこの場所に至るだろう…だから先に、歴史的に価値のある芸術品や骨董品はほぼ全て外国に移した。今ここにある物もそのうち移される。」

「…残っているものを、見てもいいですか?」

「もちろんだ」

 俺は五点の宝物を見て回る。

 一つ目は様々な生物の彫刻。外のろうそくと同じ技術で作られているようだ。

 二つ目は海に船出している漁師達を描いた絵。写実主義でリアルな画風だ。

 三つ目は森で木の実を取っている女達の絵。こちらもリアルな人間が描かれている。

 四つ目は昨日の『異形部隊』のような、混合生物とも言うべき生物が多く描かれている壺。

 そして五つ目は金属の細工。

「それこそが本当の『神王』だ…と言ってもなんのことかわからないだろうから、この国の成り立ちから私は説明しなければならないようだ…」

 そう言って神王は語り始めた。


 〈6-5〉神王とは古くからの考え方である。

 ティラバスは元々、何もかも存在しない最悪の発展途上国であった訳ではない。

 主に付近の海流の影響で、ティラバスには四季ならぬ二季、すなわち梅雨と夏が存在する。

 土壌も十分良いもので、植物にとっては最高の環境である。植物があるということはその上に君臨する生態系も上手く保つことができるということで、そして海流に乗って魚もいて、それらを狩れば食べ物には本来困らないような良い土地なのだ。

 だが梅雨と夏は温度差が激しく(そもそも平均気温が低く、そして夏がありえないほど暑くなるため)、隣のアイルランドのように安定しない。生き抜くために、植物も動物も、人間も、それぞれ独自の進化を遂げた。ティラバスの人間は動物を尊敬する。その訳はそこにあって、動物の生きる知恵を学び、同じように生きてきたからである。それによって生じた影響はいくつかある。必要以上に動物を殺さなくなったこと。虫をよく食べるようになり数を減少させたこと、そして野生的になったこと。

 ティラバスの人間は欲望を前面に出すようになった。それで村の社会を経営するためには工夫が必要だった。そこで生まれたのが神王という概念である。

 神王とは神の王ではなく、神のような王。その絶対的な王様がこう言うのだ。「他人に対しては何をしてもいい。ただし同じことをされても文句を言ってはいけない。」…野蛮な考え方だがティラバスにはフィットした。先進国では『加害者になるくらいなら被害者の方がマシ』と思うように教育がなされているが、ティラバスでは逆に『被害者になるくらいだったら加害者になれ』という考え方が広まっていたのだ。そしてそれは神王の名の下に許される。

 そもそも被害者にも加害者にも出来ることならなりたくないのが人間だが、これは先進国でも発展途上国でも同じで、人間は誰かを傷つけずに(そして傷つかず)に生きることはできない。

「その後私の一族が代々、名ばかりの独裁者である神王の称号を持つことになったのだ。まるで免罪符のような神様を、私はずっと演じている…その中で、この国の移りゆく様を見てきたが、感想は一つだ」

「……それは?」

「ここの人間は同類で同罪なのだということだ──────富裕層も貧民層も、1人残らずみんな狂っている。ほしいものがあるなら暴力で奪う…それになんの抵抗も覚えない。君たちの国では思考異常と言うのだろう?こういうのは……この国の人間は皆、心に病をかかえている。その病が治らない限り、つまり神王という言い訳を捨て、平和主義を唱えられるようになるまでは、たとえ革命や脱出が成功したとしても、国民はまた、同じ過ちを繰り返す。」


 〈6-2〉

「そしてついに昨日の夜、倉谷君とは一緒に行ったが、農民の作っていた国外脱出の為の橋が、完成間際で崩れ落ちてしまったらしい」

「……あれが……?」

「そんなものがあったのですね」

「ああ。もちろん、島に梅雨と夏を持ってくるほどの強力な海流が原因だが…そして本人たちもそれはわかっているんだろうが、今、議会や富裕層への怒りは最高潮に達してる」

「…おい紅、しかもお前、昨日スラム街の様子がおかしかったとも言ってたよな」

「うん。多分あっちももう限界なんだろうよ…だからまずい事態になったんだ」

「今頃は同じ目標を持った仲間たちが合流しているかもしれないな」

「そう…そう思って、急いで前の酒場に行って話を聞いてみたら、ビンゴだったよ。明日で革命は決着をつけるってさ…やめろって言ったけど、かなり口論になって俺は追い出された。それでこうして帰ってきたわけだが、俺たちはそれを止めなくちゃならないよな?」

