第無話【僕たちはダーク・バランス】感情論
「僕の名前は巫槍。巫女の巫でかんなぎ、槍と書いてつらぬきと読む」
「俺は薙紫紅!薙ぐ紫と紅だ!」
小学生2人が殺し合わされるその前日。
2人は出会った。遊園地で。遊びに来ていたわけではなく、2人とも人助けのために訪れていた。
そして、翌日。片方はその殺し合いを企画した諸悪の根源を封印し、もう片方は一緒に封印された。
それから幾年もの時が経ち、封印された2人は蘇った。
巫槍は因縁の決着をつけようとしていて、薙紫紅は学園を守るため喧嘩をしようとしていた。そして『私』はそれをちょっと見守ってたりしているのだった…さすがに気になるのでね。
だが邪魔する気はない。
本当に見守るだけ…見届けるだけだ。
〈We are dark balance!〉
「…そろそろか」
僕、巫槍は、決着の時がもう来ることを感じ取っていた。
1人、感じ取っていた。視聴覚室で。
そしてそれをさせまいとする者たちがいることも───
────それは後だ。
僕は視聴覚室から飛び出していった紅の元へ向かう。立ち上がり、扉を開け、閉め、歩き出す。
そして思考する。今回の件の総括だ。
こちら側の、茅蜩黎明、暁紗里、翼村未玖、愛谷祐樹という人選に対して、あちら側は、烏丸憂、夏枷遊華、椎名冬空、林道栄徹、近藤いつみ、を出してきた。
結果は、2勝2敗…だがまあ、愛谷は眠らされているし、翼村も全力が出せないから、0勝2敗2分とも言える。まあそこは、相手の対戦者も無力化されているからどっちでもいいとして、とにかく、これから僕は烏丸と夏枷、椎名を相手して、向こうは何もなしに向かって来るわけだ。
まあ、結果は上々と言っていいだろう。
十分だ…サンプルは取れた。というかあちらも考えてくれていたのだろう。こちらに『ちょうどいい』メンバーだ。
烏丸憂。天角学園で唯一社会貢献をしていて、国からも重宝されている『3組』のクラス委員長。
夏枷遊華と椎名冬空。両名ともにとんでもない魔法の才能を持ち、トラブルを起こすほど強くなる。
林道栄徹。おそらく今の天角学園で最も人を殺していて、それでいて本来軽度なはずの自己完結の思考異常を強化してしまっていて、取り返しがつかなくなる直前にまでなっていた。
近藤いつみ。比較的、学園側に擦り寄っている政府のスパイ。最終手段として政府の能力者『異質存在』を動かせるという点では、この学園の最高戦力候補でもある。
……。
人生で一度はダーク・バランスに会っておいた方がいい奴らだ。みな、何かしら悲しい過去を抱えていて、乗り越えたつもりで間違って生きている…もしくは生きていた。
ベストな人選だ…さすがは庵内さんを封印しただけはある。もうその事件からはもう何年も経ってるから、いちいち引き合いに出すのもどうかと思うけども…
「ん?」
そして。ようやく奴らが出てきた。
なんで今まで出てこなかったのか不思議だった奴ら。
「やあ巫くん。私たちのことは知ってるかな?」
「これはこれは…」
廊下で僕を待ち伏せしていたのは、人助け部のメンバーだった。リリー・シエル、時破田心裏、キャサリン・ヴァルキューレ、そしてシモン・クロウ。
よく考えたらこれはこれでベストだ。
ウォーミングアップにはちょうどいい。
〈5-6〉
「シモンから全部話は聞いてるよ。仲間を引き連れてこの学園を潰しに来たんだって?」
「まあそんなところだね…他にもいくつか用事はあったけど、君たちがちゃんと現れてくれたおかげで、あとはあいつと戦うだけだ…」
「…私たちになんの用があったのかは知らないけど、ここを通すわけにはいかないわ。あなたをクレナイには会わせない」
「へえ」
さっきまで一緒にお菓子を食べてたんだけど、そのことは黙っておこう。それに、意味合いも違うはずだ。
しかしさっきからリリー・シエルしか話さないな。シエルの血統とはあまり関わりたくないんだが…嫌だなぁ。
「単刀直入に言うわ。あなたは邪魔よ」
「どうして?」
「学園のことだけじゃない。クレナイにとっても、あなたとの対戦はマイナスにしかならない……私たちはここに入学してから、クレナイの戦いを間近で見ることが多々あった。そして私たちは同じように、その戦い方に嫌悪感を抱いた」
「…?」
「私が見たときはサイコロステーキにされていて…みんなもそんな感じだと思う」
