第一異世界人発見
2日で150PV!
大した事じゃないかも知れませんが(^_^;)
読んで頂いている方がいるだけで、相当テンション上がってるので、
調子乗ってもう1話投稿しますm(_ _)m
誤字脱字その他何かお気づきの点など御座いましたら、
ご遠慮なく仰って頂きたく(何処かのクレーム処理係みたいなコメントでごめんなさい)
家が見えてきてテンションが上がる二人。
「ようやくこの世界の人に会える!」「ようやく腹ごしらえ出来るかもにゃー!」お互いそれぞれの感想を言い合いながら、見えた家の方に急ぎ足で向かう健人と真白。
見えてきた家はブロックを組んだ壁で出来ており、窓枠は木で出来ていた。煙突もある。屋根も木で出来ているようだ。色は塗られていない。中世ヨーロッパの農家がこんな感じだろうか?
逸る気持ちを抑えつつ、その家のドアをノックし健人が声をかける。「すみませーん。どなたかいらっしゃいませんかー?」
少しすると、家の中から、四十歳くらいの金髪と白髪が混ざった短めの頭髪の、口ひげを蓄えた男性が出てきた。背丈は180cmくらいか? 結構高い。しかも肩幅もあってガタイもいい。でも顔は映画俳優のようなイケメンだ。目は西洋人のように青く、服装は白い長袖シャツに、真白のスカートをズボンにしたような、麻のような生地で出来た黄色がかった茶色いズボンと靴という出で立ちである。
おお、これがこの世界の人か。地球の頃の欧米人みたいな雰囲気だ。そんな事を心の中で呟く健人。
「○※△☓□?」そして男性が何か話した。
「……何言ってるのか分からない」だが健人が首を撚る。全く分からない。
よく考えたらそりゃそうだ。日本語が通じる訳がないし、日本語な訳ない。違う世界なんだから。でも会話が出来ないのは困る。健人が困った、といった表情をしていると、そんな健人を見て真白が「あ」と、ある事を思い出した。
「健人様。この飴舐めるにゃ。光の塊さんがくれたにゃ。(言語理解)が身につくにゃ。聞くだけじゃなく話す事も出来るようになるにゃ」と説明しながら、真白が腰についてるポケットから飴を取り出し健人に渡した。
言語理解? 言葉が分かるという事か? 真白の言葉を不思議に思いながら、飴を貰い口に放り込んだ。少し甘味があるので、空腹をまたここで思い出してしまう健人。
「で? お前ら結局何者なんだ?」急に言葉が理解でき、何言ってるか分かった! と少しテンションが上がる健人。
「すみません。自分達道に迷って、家が見えたからここに来たんですが。それで出来たら何か食べるものを恵んでもらえないかと」と、健人が頭を下げながらお願いしてみた。
男性は訝しげに健人と真白を見た。女の方は特に何の変哲もない格好だが、男は見た事もない格好だ。青いズボン? 靴も見た事ない。そして黒髪に黒い瞳だと? まさかあのお方と関係あるんじゃないだろうな? 怪訝な表情で二人をジロジロ見る男性。
「ふん。どこの誰とも知らないやつに飯を恵んでやる程、こっちも余裕ないわ」そして腕を組んでやや威圧的な態度で返事する。
「ですよねー。じゃあ、仕事ないですか? 手伝うんで、その分飯を恵んでほしいなあと」そんな男性に対して、ニコニコと営業スマイルしながら話をする健人。
健人は前の世界で、家庭訪問で幼稚園の教材を売る訪問営業のバイトをやっていた経験がある。全く知らない他人に、一つ10万円はする教材を売る仕事だ。バイトとはいえかなりハードな仕事だった。でも健人は真面目なので、1日二十件は訪問するというノルマをきっちり守っていた。そしてバイトのくせに、正社員を押しのけて、何度か月間売上トップになった事もある。この時相当なコミュ力と、物怖じしない性格を身につけていたのである。
今回もそのコミュ力と物おじしない性格を活かして、図々しいと思われない程度のラインを見極めつつ、男性と会話している。
「ははは! 面白い事いうやつだな。でも今日はもう仕事は終わっとる。残念だったな」
「あちゃー。そうでしたか。ところでここって村なんですか? 他に家は?」
「いや、ここは正確には家じゃない。倉庫だ。今日は俺がたまたま必要な道具を取りに来ていただけだ。良かったら村まで来るか?」
「ありがたいです。是非連れて行って下さい。俺は健人。この子は真白といいます」