「ああ」

「もちろんですわ」

「そりゃそうだ」

 同意を得られて良かった。さすがに時間が経つと、3人とも意見が合うようになってきた。

 気づくともう夜になっていた……

 その後俺たちは明日の作戦を立てて、森の中で眠りについた。

 これでティラバス5日目は終了し、ついにこの旅も終わりの時が近づいてきた。

 明日は争いを止めて、裁判をして、日本に帰って、さぞ疲れることだろう。しかし1週間も経っていないのに随分この国にいるような感覚がする……日本に帰ったらまず、仲間に会いたいものだ。

 いやその前に、クリムゾンの呪いによる事件をあと1回消費しなくちゃならないのか……

 まあいいや、明日のことは明日考えよう………


 〈1-8〉早朝。

 俺はなんだかよく眠れず、早くに起きた。ちょうど四時頃だ…そこで俺は、二度寝する気にもなれなかったので、顔を洗って歯を磨いたら、森の奥の方へ歩いて行った。

 すると坂道になってきた。ただの森ではなくここは山だったのか……

「あれ?紅か」

 たいして大きな山ではなかったのですぐに山頂についた。そしてそこには倉谷君がいた。

「早いんだな」

 俺より早くここに来たお前が言うか。

「倉谷君の方が早いじゃんか」

「俺は早いんじゃなくて、眠れなかったんだよ…昨日の夜からずっとここにいる」

「ええ。体に悪いぞ」

「そうなんだがな…だが今日、俺は俺で決断をしなくちゃならない。最終的にこの国をどうするかを決めるのはお前だが、俺も一票出すんだからな…」

「そうだな。まあ、楽しみにしてるよ」

「…なあお前、どうするつもりだ?この国を」

「ん?」

 倉谷君は本気で心配そうにそう聞いてきた。

「どうせお前のことだ、裁判が終わったってすぐには日本に帰らないだろう。この国のアフターケアは欠かさないんだろう?それで、どうするつもりだよ。悪く言えばお前好みにこの国は変えられる…その為に今日の判決は、どうするつもりだよ」

「……」

 なるほど、たしかにそうだ。

 普段の俺なら、明日だって日本にはいないだろう、少なくともキャロルにまともな家ができるまでは、この国に残るだろう……だが、残念ながら今の俺はそれをする予定はない。倉谷君をがっかりさせそうだが、しかしなんとなく嫌な予感がするのだ。

 ここからは推理だ。

 理事長は下手な嘘はつかない。それはもうわかっていることだ。そんなに付き合いが長いわけではないが、それぐらいはもう重々承知している。

 この裁判の依頼が来た────それは絶対に真実で本当のことだ。断言できる。

 なら、人選を決めたのは理事長だとして、それに不可解な点は無いにしても、よくよく考えればこの裁判に一番向いているのは俺なのだ。

 国民全員が身勝手で利己的。つまり全員が悪。そんな状況、普通ならそれに気づいた時点で嫌気が指して帰国しちゃいそうなものだが、俺ならば絶対に仕事を投げ出さない。それは理事長も理解している。

 思考異常の形が珍しい─────ある地域に住む人間が皆同じように、本来なら感染しにくい『軽度な』思考異常にかかっている─────というのも、俺の興味を引きつける要素の一つだ。

 誰が依頼した?

 違和感がある。何が起こっているのか、もしくは起きるのか起こったのかはわからないが、とにかく理事長が俺を学園から追い出したいというタイミングで、そんな御誂え向きの仕事が来るだろうか。

 考えすぎか………………?

 “理事長は悪事を働いていない”。倉谷君のあの言葉を、今後の仕事に支障が出ないように信じてみることにしたが…一刻も早く日本に帰りたい。

「この国の人間は思ってたより強い。ホテルからわかるように海外との繋がりもきちんとあって、十分に富もあるし、国の復興なんて国民が一丸となれば簡単なはずなんだよ…もうこの国に『先進国』は触れさせない方がいい。そう判断して、俺は今回ここに残るつもりはない。日本の方も心配だからな…」