いやさすがにサイコロステーキにされるのは珍しい部類だろ……いくら天使になった男だからって。
しかし彼女の言いたいことはわかる。
「クレナイは…殺されないのをいいことに特攻する。そして感情を操って相手を眠らせたり、怒りを抑えたりできるようになるまで、死なない範囲で傷つき続ける。はっきり言って、痛々しい。人間のする戦い方とは思えない。」
「でもあいつは君たちに治療を頼まないのか」
「ええ。毎週土曜日に危ない医者のところに行くまで、怪我は応急処置だけして後は放置してる。私たちが治そうと言っても何故か拒否されるのよ」
「……」
そりゃあ、あいつはこの学園に『青春』したくて来てるわけだから、せっかく出来た友達をヒーラー扱いなんてしたくないだろう…わかってないな。それでも嫌な顔をしないのが友達だっていうのに…そして彼らはそんなことぐらい理解してくれているだろうに。
あいつ、愛に飢えすぎだ。
慎重になりすぎて、逆に遠ざかってるじゃないか。
「だから出来るだけ戦ってほしくない。でも、クレナイは同時に呪いの処理も拒否するの」
「……」
「だからせめて、本当にヤバそうなのは無理矢理にでも遠ざけることにした。そして……」
「僕はそんなにヤバそうか」
「ええ」
「お前に言われたくないよシエルの血統…まあいいや、とにかく君らは僕を彼に会わす前に排除したいわけだ」
「ええ」
「四人がかりで?」
「ええ」
「そうか…幸せ者だなあいつは。じゃあさ、一つ、君らに聞いておきたいことがあるんだけど。多分駄目だと思うけど…」
「何?」
「あいつ、ダーク・バランスにスカウトしちゃ駄目?」
「殺す」
〈4-6〉YesかNoで聞いたらKill youと返ってきた。
「シモン!あいつぶっ潰せ!」
「了解です!【絶対逆算──────────」
「仕方ない、ちょっとだけ遊んでやるよ」
「───────────────必殺雷電】!!!」
絶対逆算・必殺雷電。因果律を逆転させて必ず攻撃を当てることができる上に、即死効果まで付いてくるという。
なんで知ってるかって?予習したからだ。
はてさて、文字だけ見れば最強にも見える能力だが、僕はどのような対処をすれば良いかというと、因果律を逆転するというのが本当なら回避行動を取っても無駄だし、封印能力ならそもそも避ける必要がない。よって次にするべきことは、いつもの通り戦うことだ。
僕はポケットから中身のないガラスの小瓶を取り出して、パスするように投げた。僕と彼の中心にある小瓶は、なんら攻撃意思を持たない。
「ほれ」
「────!!」
小瓶に中身がないことがわかった彼は雷で小瓶を破壊する…そして僕はその破片を使って攻撃するのみだ(能力【具現蒼穹】によって、飛んでくる破片でダメージは受けない)。
「…⁉︎がっ……⁉︎」
「君らは…甘い。僕じゃなくても、ダーク・バランス相手に『勝てる』なんて思うものじゃない」
「シモン!」
喉を掻っ切った。頸動脈から血が吹き出ている。
そしてリリー・シエルがこちらへ走ってきた。
「君たちもだ。人数で優っているからといって安心してるんじゃない…ほれ」
「お前!よくも……⁉︎」
次は『メス』を放り投げた。医療用のなんでもないメスだ。そしてそれは陽動、そのメスの間を縫って攻撃する『現実大の重すぎる両断識別』という武器こそが本命である。
ピアノ線の先にダイヤモンド製の刃物が付いている。僕がこの武器をわざわざ使ったのはこの女がこれに因縁があるからだ。
正確に言うならメスに関してもそうだ。
しかし、首元を狙ったが、見事に防がれた。虫のように払われてしまった。
「復習はバッチリなんだな」
「あんたは…なんでこの武器を知ってるの」
「僕は予習したからだ。というか、なんの準備もせずに戦場へ行く奴がどこにいる…君らの過去にあった出来事は全て参考にしている」
「それで嫌味ったらしくそんなのを持ってきたわけ」
「そうだ…リリー・シエル、30年前に胎児としてこの世に降り立ったが、事件『異能解放』により母親が死亡、その後能力によって生き延びるがいつのまにか海に流され海外に渡ってしまう…たどり着いたある浜辺では自身を成長させる為に通りかかった人間を食べ…吸収する存在になる。ある程度まで成長した時能力は落ち着き、孤児として魔女村に拾われ名前を与えられ教育を施されるが、程なく脱走…その後は、君の存在を知った天角学園理事長に封印されるまで世界を放浪していた…っておい、いつまで聞いてるつもりだよ」