「宜しくですにゃ」
「そっちの娘は獣人か? こんな辺鄙なところで見かけるなんて珍しいな。俺はダンビルだ。村はここからそう離れてない。馬車で来たから一緒に乗せてやる」助かります、そう健人は答えて、ダンビルと名乗る男性の好意に甘える事にした。
馬車は幌がない台車だけの、要するに荷馬車だったが、ずっと歩いてきた事を考えると、多少は楽になるのでありがたいと健人は思った。ただ、結構揺れるしお尻が痛い。荷馬車は人を乗せるために設計されているわけではないから仕方ないのだが。そして速さは時速20kmといったところか。自転車くらいのスピードだ。カッポカッポ馬の蹄の音を聞きながら、健人達はお尻の痛みと格闘しながら馬車に揺られる。
ダンビルには、自分と真白はこことは違う遠いところからやってきて、色々戸惑っている。住むところもなく困っている。そう説明した健人。そしてそれなりに色々仕事は経験してきたので、きっと何かの役に立てるだろう、とダンビルにアピールしていた。
実際フリーターながらに、三十個の職業を経験している健人。しかも全てサボらず真面目にやってきた。それはある意味、健人の自信にもなっていたし、今後役に立つだろうと思っていた。
更に健人はバンドでドラムをやっていた。ドラムは相当体力がいる楽器だ。特にバスドラムを叩く際、フットペダルを踏むのは、足を鍛えていないとふくらはぎがつってしまうのだ。ライブの最中にそんな失態をする訳にはいかないので、健人は毎日、腕立て伏せとスクワットを欠かさずやっていた。その甲斐あって、体力にも自信がある。
そうだ、俺にはこれがあった。健人がふと思い出す。「こういう事もやれますよ」おもむろに荷馬車の中にあった木の棒を2つ手に持ち、荷馬車の縁を叩く。トントンタン、トントンタン、8ビートをリズミカルに刻む。
ダンビルがそれを見て「ほほう」と、興味ありげに聞いていた。「タケトは祭りで演奏をやったりするのか?」
「祭り……。近いかもですね」苦笑しながら返事する健人。フェスは或る意味(祭り)だ。遠からず近からずだと思った。そして、もしかしたら、この世界には普段から音楽を楽しむという文化自体ないかも知れない。何か催事の際の、東南アジアやアフリカにあるような感じで、音楽が使われているだけかもしれない、そうとも思った。
「そろそろ見えてきたぞ。馬車から降りろ。村の中では速度を落とすからな」ダンビルにそう言われ、馬車から降りる二人。馬車の横について歩いていくと、高さ2mほどの木の柵に囲まれた、数十軒家が立ち並んでいる村が見えてきた。おおー! 集落だ。これはテンションあがるなあ、と心の中で叫ぶ健人。つい声が出そうになったが、何とか自重出来た様子。
そして入り口には二人の若い男が立っていた。どうやら警備しているようだ。
「あ、ダンビル村長。おかえりなさい」そのうちの一人が、ダンビルを村長と言って挨拶した。
「おう、ただいま」手をあげ会釈する、村長と呼ばれたダンビル。
「村長? ダンビルさん村長だったんですか?」健人が驚いて聞いてみる。
「おう、そうだ。ここヌビル村の村長をやっとる」事もなげに返すダンビル。
偉い人だった。気軽に声かけて失礼な事したかも知れない。そう思って言葉遣いに気をつけようと思い直す健人。
「知らずに気軽に声かけてしまい、すみません」
「ははは! 気にするな。とりあえず家に来い。腹減ったって言ってただろ? 飯を用意してやる」
ありがとうございます、と健人がお礼を言ったところで、警備していたもう一人の若い男がダンビルに声をかける。
「村長! その男は?」もう一人の若い男が気になって声をかけた。
「拾った」
「拾ったって……。大丈夫なんですか?」この辺りでは見た事もない、珍しい黒髪に黒い瞳の、風変わりな格好した若者だ。そんな他人を村に、しかも村長の家に連れて行っていいのだろうか? 彼はそう心配したのだ。
「大丈夫だろう。そっちの獣人のお嬢ちゃんも一緒だ。まあ今更何かされても、俺は気にしないしな」
「村長……。まだあの事が……」若い男が、最後の方は消え入りそうな声になりつつ呟いた。だからだろう、ダンビルには聞こえていないようだったが、健人には聞こえたようだ。
あの事? なんだろう? 若い男が呟いた言葉を、健人は心の中で疑問に思った。