「……そうか。なら俺は尊重するよ」

「ありがとう。でもだからって、何もせずに帰るわけじゃない。この国の今後の為に、既に対策を打ってある……」

「?」

「後のお楽しみだ」

 と、そんな話をしていた時だった。

 何やら声が聞こえる。山の下から、俺たち2人を呼ぶ声が。そして数秒後、俺たちの元に走ってきたのはシルフィードだった。

「おいお前ら!大変だ、すぐ行くぞ!」

「おいおいどうした!何があった!」

「革命が始まろうとしてる!」

「……‼︎」

 俺たちは急いで街へ走り出した。

 早起きして正解だった。今度は間に合う……今度こそは、富裕層も貧民層も、誰一人死なせはしない。

 街の中心部には大きな交差点があり、そこから延びる一本の大通りだけが富裕層の住む街へたどり着ける道だ。

 つまりそこさえ押さえれば争いは起こらない。

 ちょうどあの、キャロルの通う酒場の辺りだ。

 だからここからは近い。汚い民族と罵られる彼らの怒りより先に、俺たちはそこに到達できる!


 〈1-1〉

「革命に…明日は裁判もある。もしかするとティラバス史上最悪の日になるかもしれないな」

「……神王様、俺一ついいこと思いつきました」

「ほう、話してみよ」

「あの大通り…革命の勢力は絶対にあの場所を通りますね。だから富裕層もあの場所を守りたい」

「そうだな」

「だったら、一国の軍事力が一斉に集まるってことですよね…仲違いはしてますが」

「そういうことになるが…それがどうした?」

「この国を変えたいんです。今は心が病気に蝕まれているけれど、それさえ治れば、この国は大きく成長出来るはず…俺はその手助けがしたいです。」

「それは立派だな」

「そして今の俺にはその許可と権限がある。神王様、明日に争いが起こった時、俺たちはそれを止めます。そこでお願いがあるのです。それを確認したらここから大通りに来て、○○○○○○○○○○○○して頂きたいのです。」

「……」

「神王という概念を壊しかねない、絶対とはいえない策ですが、必ずうまくやってみせます。良ければお願いできませんか?」

「はっはっは……何を言うかと思えば、そんな簡単なことか。もちろんやるさ。やるとも。君の案に乗った。」

「ありがとうございます」

「しかしこの国は不思議だろう」

「?」

「そんな簡単なことすら出来ずに、ずっと傷つけあってきて、それをおかしいと思わなくなったんだよ。私はここらで正直、この国は一度滅んだ方がいいと思っていた…でも君の作戦ぐらいは試してからでも良いよな?」

「もちろんです。ではさっそく○○から考えて…」


「……」

「どうした紅!」

「あ、ああ……いや、ちょっと不安なだけだ」

 マリーとも合流して、大通りへと走りながら会話をする。 この調子なら俺たちが一番乗りになれそうだ。

「そうだ。もう時間もないから聞いておいていいか」

「ん?」

 よく考えれば朝は一番戦いに適してたのを忘れてた。昨日のうちに聞いておくべきだった。

「多数決だ」

「………」

「……ああ。それか」

「………………」

 長い沈黙が訪れた。

 3人は真顔になって、考え事をしているようだった。

 そして静寂を破ったのはシルフィードだった。

「俺さ」

 彼は話し始める。

 この国に対する敬意を持って。

「考えてたんだよな…ここに来て色んなことを知って……その上でどうするべきか考えた。それで思ったんだよ。こんな判決しちゃいけないんだって」

「!」

 いきなり────核心をついてきた。

「これもまたきっとどこぞの先進国の実験なんだよ。なら俺たちはそれに乗って、これ以上この国をめちゃくちゃにしてはならないと思った。お前らどうだ?」

 存続させる、でもなく、させない、でもない、第3の判断。そうだ、俺たちは最初から、それがしたくてここに来たのだった。

「…ふん。まあ、そうだな。俺もおんなじだ」

「私もですわ。私たちの本当の使命はそれですもの。」

 二人も続けて同意する。

 もちろん俺も。

「…はは。俺も最終的にはそうしたいって思ってたよ。お前らと思ったより仲良くなれたから、現実になっちまった」

「かっけえじゃねえか!じゃあ紅、そこも含めて、どうするかはお前を尊重するぜ。いいよな2人とも」

「ああ」

「もちろんですわ」

「考えがあるんだろ?」

 俺たちは走る。どこに?大通りに?