「…やっぱりそういう人間だったのね、私って…」
「なんだ、知らなかったのか?」
「【絶対零下】!」
「…!」
突然だった。前方から、巨大な氷の槍が僕は突っ込んできた。反応できなかった…槍はそのまま僕の体に当たり、
霧散した。
「…えっ⁉︎」
「残念…だったな。まあでもタイミングは良かった。完全に油断してたよ…避けられるものではないだろうけど、全く気づきもしなかった。まんまと仕返しされちゃったな」
「な!なんで!?」
困惑しているらしい。だがそれも仕方ない。
僕ぐらいズルい存在なんてなかなかいないんだから。
「なんでかな。僕にもよくわからないんだけど…僕は生まれつき能力が効かないらしいんだよ…もちろん限度はあったようだけど、封印能力ぐらいはね…これは【無存在】と呼ばれるらしい」
「…⁉︎じゃあ…能力を使ってすらなかったの…⁉︎」
「そうだ…いやまあ、そこの彼をこのバトル中に蘇生させないよう封印させてもらってるから、そういう意味では使っているけど」
だから戦局は最初から一つしかありえなかったのだ。
リリー・シエルと時破田心裏は能力を外部に出せないように封印されている。そして僕には攻撃が効かない。だから彼女ら自身が動いて僕を止める必要があるが、そこはもうすぐ到着するであろう彼がきっとなんとかしてくれる。
シモン・クロウに関しては特に考えていなかった…たとえ封印能力者が相手だろうが、戦い慣れてない彼に負けるわけがなかった。
キャサリン・ヴァルキューレに対してはもう手を打ってある。彼女は夏に僕の能力をコピーした。僕の能力がそのまま残っていても、もしくはそうでなくあの時の【能力堆積】がそのままになっていて天使に天罰を食らったとしても、どちらにしろ彼女は弱体化している…さすがにマシにはなっているだろうが、それもまた、絶級能力者でないなら彼が対処してくれる。
という振りをすればいい。
そうすれば勝てる。
「会話中失礼、余を呼んだか?」
「…!」
そうそう、彼だ。翼村未玖。意外に復帰が早かった。
「呼んでないけど助かったよ。翼村、3人を押さえておいてくれ。【絶対虚無】ならできるだろう?」
「ああ。ここは任された。早く行け、槍!」
「そ、そうはさせん!」
翼村を封じにかかったのはキャサリン・ヴァルキューレだった。距離を操る封印能力【絶対虚無】が、無効化される。
しまった。もうそんなに回復していたとは。
【臨時雇い】──────相手より強くなる能力!
「うっ…ぐ……おい槍、どうなってるんだこいつ…」
「作戦変更だ…キャサリン・ヴァルキューレだけを押さえておいてくれ。後の2人はここで仕留める!」
僕は作戦を練る…ことはなかった。勿論こういうことも想定していたのだ。嘘じゃない。
ただ、ウォーミングアップの域を超えるということだ。
認めよう。4対2は流石にキツかったと。
ところで状態変化というのをご存知だろうか。
固体が液体になったり、液体が気体になったりするやつだ。そしてその中で一番『避けられない』のは気体だ。
雪や雨からは逃げられても、湿度からは逃げられないことが多い。それと同じだ。今の彼女らは酷く小さくなった状態…例えばイレギュラーな事態が起きても、本来の力を持っていないから全く対処できない。
その時。【絶対虚無】は発動する。
リリー・シエルと時破田心裏、それぞれの能力と、使用者の距離を離す。するとどういうことが起きるのか。
「…⁉︎…リリーちゃん、これって…!」
「……どうしたの⁉︎心裏ちゃん!」
能力が消える。一時的にだが、2人は無能力者になる。そしてフリーになったキャサリン・ヴァルキューレについても心配することはない。絶対虚無は防御能力だ。僕たちダーク・バランスは基本的に攻撃能力は持たない。自己犠牲という、自分を能力の対象から外す性能のある思考異常を持ってして初めて、攻撃に応用できるのだ。だからキャサリン・ヴァルキューレは何もできない。その代わりに倒せもしないけど…。
ってあれ?リリー・シエル?
何故平然としているんだ?なんだお前その反応は⁇
思考する間に、時破田心裏を倒した。反則系の格闘技で脊椎をぶっ壊して瞬殺だ(もちろん僕が封印をやめれば蘇生する)。
だが、なんだ?
リリー・シエルの能力が、全然無くなってない!
「畜生…【絶対零下】!」
「!!…」
喰らった。無数に現れた氷の槍を。
なるほど、理解した。リリー・シエルは…もう封印能力者の域を超えている。絶級ほどではないにしても、成長したぶんだけ能力が離れていないのだ。
よく考えたら【絶対零度】から名前が変わっている。
────だがしかし、まだ使いこなせていないようだ。
「…!」
「防御系のパッシブ効果がない…これはさっきの逆算とかいう能力か?」
「が…はっ……!」
蜘蛛の巣のように張っているその一本の糸に彼女は気づかなかった。猛毒の塗られたその糸に。しかしそれも仕方ない。彼女は視覚の強化をしていなかったんだから。
「封印能力者は持つ力の割にやることが小さいって、冗談じゃなくて本当にそうなんだよな…まあこれは封印能力者がどうっていうより平和な国の人民の特徴だな」
平和ボケしすぎなんだよ君らは。そう思った。
しかし僕は決してそれを口に出さなかった。
彼らに対して、僕は敬意を表する。
〈6-4〉
「おーい、余はどうしたらいい?」
「そのまま抑えといてくれ。僕はあいつの所に行く」
「そうか。頑張れよ!」
「ま、待つのじゃ!」
「…?」
金髪に簪をした女が、何か異議があるらしい。
「お主ら、本当にこの学園を潰せると思ってるならそれは大間違いじゃ!くれないを除いても達成使いはまだいるし、封印能力者だってまだまだ控えてる!朝登君(理事長)だってピンチになれば動くし、得体の知れない生徒会長だって」
「その生徒会長が今回の件にノータッチだから、僕たちはのうのうとここにいられるんじゃないのか?」
「‼︎…」
本当に、学園側にも本気になってもらわないとなんだか負けた気分になって嫌なんだが、しかしありがたい話でもある。
生徒会長が自分の正体をひた隠しにしているのも、得体が知れないのも、対策が打てていないのも事実なのだから。
「だが…しかし。この学園の最強は本来誰よりもあんただろう、キャサリン・ヴァルキューレ。なんでそんなに弱くなってるんだか…」
「……」
「一つ忠告しておくが、人助け部ばかりでなく、理事長の面倒も見ておけよ。ちゃんと見てないと、あの人はまた失敗する。あんた次第だ」
そう言い残して、僕はその場を去っ……あれ。
しかしそうはいかなかった。というか、その必要がなくなった。僕が彼女に背を向けて、猛毒を塗ったピアノ線をくぐって先に進もうとした時だった。
1人の男が、戦闘用の手袋をはめて…つまり臨戦態勢になってこちらを見ていた。
手間が省けた。のは良かったが……
「く、くれない!」
「薙紫…紅…もう来やがったのか!」
「おおこんなところにいたか。決勝戦のお相手はよぉ」
「紅…」
ごちゃごちゃしている間に来られてしまったようだ…できればこんな光景は見せたくなかった…。
「こりゃまた随分と派手にやってくれたな…ええ?どうせ生き返るからって、やり過ぎじゃねえか」
「…じゃあ、仇でも討ってみるか?紅」
「キャサリン!」
「お、おう!」
無視してあちらは指示を出した。多分ここらで、終わらせるつもりだ。今回の戦いを。
「そいつは抑えておいてくれ…俺たちは決着をつけるからよ」
「…うむ!わかった!気をつけるのじゃぞ!」
「意趣返しか?人が変わったな、紅」
「巫」
「……」
彼は本当に立派になった。僕たちを閉じ込めている間に。僕たちを思考異常から救えるだけの力を手に入れようと。
確かに今、僕は彼の敵だ。それは僕が望んだことだ。
だがしかし…修行の成果を期待してはいけないだろうか。彼は一体僕たちを閉じ込めてから、何を得て、何をうしなっ
「⁉︎」
────突如。僕の胸に直撃したのは重い重い一撃だった。なんと彼はポケットに手を突っ込んだまま、僕を蹴ったのだ。
僕は飛ばされることはなかった。踏みとどまったのだ。
しかし全く見えなかった。
明らかに、何らかの奥義の域に達していた。
「がっ……あぐ…」
「気ぃ散らしてんじゃねえよ!この戦いは互いに待ち望んだ一戦だ…絶対に悔いを残すんじゃねえ!」
達成マゼンタ・エモーションによる攻撃。
なるほど、ずっと封印されていたからもう慣れたとは言えど、集中を切らせばあっけない…気を引き締めよう。
「そうだな…でもその前に…確認しておきたい…」
「なんだ」
「能力も…無存在も…達成も…僕たちの持つ力の全てが、僕たちの決着を邪魔する…だから勝利条件を設定しておこう」
「呑気なことを言ってんじゃ…ねえ!」
回し蹴りだった。
なるほど、このバトルに会話は不要、ということか。なら僕が…ヒートアップする前に、勝手に決めてしまおう。
またなんとか踏みとどまった。
能力が、『次の防御』という名目で傷を回復してくれている…その間に、僕は体勢を元に戻し、次の攻撃の準備をしながら、話しかける。
「勝った方が勝ち、負けた方が負けだ。」
あれ?僕、何言ってんだ?
自分でも自分が何を言ったのか理解できなかった。
そしてその思考の後やってくるのはやっぱり追撃で、思い切り殴りかかってきた。
ガードする、が、今度の威力はさすがに体勢が崩れる。そして後ろにあるのは猛毒のピアノ線──────!
…わくわくしてきた。
何を隠そう、というか今、気づいてしまったが、僕の方もとっくにヒートアップしているようだ。当たり前だ。
テンションを上げずにはいられない。
この戦いを何年待ったか…ついにその時が来るのだ。
僕は左手の袖からナイフを取り出した。
さあ、あの時やるはずだったこのバトルを、全力で楽しもう!