 ひょっとしたら旅の終わりに。

「ああ!」

 友情の結果だ。全て俺に任せてくれると、彼らシールドはそう語った。ならば俺は、その期待に応えなくてはならない。


 〈6-9〉目の前には大軍。

 だが1人1人は貧相な格好をしている。刃物を持って、はるか彼方からこちらへ走ってくるのがわかるが、あれでは犬死にするだけだ。

 反対側には一昨日見たばかりのロボットや最新鋭の武器を装備して走ってくる屈強な男たち。少なくともティラバスの貧民相手には、1人の犠牲もなく勝利を収めるだろう。

 俺たちはそんな無駄な戦いを止めにきた。

 ────俺は革命側、富裕層側の軍隊は倉谷君が止めてくれる。それぞれの止める相手を、真正面から受け止める。無論、物理学を超越した武術によって。

「ちょーかん!あいつこないだの!やばいっすよ!別の道から行きましょう!てか逃げましょう!」

「うるせー!お前が死んで道連れにしてこい!」

「嫌っすよ!」

 大軍の先陣を切る男女の姿が…見たことがある。

 あの2人の議員もこの争いに参加するらしい。

 ぼろ負けしておいて直ぐに復帰するその根性は本当、見習わなくてはならないだろう。

 車のような速度で、こちらに突撃してくる。

「おいミズ・クラタニ!クレナイ・ナギシ!てめえらだけはぶっ殺してやらぁああ!!!」

「倉谷君…大丈夫?」

「全然大丈夫だ」

 そう、そういえば、俺は議会で戦った時に奥義『篠方』をだいたい会得出来たので、あの切れ味のない刀を倉谷君に返却していたのだ。

 そして今、彼はそれを持っている。

「全てお前の計画通りにするよ…演説を聞かせるために殺しはしないし、傷つけもしない。だけど止める。こいつでな」

「でもそれって、刃がないよな…人が傷つかないのはいいが、本当に止められるのか…?」

「まあ見てな」

 すると、倉谷君は鞘から刀を取り出して、鞘を捨てて両手で持って構える。剣道の型のようにではなく、スイカ割りで振り下ろす直前のように、頭の上に手を回している。

「【金剛武装】ォ!」

「奥義【激流(アズル)】」

 そして。その刀を手から急に離した。

 握力をゼロにして、重力に刀を従わせる────彼の後ろに刀が落ちて行く。

「喰らえ!金剛武装に搭載する50の武器!一斉掃射だああああああああああああああ!」

「選りすぐりだと言っていたな、それは」

「あ⁉︎その通り!てめえをぶち殺す為の……」

「武器は一つに抑えるもんだ」

「えっ……」

 そして気づいたこと─────無い。

 彼が後ろに落としたはずの刀が、無い。

 そして、それを持っていた手も形を変えていた。柄ではなく、綱でも握るかのように。そして彼は、そこに無いはずの綱を振り下ろす────!

「極めた一つの物は万物にも勝る。例えば刀を使った『殺人術』の終着点は、こう!」

「な、何を⁉︎」

 これは後で聞いた話だが、倉谷君は『潔癖』という珍しい思考異常のある一種を持っているらしい。

 そこに技があれば、それを極めるまで他のことを考えられず、頭痛までしてくる、という物らしい。

 もはや呪いや負荷能力のような思考異常だが、それは彼を強く『しすぎ』ることになった。

 目に触れた技術や殺人術を手に入れて、手に入れて、ついには彼は本格的な武術の達人になった。

 彼の振り下ろした縄は空中で解けた。

 そして最終的には細かい紐に分かれて、そのそれぞれが飛んでくる武器にたどり着く。

 50の武器、さらにそれから放たれた弾丸さえもが、その紐によって真っ二つにされる。

 そしてバラバラになって落ちていく。

「〜〜〜〜〜〜⁉︎⁉︎」

「ほらな」

 思わず後軍も立ち止まる。

 これが彼流の刀の奥義の完成形、激流(アズル)

 全てをみじん切りにする『刀を使わない』刀の奥義。彼自身、後ろに落とした刀はどこに行っているのかわからないらしいが、ティラバスの一角に直線を大量生産した後の彼の手には、刀が握られていた。

 見えてなかっただけで実は案外、手に持ったそれを振り下ろしていただけだったのかもしれない。

「紅!」

「ん?あ、ああ!」

 そうそう俺は俺で、真反対から同じようにこちらに来る彼らを止めなくてはならないのだった。

「奴らが立ち尽くしているぞ!今がチャンスだ!」

 彼らのそんな声をかき消すように、俺は拳を、まだ距離のある彼らの元に突き出す!

「篠方ぁァ!」

「⁉︎」

 今。何を殴ったのか。

 正面にいる彼らにも見えなかったはずだ。

 何故なら俺が殴ったのは、小石だったから。本当になんの変哲もなく、その辺にあった小石。

 だけどもっと正確に言うのなら、小石を通じることで空気を殴ったのだ。…否、空気というより、風だ。

 俺は風を砕いた。

「⁉︎」

「うわぁあああ!」

「ど、どうした先頭!何があった!」

 篠方は『絶対的な軌道による攻撃』。それを周りの物質は邪魔出来ず、パンチやキックは途中で何にぶつかろうと最後まで振り切れる。ぶつかった物は砕けることでその場を離れる。

 だが逆に言えば、例えば殴った先に蜘蛛の巣があっても、奥義の使用者が邪魔だと思っていなかった場合はそれが砕けることはない。

 同じように空気も、当人にとってあるのが当たり前で計算のうちならば、砕けることはない。

 砕こうと思えば砕ける。思わなければ砕けない。

「へえ、もう新技か…やるな紅」

「へへっ」

 もうお分かりだろうが、俺は空気を『砕け散らせて』彼らに突風を浴びせたのだ。今まで空気にお世話になってきたからいきなり『空気が邪魔』と思うのが難しかったから、小石を介して…という形になった。

 間接的に殴られた空気は、化学的な結合の事など全て無視して岩のように割れ、気体だが固体のように、彼ら貧民街の革命の軍勢にぶち当たった。

 暴風になって。いやあ、俺も強くなったもんだ。

 他の凄い人達を知っているから気安く言えないが、まるで魔法のような力だ。それに、俺のホームルーム、1組技術使いクラスにも、もう胸を張って入れるようになった。こんなに凄い力を持っているのだから。

 転んで膝を擦りむいた人はいるかもしれないが、大怪我はさせずに全員、この交差点でいい感じに集めて止めることもできた。

 さあ、武力行使はここまでだ。

 そしてここからが本番……正念場だ。

「vjuckguvjcjcjvkcjvjx!!!! cjxxkcjxj j ivjfhh!!!Vinci)))6))fybcggjg!!!!!(聞け!ここに!この国の未来のための『審判』を下す!静粛にしろ!!)」

 キャロルに教えてもらった、この国の言葉でのスピーチ。沢山練習したから、上手く言えるはずだ。


 〈SEALED thought about fraternity and the future. I am too. So I say with pride.〉

「この国は存続させる!」

 どよめきが起きた。約束が違うじゃないか、この裏切り者!という声が聞こえる。

 それも当然だ。もう完全に、酒場では現体制の崩壊を前提に話をしていたのだから。

 富裕層側も動揺していた。俺は議院で「この国を終わらせる」と宣言していたからだ。

「ちょーかん、これすっごいラッキーなんじゃ…」

「ナギシ…どういうつもりなんだ⁉︎」

「最初から敵だったんだ!あいつ!」

「静粛に!きちんと理由がある!考えてもみろ、今のこの体制が変われば、貿易にどんな影響が出るかわからないだろう!」

「‼︎……」

「今まで汚い民族と言われていた者達を、快く受け入れられる国がどれほどあるだろう…少なくとも俺の故郷は無理だ。だから現体制は変えられない」

「…」

「これから変わっていくこの国において、富裕層の持つ輸出入のルートは絶対に必要だ!だから、未来の為に、まず変革するべきなのは思想だ!」

 ここからが本題だ。

 俺は傍からキャロルを連れてくる。

 シルフィードが呼びに行ってくれているから、じきに『あの人』も到着するはずだ。

「原始的な世界観はもう終わり!これからこの国の国民は、他の先進国が持っている考え方を身につけなきゃならないんだ!」

 ここまでで、その場に沈黙が訪れた。

 俺は話し続ける。

「本来、思想は強制するものではない。だから本当は俺が口出しするのも健全じゃないんだ…でも、ある意味、思想の押し付けはこの国でずっと行われていた。神王様の名の下に、どんな手段を使っても幸せにならなければならないと────国民自身が、国民を傷つけていた。なら、俺が少し変えてしまってもいいよな!」