僕は笑っていた。
〈5-7〉ピアノ線を切った。次に、重心を立て直すため、後ろへ跳んでとりあえず距離を置く─────
「しゃあああああ!!!!」
─────無理そうだ。彼は僕を蹴り飛ばして、数メートル先まで僕は転がった。
「ぐっ……!」
だがこれはこれで距離は取れた。僕はすぐに体勢を立て直し、走ってくる彼にポケットから取り出したスタングレネードを投げつけ、爆発させる!
「‼︎」
とてつもない閃光と爆音が僕と彼を襲う…が、ご存知の通り僕は能力によってダメージを負わないので、とくになにも無しに動くことができるのだ。逆に彼は、戦い慣れしているばっかりに、両手で耳を塞ぎながら下を向いていた。
そしてこれはチャンスである。
今のうちに脊椎にダメージを与えて─────
「そこだな」
───────ダメだった。僕の蹴りを予測して、彼はそのまま足を掴んで僕を片手で持ち上げ、近くの窓に叩きつけた!
「…!」
窓が割れ、僕は外へ投げ出される。
が、ただではやられない。割れたガラスの破片を指で撃ち出し、彼の頬にダメージを与える。
地面に強く打ちつけられた…がなんともない。
僕はすぐに臨戦体勢に入る。
彼は割れた窓からこちらへ来るようだ。
僕は今度は、『苦無』を投げた。もちろん攻撃意思を含まないただの投げ渡しだ。
「⁉︎…しまっがあああああ!」
「………はは」
…だったのだが刃の部分が運良く直撃し、彼はこちらから見た窓の向こう側に落ちていった。
よし。今のうちに次の作戦を練ろう。
…もとい逃げよう。
〈6-5〉
無存在:ある程度まで異能の攻撃対象にならない。
ダーク・バランス:戦闘は得意ではない。
能力【具現蒼穹】:史上最強の防御能力。効果の詳細は本人もわかっていないらしいが、異能だけでは破れない仕様になっているようで、巫槍の精神に異常をきたすほど強烈な思考異常を伴うか、もしくは思考異常者の達成でしか破れない。
───────────────────────
封印中でも結構彼のことは観察していたつもりだったが、計算よりずっと強くなっていた……だがなんてことはない、強いなら強いで、相手にあった戦い方をすればいいだけのことだ。
「よし…揃ってるな」
作戦名は、『第一ウェーブ』とでもしようか。
「そこにいたか!」
見つかった。校庭に植えられたイチョウの木にもたれかかっていただけだから、まあそりゃ見つかるけど。
「…その木に何もしてねえだろうな」
と、彼はこちらを睨みつけてきた。この木には何かあるらしい。…一応聞いておくか。
「なんだ、何もしてないけど、もしかしてこいつが弱点なのか?紅。確かに、今は秋だから見事な黄色だが、何故そんなに固執する?」
「それは友達と一緒に植えたからだ」
……。
これはもともとあったのではなくどこかから持ってきたのか。まあ天角学園の生徒なら、傷つけずに場所替えするくらいできる奴もいるだろう。
「俺はな、巫。最初に命の恩人を手に入れたんだよ」
「…は?」
すると、訳のわからないことを言いだした。
なんだ…昔話か?
「後輩もいた…宿敵も。いいライバルも。」
そこで彼はこちらを見た。
睨みつけずに真っ直ぐに。なんだ僕はライバルか?
「だがな…友達はいなかったんだ。上からでも下からでも斜めからでもなく、隣から俺を見てくれる奴は。」
「……」
「俺はこの学校に来てよかったって思ってるんだ…人助け部のみんなも、1組と2組と3組のみんなも、最近じゃ4組に結構知り合いがいたことがわかったりして…」
「……はぁ」
長い。長ったらしい。長ったらしくて─────
─────心が痛むだろうが。
こういうところが気に食わないんだ。情に訴えれば何もかも解決すると思ってるこの先進国の典型的な馬鹿野郎が。
「何が言いたい」
「ここは俺の居場所だ。わかってくれないか」
「……わかってやれない。どう言ったってここは犯罪者同士がコミュニティを作れてしまう場所なんだよ」
「そうか…ならもう容赦はしない」
彼は動きだした。僕は即座に作戦を開始する。
ポケットからまた小瓶を取り出し、投げた。だが今回は中身が入っている。何か?『塩酸』である。
「!」
投げた小瓶は二つ、その両方を彼はキャッチした。
つまり両手が塞がった。
ならばもう彼に、僕の連撃を防ぐ手段はない。
僕はここで、驚くほどスタンダードな武器、拳銃を取り出して、計6発、彼に撃った。
もちろん、銃によるダメージは致命傷扱いされるので達成で無効化される。だから僕はもう一捻りしておいた。
彼の服のポケットを撃つことにしたのだ。
計算通り、ポケットの中に隠していた武器たちは壊れて地面に落ちていった。そのほとんどが麻酔系の武器であった。
達成による攻撃になれた人間を相手にするのは初めてなのだろうが、いつも相手を寝かして勝っているからといって、麻酔はもっと効かないというのに、バカなやつめ。
「…!」
「これが第一ウェーブだ。お前…さっきわざと倒れて時間を稼いでただろう。それ、用意してたのはわかってんだぞ」
「…バレちまったら仕方ないな」
第三波まで、後二回の総攻撃で仕留める。
まずは状況を元に戻すこと。それが第一ウェーブの狙いだった。そして第二ウェーブの狙いはひとえに、紅の弱体化!