 被害者になるくらいなら加害者になれ。

 そんなことを続けていたら、みんな傷つくだけだ。そんなことをいつまでも続けさせるわけにはいかない。

 いい加減、大人になるべきだ。

「どうぞ!こちらへ!」

 そこに現れたのは大人の男も子供の女。

 2人は手を繋いで、一冊の本とともにやってくる。

 神王の持つその『教典』は、この国の未来だ。

「国民たちよ!この子供を見よ!」

 そう言って神王様は、キャロルを前に出す。

「この国に汚い民族などいない!勿論、綺麗な者もいない!いるのはただ幸せを求める者だけだ!この子供のように、皆ただ、幸せになりたいだけなのだ!」

「……くそッ」

「そして自らが幸せになれないこと、幸せが終わってしまうことを、恐れている!」

「それの何が悪いんだクソ親父ィ!」

 いきなり、誰かが叫んだ。

 それは議会の長官だった────親父?

 政治長官の……親父だったの?

「何も悪くない…誰も悪くない…もちろん我が息子よ、お前も悪くない。皆が自分勝手になっていただけだ。」

 息子だったの?

「強いて言うのなら私が悪かった。ずっとこの国にいて何もできなかった私が悪かった…だから私はここに、償いをしに来たんだ。もう誰も死なせない為に、もう誰にも人を傷つけさせない為に、これを用意したのだ!」

「……!」

「…ちょーかん、あれって、まさか!」

「あ、あれは!」

 神王様の持つ教典。随分と古びている。

 あれは、初代の神王が作ったものだ。

 俺が訪れた宝物庫には隠し通路があった。地下に続く穴、その先にあったのは一つの宝箱だった。

 そこに封印されていたのがあの教典。

 生き抜く為に、思想が途絶えないように、後世に残す為に保管されていた。

 その存在は、ある程度の権限を持つ者は知っていた。それを無くさないことが、幸せでいられる方法だから。

「フン!」

「⁉︎」

 神王はそれをビリビリに引き裂いた。

「あああああああああああああああ!!!!」

「これからはこれが新しい『国』だ」

 そして、キャロルの持ってきたもう一つの教典を共に掲げてそう言った。新しい、国。

「ぎゃあああああああああ!!!!!!」

「ちょーかん!!」

 長官は泡を吹いて倒れた。

 まあ…ギャグっぽいが、誰よりも幸せを失うことが恐ろしかったのは、彼だったのかもしれない。

 ある意味では可哀想な男だ。

「この教典の名は【神と聖なる歌】!今日からはこれが君達の指標となる!」

 どよめきが起きた。

 それから神王は書かれている内容を読み上げていった。静寂の中、男の声だけが響く。

 内容は簡潔に言うとこんな感じだ。


 幸せになろう。

 みんなで幸せになろう。

 私たちにはその権利がある。

 幸せであればいい。

 不幸な人を見かけたら、幸せにしてあげよう。

 不幸な人になったら、幸せにしてもらおう。

 方法はたった一つ。嫌わないことだ。

 好きになれば、幸せになれる。

 他人に、好きになってもらえる自分であれ。


 本編にはもっと具体的なことが書かれている。

 神王は20分にわたって序章を読み上げた。

「今はここまでだ。この先の文章はこの国が決める。君達次第だ!」

「で、でもよ!」

 貧民組の方から声がした。

「俺たちにそんなことは出来ねえよ!今までいがみ合ってきた奴らと仲良くなんて出来ねえ!」

「そうだそうだ!」

「君達はそんなに弱くない!!」

「‼︎…」

 神王は怒鳴った。そしてトドメの宣言をするを

「このキャロル・バーストという少女は!今まで家もなく、ろくな食事も取れず!汚い民族だと罵られてきた!だがこうして生きている…凄いだろう!だがこの少女は何の変哲もない少女だ!君達よりずっと弱い!だか今はこうして私と手を取り合っている……君達に出来ない訳があるかぁ‼︎」

「……」

「で、でも……」

「まだ納得してもらえないか?」

 民意はまだ変わらない。神王のこの一言が無ければ、この後も変わらなかっただろう。

「ならば!この国の変革の第一歩として!」

 俺はこの人を尊敬する。けして裕福ではないというのに、なんという覚悟だろうか。

「このキャロル・バーストは!私たちスグラ家の養女にする!!!」

「私?いいよ!」

「ええええええええ⁉︎」

 長官が起き上がった。気絶していても音は聞こえるというのは本当だったのか。

「ちょーかん!」

「冗談じゃねえぜ親父ィ!神王家に汚い民族を」

「うるせえ!汚い幼女がいるか!」

 なにこれ?