ちゃんと筋肉のついている紅と僕とじゃ、体力の差が大きい。もうちょっと消耗してもらおう。
僕は手榴弾を投げ─────────────
「うらぁあぁあああああ!!!」
────────────────え⁉︎
〈6-5〉目にも留まらぬ速さで僕の顔面に彼の拳がやってきた。集中を切らしていたのか、僕はぶっ飛ばされた。
「……⁉︎」
とにかく僕は手榴弾を投げ、大爆発を起こした。
もう一度距離を取らなければならないようだった。
「逃げんなかんなぎいいいいいいいいい!」
「⁉︎」
彼は今、絶対に前は見えていないはずなのに、何故か僕の場所がわかっている。今度は蹴りで一撃入れられた。
「……⁉︎」
一体どうやって…いや、そんなことはどうでもいい。
どうにかして、こちらの位置はバレているのだ。
なら、もう距離は置けない…第2ウェーブは失敗だ。
…そろそろ決着をつけなくてはならないのかもしれない。
……。
「…はは。やっぱりそこにいやがったな。」
煙から現れた彼はそう言った。
「間違ってイチョウを蹴っちまってたらどうしようかと思ったぜ…でも、大丈夫そうだな。こいつは」
「……」
「え?どうやってバレたんだってか?ありゃ勘だよ。俺もなかなか戦い慣れてきたからな」
「紅」
「なんだよ」
これがラストバトルなのだと言うのなら、さっき彼が言っていたように、絶対に後悔してはいけない。
言い残したこと、教え残したことを言っておかねば。
「お前は度重なる戦いの日々で、体が退化している」
「ああ。知ってるさ」
「戦いに、肉弾戦に最適な体になりつつあるんだ」
「それも知ってる」
「じゃあ、『篠方』という奥義を知っているか?」
「……それは知らないな。どういう字だ?」
「篠は竹冠に修学旅行の修に似てるやつだ、自分で調べろ。方は方向の方だ」
「やっぱり知らないな…」
「知っておいたほうがいい。お前のようなやつへの救済措置みたいな技だ、あれは─────」
あと、言うことは。
そんなにないな。忠告ぐらいか。まあ何か言い忘れても、どっちも死ぬわけじゃあるまいし。
「─────お前がこれから生き残るのに必要になる」
「……どういうことだ」
「お前、ここに入学してから幸せか?」
「ああ。胸を張って言えるさ」
「それは良かった。でもお前、この学校に入った時…『何かに巻き込まれる』ような感覚を覚えなかったか?」
「!」
心当たりがあるようだ。
「お前の呪い『クリムゾン』は今、活性化してるんだよ。最近、出会う敵が強くなっているんじゃないか?噂ではサイコロステーキにされたとか…」
「…まあ確かに、高校に入ってから、呪いによる1日2回の戦いは激化してるよ。お前の言う通りだ」
ほら。
じゃあ不味いな。
「なんで活性化してるかわかるか?」
「さあ」
「最後の大仕事を迎える準備をしてるんだよ」
「‼︎」
「柄じゃないが、予言でもしておこうか…
『今から一年程後、この世界を揺るがす大事件が起きる。お前はそれに巻き込まれる…巻き込まれすぎて、事件の犯人のすぐ近くにいることになる。』ちょっとずつちょっとずつ、大事件の元へお前は向かってるんだよ。紅。だからそれまでに、少しでも実力をつけておけ。僕から言えるのはそれだけだ」
「…え、それだけって、おい!もっと詳しk」
その時。
僕は彼の胸に足を置いた。
どうだ。全く見えなかっただろう?
「…‼︎」
「………僕が知っているのはそれだけだよ。とにかくその事件が起きれば、その後のお前の人生は自分次第だ。身の振り方ってやつを、自分で決める時がいつか来る。僕が言いたいのはそれだけだよ。」
さあ、楽しかった時間ももう終わりだ。
「その時お前は、誰の味方をしてもいい。自由だ。」
「…は。何言ってんだよ」
「……」
「いつまでだって、俺は悪の味方だ。」
「そうか。ならば、僕たちは必要悪だ。」
〈6-4〉第三ウェーブ、開始!