 〈7-9〉

 気を取り直して、民意は変わりかけていた。

 だがもう一つ懸念事項があった。

 それはすなわち死者たち。富裕層に殺された貧民街の戦士たちのことを考えると、納得できないものがいた。

「ふざけないで!あたしの夫はあなた達に!」

「そうだ!うちの息子を返せ!」

 俺はそんな声の前に立ち、宣言する。

「紛争による死者は!全員生き返らせる!」

「⁉︎」

「救世主さん…?」

 スピーチ再開だ。

 しかし、俺たちもそろそろ引き際だろう。

「紅、そろそろ…」

「ああ」

 俺たちに依存されても困るから、一連の流れが完全に終わる前に逃げよう、という作戦を立てていたのだ。

「…紅、俺たちに先進国のことはわからねえが…」

 酒場のおじさんは言う。

「あっちじゃあ…そんなことまで出来るのか?」

「ん……あ、ああ!そうだ!」

「なんてことだ…ああ、奇跡だ!生き返るぞ!」

「やっぱり救世主だったんだ!!」

「その通り!だから町外れに移動してある遺体には絶対に触れるんじゃないぞ!」

「おお!」

 日本に帰ったら時破田あたりに頼んで生き返らせてもらおう。それで自体は全て解決だ。

「じゃあ俺たちはこれで…」

「な!もう帰るのか!」

 こっそり帰るつもりが神王様に見つかった。

「はい、帰ります…短い間でしたがお世話にな」

「皆の衆!この救世主たちに拍手喝采を!これだけのことをしてくれて、我々に借りを作らせまいと去ろうとしているのだ!せめて感謝をぶつけよう!」

「……」

 計画は崩れた。いや、もっと上手くいったのか。

 感謝の言葉が俺たち4人に降り注ぐ。街を出るまでずっと、そんな調子だった。

「みんな!」

 そして。

 一番最後に見送ってくれたのはキャロルだった。

「キャロル!」

「この国に、また来てくれる!?」

「もちろんだぁ!」

「もちろんですわぁー!」

「オレンジジュースに誓って!?」

「ああ!……ん?」

 そして、馬車に乗り込んで、地下通路を通って、アイルランドの特殊地区を経由して……

 俺たちはついに、帰国しようとしていた。

 帰りは理事長ではなく、天角学園の別の教員がゲートを開いてくれるらしい。

「はぁ…やっぱ人助けはいいね!」

「今回の件、理事長から報酬が出るらしいが…」

「マジかよ!」

「なんなんですの?」

「1人につき一つ、なんでもしてくれるってさ」

「理事長…かっけえ」

 そんな話をしながら、所定の位置にたどり着いた。

 俺は考える。

 仕事は終わった。日本が心配だ。

 今のところティラバスからは本来より一日も早く帰れている…全速力で駆けつけられる。

 一体何が起こっているんだ?

 今の日本には学園の生徒や教員に加えて、ダーク・バランスの精鋭達まで揃っている────よほどのことがない限り、なんともないと思うが……

 逆に、彼らにどうしようもないなら俺が行っても無駄だろう……

 そんなことを言っているうちに、俺たちは迎えによって、学園にまで帰ってきた。

「あー!久しぶりだ!」

「帰ってきましたわね……」

「こっちはちょっと空気が悪いのが欠点だな」

「それは思うよ」

 ……空気が悪い。たしかに。でもそれどころではない気がする…空気が……違う……?

 まあ、とりあえずはうちの部室に行こう。

 みんな無事でいてくれよ……!

「ああそうだ、紅。ちょっといいか?」

「ん?」


 〈3-9〉1週間ほど前の話。

「で、言われた通り迎えにきたけど、リムちゃんさん…どこにいるんだ?」

 アメリカのシアトラに訪れた1人の封印能力者シールド。彼の名は林道栄徹。彼はかつて、天角学園の1年2組の生徒で、アスクブランクという殺人者の組織を作っていた。

 人助け部の時破田心裏と、ダーク・バランスの翼村未玖によって思考異常を喪失し、これまでの殺人に対する償い(殺した相手を生き返らせる)と贖罪の旅を始めて、どういうわけか完全悪・庵内湖奈々(薙紫紅の因縁の敵)と合流した。

「ここだぜ」

 俺は待ち合わせをしていた。

 誰とか…というと、ある『超重要人物』…リムちゃんさんという人とだ。今日初めて会う。

 俺は庵内さんが手にしたその情報…これから日本で極秘に大変なことが行われることを知って、偵察を頼まれたのだ…そして、リムちゃんさんという人から連絡が入った。自分も様子を見に行くから、固まって動いた方が安全だろう、と。

 たしかに今回ばかりはそれが良いと思った。

 それに、リムちゃんさんは庵内さんの知り合いらしい。かなり心強い。

「さて行くか…ってその前に、ちゃんとした自己紹介をしなくちゃな。俺はアイゼンストリーム・ソリッド。この貧相な体のせいで勘違いされやすいから念のために言っておくが、俺は女だ。そして年上だ。」

「俺は林道栄徹です。男です。場合によれば……『庵内湖奈々』を動かせます」

「おいおい、そりゃ脅しか?」

「あ、いやそうじゃなくて…」

「林道…えいてつ。てっちゃんでいいな?」

「はい…てっちゃん…」

「こっちは誰でも動かせるぜ…『魔女村』でも『政府』でも、何なら『協会の裏』でもな。ついでに門下の能力者もいる」

「心強いです」

「そんで俺は庵内湖奈々の友達だ」

「…友達…だったんですか」

「ああ。だからこそ俺にあいつは動かせねえ。だけどまあ、あいつを余り過大評価しないことだ。庵内湖奈々はしばしば最強視されるが、そんなのあいつにとっちゃ正しい評価じゃねえ。あいつほど最強を嫌がる奴はいないよ。」

「はぁ…」

「それにあいつの真骨頂は技術でも異能でもねえ…完全悪という思考異常にある。さらにそれは俺と、あともう1人の俺らの友達も持ってる」

「⁉︎」

 完全悪は、1人じゃなかった。

 リムちゃんさんは、庵内湖奈々の数少ない…仲間?だったのか。

「ま、そういう意味でも俺は行くことにしたんだ。あいつは強さに対してトラウマを持ってるからな。ストレスは減らしてやりてえ」

「…では参りましょうか。それと実は、協力者は日本にもう1人います」

「そりゃ楽しみだ。じゃあ先に行ってくれ…俺は日本まで走って行くから」

「えっ……いやアイゼンさん」

「呼び名がついに変わったか。まあいいよ」

「日本は島国なんですが、ご存知なかったですか…?」

「いや知ってるよ。だから、海の上を走って行くから。太平洋の北緯47度線をちょっと左めに走ったら着くだろう?ここ数年運動してねえんだ、ウォーミングアップだよ。」

「……能力は」

「使わねえよ。言ってなかったか?俺の『転生能力』は使い勝手が悪いんだ。移動には役立たない」

「……」

 うちのクラスで、もしくは庵内さんのコミュニティで、能力を使わずにそんな芸当をできるのは、どれほどいるだろうか…やはり化け物だ。

『完全悪』庵内湖奈々に引けを取らない。

『完全悪』アイゼンストリーム・ソリッド!!

「じゃあ向こうに着いたら、まずは噂の『クリムゾンちゃん』の解放だな…須川朝登が彼をどうしたいかは知らないが、どういうわけか危機の真ん中に帰還させるようだ。それは今はまだ、早い。」



「なっ……ん……で……⁉︎くら…た……」

「悪いな紅。お前は友達だから…より確実な方法を取りたくなった。しばらく眠ってろ」

 俺の額に倉谷君の人差し指が当たったその時。

 意識が数段薄くなった。

 そしてだんだんと、深淵の底に落ちていくように…そして以前に体験したように、おかしな感覚になる。

 夢を見るように。

 そうだ…前に…倒れた時と同じ……

 ……庵内湖奈々……今……あんたは何をしてる?

 俺はさっきから………あんたがちらつくんだ……

「おやすみ。起きた頃には、全部終わってるよ。」



「今、世界の時間軸はめちゃくちゃだ…誰も気づかないが。あと5日間の間に、世界は大きく変わるだろう。だからこそ、悪が動くんだ。これは非常事態だぜ」

「だったらテレポートで行きましょうよ…」


 そんなこんなで、世界に不穏な影が見えてきた。

 でも、たとえ真っ黒なものに邪魔されたとしても、彼らの春は、青色でありますように。

 しかしこれは、序章に過ぎない。

「ふふっ……さあ、どうなっちまうのかね…」

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