まあ、僕の服のポケットは合わせても6つしかない。
そして中身は使い切った。
空の小瓶、禁止地区の武器(名前はもう忘れた)、メス、猛毒なピアノ線、ナイフ、スタングレネード、苦無、塩酸、拳銃、手榴弾、まあ色々入れていたものだ。どれか一つでも見つかったら捕まりそうだな。…冗談はいいとして、
僕も彼も何も小細工はできないわけだ。そして、ただの肉弾戦になった時、強いのは彼、弱いのは僕。
強さを振るうのが彼で、強さを利用するのが僕だ。
「うらぁあああああああああ『篠方』ァ!」
「出来てない出来てない…そんな簡単なもんじゃない。そもそも力む技じゃあない」
力む力まないで言うなら前者が紅、後者が僕だ。
果たして、剛力と脱力ならどちらが強いのか、そんなのは僕にはわからないが、ただ一つ言えるのは、今、僕らの勝負ならなら互角ということだけだ。
「…………」
勝負なんて、喧嘩なんて久しぶりだった。
とても楽しい時間を過ごさせてもらった。
そろそろ終わりにしよう…
「オラァ!!」
「ぐわっ!!」
顔面にまた1発喰らった。この野郎…
「おいこら!勝った気になってんじゃねえぞ!」
「……そうだな」
だがそろそろ決着はつくだろう。次の一撃、当然、紅は全力で振りかぶってくる。
ならばそれに応えて、こちらも全力で相手しよう。
「……………」
「……礼を言うよ、巫」
「…ん?」
「結構楽しかったぜ!」
「………………ああ、僕もそうかもしれない!」
これが最終戦、一気に距離を詰める!
「!」
そして地面に捨てておいた拳銃を手に取り、『7発目』の弾丸を食らわせる!
横腹をかすめるように撃てば、致命傷にはならず、全力の攻撃を防ぐことができる。
…動揺している。狙い通りだ。6発撃って捨てた銃が実は7発目を撃てましたんだから。だが、ここで終わるわけがない。
絶対にあちらも何かしてくる────そう思った時だった。
「うおおおお!」
彼が、自ら…かすり当てではなくちゃんと弾丸を受けた。少なくとも僕にはそのように見えた。
そして、ならば当たる直前で消えるはずの弾丸が、彼の腹をちゃんと貫いたのだ。
「…!」
達成使いは他殺されることがない。
だが、自殺は許されているのだ。だから弾丸を受けようと思えば受けられる。そして紅の場合、負荷能力(呪い)クリムゾンがあるから次の事件に巻き込まれるまでに傷を治せれば死ぬことはないのだ。
だが…ここでそれをする意味はない。
僕はそんなことでビビったりしないし、攻撃は辞めない…僕の隠し武器はまだもう一つある。それはこの爪だ。
攻撃を与えられる今は最大のチャンスだ。
頚動脈を掻っ切る!これで終わりだ!!
「……」
と思っていた。
紅の首に円を描いて攻撃を加えようとした爪は、目標を捉えることができなかったのだ。
「…………なっ」
紅は、膝をついていた。地面に。
そして全ての謎が解けた。こいつは多分、こともあろうか死の危険まで払って、弾丸を、『減速するため』だけに利用したのだ。…いや、弾丸ということはわかっていなかっただろう。
どんな攻撃が来ても全部受ける覚悟で。
突っ込んできたのだ。
そして撃たれた瞬間その覚悟を全部捨てた。
だからこそ、だからこそ生まれた攻撃のチャンス。
「かんなぎぃ…」
「!!!!!」
また一瞬で覚悟を完了する。
感情のプロだからこそ、感情論を終わらせられる紅だからこそできる芸当だ。
『自分自身に対しての感情操作』を彼はやったのだ。
そして僕は攻撃後。ガードなどできないし、逃げることもできない。ただできるのは更に攻撃することだけだ。
今度こそ互角!
こちらは余裕がなく、あちらは腹を怪我していて、しかも重力に逆らって攻撃しなければならず……いや。
強がるのはやめよう。
これから決めるであろう彼のパンチは恐らく僕の腹に直撃し、僕を吹っ飛ばすだろう。それで僕は、たとえ一瞬でも、隙を見せてしまうだろう。そしてマゼンタ・エモーションの攻撃を受けることになる。
「うおおおおおおおお!!!」
間に合わない──────────
「らぁあ!!!」
────────────────僕の負けだ。
〈6-6〉
「目ぇ覚めたか?」
「……!!!!!!!」
僕はどうやら眠らされ、イチョウの木の下にいるようだ。何故なら空が黄色で埋め尽くされていたから。
そして隣で寝っ転がっている男は恐らく僕に勝ったのだろう。なんだか意識が朦朧としているが、負けたということだけはよくわかる。
「………負けたか、僕は」
「いいや…結局、お前は怪我一つしてねえじゃねえか。俺は血を流してた…もし俺だけだったら、多分死んでたよ」
よく見ると。
リリー・シエル…もといシエルの血統が彼を手当てしていた。腹に包帯が巻かれて…っておい、いくら封印中とはいえもうちょっと工夫して能力で治してやれよ。
まあでも。
「友達というやつか…はは、羨ましいや」
「…あいつらは違うのかよ?」
「どっちかっていうと仕事仲間だよ…」
…さて。用も済んだしそろそろ帰るか。結局、ダーク・バランスじゃあ学園の破壊は難しかったというオチか。
まあそれもまた一興だろう。
…そもそも、学校に興味があっただけだったのかもしれないな。おお、こっちの方がいいオチだ。
「……なあ紅」
「なんだよ」
ここにせっかく来たのだ。はっきりさせて置かなければならないことがある。果たしてお前はどう思っている?
もし、僕が、
ライバルよりも友達の方が良いと言ったら、
お前は僕を笑うか?
「ひとつ聞きたいことがあるんだが」
「何も言うなよ巫」
「!」
「お前にそんなセリフは言わせねえよ。俺たちはもう友達だろ?」
「……」
…頃合いだ。そろそろ帰ろう。
これ以上黒歴史を増やしてたまるか!
「…ふ、ははは……ありがとう。今日は楽しかったよ。」
そんなところで、僕たちは天角学園を去った。
そしてまた、世界の闇へと戻っていった。
僕たちは必要悪なのだから。
〈5-7〉
ダーク・バランスの五人、すなはち巫槍、愛谷祐樹、茅蜩黎明、暁紗里、翼村未玖が学園を去ってから一週間が経った。
あれから変わったことが多くある。
スパイ・近藤いつみは一度政府に帰ることにしたらしい。今回の件を報告がてら、政府の隠し球と言われる組織に顔を出しに行くそうだ。
魔法使いの2人組の片割れ、夏枷遊華は突如姿を消した。置き手紙に、修行のため旅に出るとのメッセージがあったそうだ。残った片割れ、椎名冬空は相変わらず学園に通い続けている。最近の人助け部の活動によって登校する4組生徒も増えてきているので、寂しくはないだろう。
林道くんもとい林道栄徹は行方不明になった。
人助け部はなんだかよく活動している。やはり、巫と翼村君に大敗したことがショックだったのだろう。しかし、先ほど述べた通り、4組異能力者クラスの生徒は着々と登校し始めており、本来の目的である学校の更生はしっかり進んでいる。
そして当の俺は何にも変わらないのでした。
だって奥義『篠方』とか言われても名前以上何も教えてくれなかったし、異能協会のデータベースにも何も載っていなかった(やっぱり無能だ!無能協会め!)から、普通の鍛錬を普通にする生活するしかないのだ。
しかし、変わったといえば俺も変わったか。
強くなるにつれて、鍛錬の時間を取れるようになった。だいぶ前の話だけど。
……………これから、もっと変わっていくのかもしれない。大事件が起こるという巫の予言も気になるし、林道君の行方もそのうち悪いことを引き起こしそうだ。
庵内さんの動向も未だ不明だし。
…まあ、だから強くないといけないのだろう。
そんなところで、長かったダーク・バランス編ももう終わりだ。これから何が起こるのか、不安ではあるけど、
友達が一人できたから、ハッピーエンドということにしておこう。では。
〈5-7〉
「まだ終わらないよ。やあ、みんな大嫌い庵内湖奈々だ。少しだけでも憧れろ?
私のことを忘れてもらっちゃ困るね〜。まあ、あれだ。本来あれで終わっても良かったんだけど、1人だけ忘れてちゃならない奴がいるじゃないか。
林道君?違う違う。
林道君の世話は私がするから安心しな。それよりも問題なのはリリー・シエルだ。覚えてるかい?彼女の思考異常を。
思考異常『鍵飲』。意識がある限り思考を止められない思考異常。それにより驚異的な飲み込みの早さを手に入れることができる。
さあ、どうなるかな?
世界一を誇る防御性能を持つ能力【具現蒼穹】。防御しかできないから絶級能力扱いされないあの能力だけど、それに彼女は直に触れちゃったね。
では、負けたショックで自身を強化しようとしているリリー・シエルちゃんの様子を少しのぞいて、このお話をおしまいにしよう。確かに、長かったね。」
────────────────────
「はぁ…はぁ…できた…。
考え方を変えてみて…良かった。
全てをゼロにして支配する絶対零度でもなく、全てをマイナスにして支配する絶対零下でもなく、全てをそのままに認識して支配する…ここまで出来て、やっと『概念を凍結する能力』になれたのかな…ふふ。これは…名付けて!
【絶対零砕】!ふはははははははははははは!」




